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急ぐ必要はない

 涙を浮かべていた。

 悲しみを分け合える誰かがいるわけでもなく、ただただ迫り来る涙の波に耐えていた。

 心に深く深く傷を重ねて、生きてきた証拠がその傷だけになってしまいそうなくらい。

 手を伸ばしてみると、光はまだ先にあると気づく。

 だけど、きっとそれでいいんだ。

 なに一つ急ぐ必要はない。だって、まだまだ始まったばかり。

 走って転けて怪我でもしたら、きっとそっちのほうが大変だから。

 だから、まずは歩き方を覚えようよ。

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