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3-2.方法(4)、 3-3.なぜやめたか
少しだけ欠けた月が、そんな夜空に煌々と輝き、いや、輝くという表現も何か不似合いなほど、冷然とそこにある。その淡い光で輪郭や陰影を露わにした細長い雲が、夜空をまばらに満たし、時に月を横切って輝きを遮る。そんな青白い炎が顔を出すと海面に到達し、ずっと遠くまで、進んできた道のりを描く航跡を、ぼんやりと、しかし目をこらせばはっきりと、照らしている。
ここにはそういう物がある。つまり、これが私の最後に見る景色というわけだ。決心がついたら、いや、決心なんかに頼らず、さっさとやっておくべきだろう。タイミングを見定めたら、誰にも見られることのないうちに、決心とか決意とか、鬱陶しいくらい重たい言葉を必要しないうちに、気楽な気持ちで、この冷たい、しっとりと少しだけ濡れている手すりに力を込めて、こうやって精一杯力を込めて、乗り越えてしまおう。
・なぜやめたか
<完>




