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第一章

しかし、あの日から行方知らずの心とは裏腹に、心臓は今も、体の中心にどかりと鎮座する。

鼓動が聞こえる。時には指先や首筋からも流れ出す。

俗に心と呼称する類のものは心臓と名の付く臓器とは別物なのだろう。


そうだとするならば、心なるものは一体何者なのでしょうか。


そもそも私が体の中に心を持っていたことはありますか。


心を持つと話す人間たちのそれが本当にそれならば是非一度お目に掛かりたいものですが、その場合、産み落とされた瞬間母の胎盤に忘れてきた、または羊水と共に外へ流れ出てしまった可能性はありますか。


もしも行方不明届を提出したら、笑われずに、泣かれずに、怒られずに、呆れられずに、受理されますか。


「なあカエちゃん、ちっちゃい可愛い女の子のカエちゃん、なあ。これは誰にも秘密だよ。お母さんにも秘密だよ。なあ、二人だけの秘密だよ」


油汚れのような野太い声が、脳にこびりついている。

私の頬に無数の針が突き刺さり、はあはあはあという生温かい風が顔を削った感覚がこびりついている。


ああ、やっぱりどうだって良いわ。もう全部忘れた。

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