第一波、異世界直行
「うああ……疲れたわマジで」
高校二年から受験勉強必須とか分かってる。つーか俺は結構計画的な方で一年からきっちりしっかりこつこつ真面目に勉強やってたわボケが。
「くそっ! アレさえなけりゃ……」
だがそんな真面目君な俺を変えてしまったのが某インターネット掲示板である。元々怪獣映画とかで兵器がバンバン撃ちまくってるのとか好きだった俺は軍事について語る掲示板を発見して以来夢中になってしまったのだ。
「おかげでここ一か月まともに勉強してねえ……」
その結果が高校二年春の中間テストでの赤点。そして当然の報いとしての補習授業。
「もう真っ暗だな……はあ~ああああああ! やってらんねえええええ、ぇ……」
うおお……叫んでるトコ同じ学校の制服の知らない奴に見られたああああああああああああ。しかも女子かよおおおおお、最悪だ。明日変な噂とか立てんなよ? 本当頼むわ、心の中だけど土下座もしとくからさ。
ああ……ここ一か月いい事マジでねえな、やべえ呪われてるかもしれん。
「ん?」
え。何か体が動かないんですけど。
あれ、足元から名状しがたい怪しげな光が俺を包み込んでるんですけど!?
おいおいおいおい! 頭上から冒涜的な黒い球体がゆっくり俺に向かって近づいてきてるんですけどお!?
おいこっち寄んな! 嫌な予感しかしねえ! つ、つーかそこの女子! 腰抜かしてないでヘルプみー!
ちょ、おま、やめくぁwせdrftgyふじこlp……ん?
ここ、どこよ? 何なんここ? どこのアルプス山脈? ハイジとかいる感じですか? え、さっきまで太陽さん地平線の下にいましたよね。何で真上におられるんです?
んでさ、俺の目の前にいるデッカイ巨大な犬は何? 余裕で人間の三倍の大きさはあるよな、あれ。そんで目の前のその犬と戦ってる……のかな? 多分戦ってるのだろう剣やら杖やら持ってる連中は何なの?
「畜生! コイツ強すぎるっ!」
「信じられん……魔法を無力化するだと!?」
「回復魔法しますでありマス! 0010000001100010!」
「魔法自体が効かなくてもねえ! やりようはあるのよっ! 00100000000001100010!」
うおお、岩が宙に浮いてら。そして岩はそのまま犬に向かってひとっとびい! ひゅー、犬に当たって岩が砕けたぞ。犬かてえ。
「うそお!? 効かないのお!?」
「このままじゃやられるっ! 一度逃げよう!」
「攪乱魔法しますでありマス! 01000000000000110010!」
何だありゃ、犬の顔に黒い靄が張り付いた。
「じゃ、逃げましょ……」
あ。俺気付かれた。
「ちょっと、あなた誰よ!? どうしてこんな場所にいるの!」
「いや……」
むしろ俺が聞きたいんだが。ちょっと理解が追いつかないわ、さーせん。
「ああ! 攪乱魔法の効果がきれたでありマス!」
犬めっちゃキレてんな。つーか突進してきた。
「こんな事もあろうかと!」
いや何かしたのかよ? 犬こっち向かってきてんぞおい! 何で俺に向かってなんだよ! 攻撃してたあいつらの方が憎いだろ!? そっち行けって! うわ、もう駄目死ぬこれ……。
『死にたくないかえ? 望めば助けてやらん事もないぞよ』
何か頭の中で声が聞こえる。何だこの声……はは、幻聴か。でも可愛い声だな。こんな可愛い声聞いて死ぬなら、まあただ死ぬよりかはお得かもな。
『いいからはよせえ、でないと本当に死ぬぞ』
大地に足跡を付けながら地響きとともに近づいてくる犬。
やべえ超怖いんですけど。やっぱ死にたくねえええええええええええええええ!
『ほら、言え。内容によるが助かるかもしれんのだぞ』
「きっ! 近接航空支援を求むっ!」
うわあああああああああああああああああ! やっちまったああああああああああああああ!
何でこんな時にそれえええええええええええええええ!?
死んだわ……。
『よかよう』
可愛い声が了承すると共に、犬が血しぶき上げながら粉々になる。
そして遅れて聞こえてくる、七砲身30ミリ機関砲の射撃音。
「生で初めて見たわ……あれがAー10か」
どうやら俺のCAS(近接航空支援)の要請は受理されたっぽい。
勢いで書いてしまいました、反省しかしてません。