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自宅警備員大活躍

作者: 昼月キオリ
掲載日:2025/12/07


高校生の頃から、勇人(はやと・21)は部屋に引きこもっていた。


無口で、人付き合いが苦手。

外の光より、薄暗い自室でパソコンのモニターを見つめている方が落ち着く。

そんなタイプだった。


キャピキャピした明るい妹・樹菜(きな)

朗らかでなんでも受け止めてくれる母。

昭和の香り漂う、厳格だが無口で不器用な父。


その家の中で、勇人だけが引きこもっていた。


だが、家族が家を空けた“あの日”。


妹に「自宅警備員〜」と茶化されていた勇人の“警備”が、本物になる。


樹奈の部屋から聞こえた、不自然な物音。

そして、ベッドの下で息を殺していた“何者か”。


「誰だ」


低く放たれた声は、これまでの勇人とは別人のようだった。


飛び出したストーカーは勇人に押さえつけられ、逃げる隙もない。

空手部時代に鍛えた身体は、燃え尽き症候群で引きこもった後も衰えていなかった。


犯人は青ざめながらうめいた。


「なんだよこいつ・・・めちゃ強ぇ・・・」


勇人は即座に警察へ通報した。




家族が帰宅したのは、その少し後だった。


母「大丈夫勇人? 怪我は? どこも痛くない?」

勇人「うん」

父「勇人、よくやった」


そう言う父の声は、厳しさより誇りに満ちていた。


樹奈は勢いよく兄に抱きつく。


妹「ありがとう、お兄ちゃん! 守ってくれて・・・ほんと、カッコいいよ!」


いつも優しく受け止めてくれていた母。

黙って否定せずにいてくれた父。

慕ってくれた妹。


その瞬間、勇人は気づいた。

自分にも、守るべきものがあったのだと。

そして、そのためにもう一度強くなりたいと心から思った。



あの事件から一年後。

勇人はついに部屋から一歩踏み出した。


ビルの警備員として初めてのアルバイトを始め、

同時に、空手道場にも通い始めた。


無口で不器用な青年は、今日も前へと歩き続けている。

守りたいものの為に。

 

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