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明るい未来を抱きしめて 改訂三版  作者: ある自殺志願常習者
1. 中学生時代
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1-1.経緯(3)

 ただ提案するだけじゃなく、その言葉の外側まで見通しながら、あんなにさりげない方法で行き先をまとめ、さらに話を広げもしたことに、私は、あきれてしまうほど感心した。そういう、なんて言うか、『技術』にもそうだし、それを全く自然に、話にはあまり加わらない『脇役』のまま、できてしまうことにも。

 そうやってBさんをうらやましく感じることに比べると、私が明らかに彼女を上回っている部分、つまり体育の成績というか運動能力なんて、ちっぽけでくだらなく思えた。さらに、Bさんに私たちのグループと話すきっかけを作ったのは間違いなく私だという事実が、私の中でやたらと重くなっていて、だんだんと、彼女に対する私の気持ちはおかしくなっていった。彼女が恩知らずで生意気にも思えたし、自分が押しつけがましくて図々しくも思えた。

 それでも、私はBさんともっと親しくなっていった。一緒に遊んだりすることが多くなっていったというデータを単純に解釈すれば、そういうことになる。もっとも、会う機会が増えたからといって、それで私たちが仲良くなったのかというと、よく分からない。私からすれば、確かにBさんについて知っていることは多くなったし、一緒のときはどうするのがいいのか、そのテンションというかチューニングというか、そういうことも分かってきた。だから楽しくなっていっていたような気はする。

 でも、なんて言うか、ごく表面的なところまでしか進まずに、当たり障りのない、そこで何か間違えてもたいしたことにはならないような場所で、必死で踏みとどまっているような気がした。実のところ、そんな関係は他の友達とも別に変わらなかった。結局いつも、遊びとか勉強とか好みとか、なんて言うか、その人が持っているものについて話すことばかりで、その人自身のことについて話したりはしないから。それが普通だろうし、そもそも『その人自身』と『その人が持っているもの』って違うものなんだろうかとも思う。第一、そうじゃないことを望んだり願ったこともなかったし。しかしなぜか、Bさんと話したり、一緒にいるときには、そんな状態でいることを、強く意識してしまっていた。だから、仲良くなったのか分からないとも感じたってわけ。

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