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第五話 谷底での邂逅


「聞きたいことが山ほどできた。手足の一本か二本は覚悟しな。なりたてだろうが、再誕したんならその程度で死にはしねえ」


 言うなり、フードの男は斬りかかってきた。

 ぎらついた曲剣の剣身は血の曇りで黒ずんでいるが、刃は光を照り返し、鋭利であることは疑いようがない。


 狙いは……首!?


(あ……っぶねぇッ! 聞きたい事あるんじゃないのかよ?!)


 間一髪、薙がれた横一文字の剣閃をバックステップで避けた。

【血の遺志】に従いつつ、ロングソードを抜剣して構える。


(当然だけど俺よりずっと素早い……)


 このタイプの敵は馴染みが深い。

 瞬発力と器用さを重点的に上げていき、他のステータスは必要最小限に抑え、少しずつ持久力に振って調整していく、軽装戦士のステ振り!


(典型的な『技量ビルド』のスピードファイター! 厄介だ!)


 レベルはいくつだ!? もし吊り橋が落とされたのはかなり前で、この下の【無縁墓の谷底】を走破したとしたら、50はあるんじゃないか!?


 見た感じ、デモステの外見的特徴が確認できない。

 顔がまだ人間そのものだからヒトステのはずだ。

 ならそのレベル帯で、ステータスを尖らせているとすると……


 レベル 50


 生命力 19

 混沌量 10

 持久力 20

 瞬発力 25


 体格 10

 筋力 10

 器用 25

 理力 10


 人間性 ??


 こんな感じか? だとしたらスピードが違いすぎる!

 戦闘力は言わずもがなだ! 勝負にならない!


(……決断するしかねえッ!!)


 大人しく捕まることも考えたが、しかし初手の横薙ぎが殺意に満ち満ちていた事から考えて、殺してしまっても構わないと思っていたって不思議じゃない。


 もし本当に手足のどれかを切断されたら一巻の終わりだ。

 こんな序盤で【部位欠損】のバッドステータスは治す手段が無い!


 それで詰んでもゲームみたいにデータを消してやり直せるわけがない!


 何よりも……身震いするんだ。

 初めて味わう恐怖だったんだ。


 体の一部が切断(・・・・・・・)されて失われる(・・・・・・・)っていうのは。

 信じられない絶望感と、虚無感だったんだ……ッ!


「シッ!!」


「!?」


 不意打ちに、ポケットから投げつける。

 ただの丸い石ころだ。それ以上のことはない。


 だが、それを避けられた……避けたことで発生した一瞬の隙に、俺は本命の狙いを地面に叩きつけた。


「ッ?! テメエ!!」


 弾けて爆ぜて吹き出して、濛々と立ち込める真っ白な煙。

 逃走用アイテム【煙玉】だ。


【手の平ほどの大きさの、真っ白い火薬玉。

 地面に叩きつけると爆ぜて、周辺が真っ白な煙に包まれる。

 爆ぜる際の音と煙の刺激臭を、獣の類は強く忌避する。

 これをもって怯ませた隙に、攻めるか逃げるかは状況次第であろう】


 当然、逃げの一手!


 ここの左側には【無縁墓の谷底】に通じる坂道がある。

 そこに向けて走り出し、記憶の通りに……あった!


(よし、狙い通り!)


「っテメ、待てェ!!」


 聞こえてきたフードの男の声は遠くからだ。

 声は祭祀場に向かう坂の方からだ。いいぞ、距離ができた!


 まさか谷底に向かうとは思わなかったんだろう。

 奴は祭祀場方面へと煙を抜けて、そちらに俺の姿が見えなかったから周囲を見渡したところ、谷底への坂に俺の姿を見咎めた、ってところか。


 飛び降りることでショートカットできるポイントが、この坂にはいくつかあり、俺はそれをしっかり覚えている。

 序盤の地形ってやつは、なかなか記憶が薄れないもんだ。


 不気味なほどに数多く存在する、無縁仏を葬った墓石の数々。

 岩壁にも、坂道の途中にも無数に。形も様式も様々な。


 このおびただしい数の墓石の光景が、この谷を【無縁墓の谷】と呼ぶ理由だ。


(記憶通りのでかくて平たい墓石もある……! 足場には充分だ!)


 ロングソードを鞘に納剣。

 次々に飛び降りて距離を稼ぐ。

 油断はしない。同じ方法で追いかけてくるかもしれない。


「……クソがぁ!!」


 はるか頭上から悪態が降ってきた。

 咄嗟に物陰に隠れて恐る恐る見上げると、フードの男が追跡を諦めて、坂を上っていく姿を確認することができた。


(祭祀場に向かうのを優先してくれたか……)


 俺の事はひとまず措いて、祭祀場に向かった仲間の確認に行ったか。良かった。流石に心の準備が済んでいないうちにあんな相手と戦う気にはなれない。


 さて、これからどうするか。ここはまだ谷底への道の途中だ。飛び降りを繰り返してかなりショートカットしたが、まだ谷底より上の方が近い。


 ここからは見えないが、すでに周辺には敵生生物がいるはずだ。

 このルートに出没する敵は何がいたか……まずレッサーデーモンがいるポイントがいくつかあって、岩壁に張り付いた毒トカゲの奇襲ポイントなんかもあったはずだ。あと、他には……


「……ん?」


 カラカラと音が聞こえる。石が転がり落ちるような音だ。

 上じゃない。左右でもない。これは下から───




 ───不意に、一瞬の浮遊感。




「なッ……?!」


 足場、が、崩れ……


「う、うわぁあああああああッッッ?!


 なんで、ここにこんな落下トラップなんて無かったはずなのに、などと、そこまで考えて、俺は自分の馬鹿さ加減を思い知った。


 この谷底へ繋がる、崖を這うように曲がりくねった坂は、脆い岩肌がむき出しで、いかにも崩れやすいように見える。

 そうだ。本当に脆いんだ。ゲームと違って。


 ゲーム上は破壊不能オブジェクトである地面だが、これは現実。

 人間大の物体が上から落下してくれば、その衝撃で足場が崩れたって、何も不思議じゃないだろうが……!




 衝撃。痛打。滑落。浮遊。


 意識が、保て、な───




「───げぁッッッ……!」


 気づいた時には、俺はもう谷底近くの大岩の上。


「う、ぐ……っ」


 体を見る。見たくはないが、見た。

 外套とジャージ、ブーツに包まれた体に裂傷などは無い。


 だが、むき出しだった顔と頭、特に両手は酷い……!

 深々と裂けて血が流れている箇所は、二か所や三か所じゃない。

 手のひらの傷なんて、骨が見えてしまっている……!


「いッッッ……! づ、く、ぁ……ッ」


 いや、体の方が酷い。あちこちから骨が軋むような、関節が焼けるような激痛がひっきりなしに苛んでくる……!


 どれくらいの高さから落ちたんだ?

 これで死んでたっておかしくなかったんじゃないのか?


 やばい……この痛み、骨にヒビくらい入っていそうだ。

 手やら顔やらの傷だって、このままじゃ雑菌が入って……ん?


「傷が、治る?」


 治っていく。裂かれた肉が、皮膚が、よく見ると少しずつゆっくりと、しかし生物にあるまじき速度で塞がっていく?


「そうか、混沌に連なる者の、急速自然治癒……!」


 デーモンのみならず、混沌の戦士にも高速再生力が備わっている。

 動かずに座り込んでいたり、寝そべっていたりすると、ごく僅かずつ、本当にゆっくりとした速度で生命力が回復していく仕様があった。


 ……そうだ! ポケットに、あれが入ってるはずだ。無事か?

 祭祀場で今も転がっているだろう戦士たちの懐から盗んだ物。

 手探りで確かめる。ある。取り出して、口の中に放り込み咀嚼する。


 丸薬。これは【治癒の丸薬】というアイテムだ。


【生命力をゆっくりと回復させる丸薬。

 いくつかの薬草とデーモンの血肉を練って丸めて干したもの。

 つまりは丸薬というより干し肉に近く、非常食でもある。

 傷ついた戦士はこれを食み、そして休み、傷を癒して、また戦う】


 これがカオスチャンピオンにおける回復アイテムだ。

 多くの場所で頻繁に、そして安価で手に入る。


 他のゲームのように即効性のある回復アイテムは、しかしカオチャには存在しない。


 戦いながら、逃げながら、まだ生命力は回復し切らないのかと焦れて焦れて、ひりつくような危機感と付き合っていくのがカオスチャンピオンなのだ。


 これもカオチャがクソゲーと揶揄される原因の一つだ。

 しょっちゅう大ダメージを受けるのが死にゲーなのに、肝心かなめの回復アイテムがやたらと時間を要求するこの仕様は、ゲームテンポを著しく悪くするのは言うまでもない。


(……よし、目に見えて治りが早くなった)


 体感だが、一分くらいは経っただろうか。

 小さな傷はすべて治った。手のひらの深手もじきに治りそうだ。


 ただ体の、骨やら筋やら関節やらは変わらず痛む。

 こころなしか痛みがやわらいだような気はするが。


(もう少し、ジッとしてた方がいいか……)


 谷底はもうすぐそこに見えているが、幸いここは大岩の上で、辺りに敵らしき姿も見えないし、少しくらい時間を使っても良さそうだった。


 大の字になって岩の上に身を預ける。

 時折聞こえる、ごう、ごう、という音は風の音だ。

 この風が、傷と疲れで熱くなった体を冷ましてくれている。


 強い風の音に混じって聞こえてくる、しゅう、しゅう、という音は、草擦れの音だろうか。気になって耳を澄ませてみれば、その音は少しずつ大きく聞こえて……


(……いや、違う。なんの音だこれ)


 首だけ動かして音の聞こえる方に目をやる。

 この大岩の下に何かいるのか? そう疑った時。




 そいつ(・・・)と目が合った。




 「ッッッ?!」


 飛び起きた。体中が軋んで痛んだ。

 俺はこの目を、この『頭部』を知っていた。

 さっきの音は、こいつの息遣いだったのだ。


 そいつは首を伸ばして岩の上の俺を覗き込んでいた。

 ほどなくして歩み寄って来るそいつの全身像が見えてくる。


 三メートルはありそうな巨躯は黒い鱗で覆われている。

 丸太のような手足と尻尾はデーモンのそれだ。

 しかして頭と無感情な眼球は、爬虫類のそれに似て。


(なんで【蜥蜴とかげ頭のデーモン】が、谷底にいるんだ!?)


 このエリアにいた覚えの無い相手が、いまここに居て俺を認識したことに危機感を覚えたのも束の間、奴は───


「くそッ!!」


 ───大岩の上に飛びあがり、その手の大鉈を振り下ろす……!!

 避けるに余裕はあるが、ここから飛び降りるしか選択肢が無い!!


「ぐっ……!」


 ガツンッ!! という、大鉈が岩肌に叩きつけられた音を聞きつつ、二メートルほどの短い落下は難なく着地。


 すぐさま谷底へ向かって走り出す。

 走りながら、肩越しに後ろを見れば、岩の上で大口を開けてこちらを威嚇する、蜥蜴頭のデーモンがたしかに居た。


 間違いない……! 多くの地に生息し、特殊個体というわけでもなく、しかしレベル50帯の戦士でも難なく殺し得る強敵!!


 攻撃に怯まない巨体、大鉈の絶大な殺傷力、膨大な生命力と、厄介な要素を兼ね備えた、なんでこんな強敵がモブとしてウロウロしてるんだ、って多くのプレイヤーをキレさせた、大型の強モブエネミーたちの代表格!!


 例によって、お前もこのエリアにはいなかったはずだろうが!!


(ッ?! まずい、まだ何かいる!?)


 走り出した足を慌てて止める。

 向かう先にいくつも蠢いて見える、敵性生物の姿。


(大毒蜥蜴と、大火蜥蜴!! 五、六……七匹も!?)


 常に複数で固まっており、足への噛みつきでこちらの動きを封じてくる上に、避け辛い毒や火炎を吐きかけてくる、絶対に無傷では済まさないという悪意すら感じられる害悪モブ!


 こいつらは追跡距離も非常に長くて執念深く、地形的に逃げ辛い場所にばかり出没する。相変わらず面倒臭いったらない……!

 だからって、相手になんてしてられるか!!


「……っらあッ!!」


 もう谷底は見えている。イチかバチか、俺は飛んだ。

 一気に谷底へとショートカットして、蜥蜴の群れをやり過ごす!


「う、ぐッ?!」


 着地しきれず、無様に転がる。体を苛む軋みと痛み。

 ゲームでも落下ダメージで死にかねず、現実でも大怪我間違いなしの高さだった……!

 

 五メートルは飛び降りた。

 体は……動く。生きてる。混沌の戦士万々歳だ。

 でも、自然治癒と治癒の丸薬で回復した生命力が消し飛んだだろう。


 ライフポイントや生命力バーが目で見えるわけでもないこの状況で、次から次に嫌なギャンブルを強いてくるんじゃねえよ……!


 全身の痛みに暫し悶えながら、周囲を確認する。

 蜥蜴の群れとはなんとか距離が取れた。だが。


「おいおいおい……」


 蜥蜴頭のデーモンだけは、執念深く俺を追跡してきていた。

 人が体を固定することなど到底できない急斜面を、奴は蜥蜴よろしく這うようにして、最短距離で俺に向かってきていた。


 ズン、と、聞くからに重量を感じさせる音とともに、蜥蜴頭は俺の目の前に着地して、握りしめた大鉈を構えなおし、振りかぶり───


「ぐッッッ!!」


 ───振り下ろす。間一髪で避け切った。


 ゴロゴロと転がって、バシャン、という水音。

 全力で横っ飛びしたせいで突っ込むはめになった場所は、谷底を流れる川の縁だった。


 濡れて体が重くなる。塞がりきっていない傷口に、清いかどうかもわからない水が沁みて、嫌な痛みを感じた直後。


(あ───)


 再び振り下ろされる、大鉈。

 片手大上段。狙いは頭。そう見て取った瞬間。


「───っせぇあッ!!」


【血の遺志】とゲームの記憶が交じり合った。

 そう自覚した刹那、俺は左腰から右手でロングソードを抜き放ち、惚れ惚れするような精度で大鉈を『弾いて』いた。


 ───【絶妙弾き(ジャストパリィ)】成功。攻撃後硬直大増加。

 ───追加特殊行動、防御不能攻撃(ペネトレイト)可能。実行。


 鱗が薄く、そして脆い腹部へと、渾身の突き込みを繰り出す。柔らかい肉を貫いた感触は、ぞっとするほど気持ちよかった。


 深々と刺し込んで、えぐりながら抜く。

 えもいわれぬ快悦かいえつが全身に駆け抜ける。


 ギャアアッ! という、爬虫類らしからぬ絶叫。


 痛みとダメージで怯まぬ相手が怯んだ。

 その時、俺は咄嗟の閃きで、大鉈を握っている右腕を斬りつけた。

 切断できれば最善。できずとも───


「っしゃあッ!!」


 ───大鉈を取り落とすなら次善!

 小手というより、親指の付け根を斬りつけた一撃は深々と肉を裂き、デーモンの手から重量級の凶器が零れ落ちた!


 好機到来とばかりに、残った体力をつぎ込んで斬りつけ……?!


「げっほぁッッッ……!?」


 苦し、なにが、おきて……痛……!


 尾。尻尾だ。やつ、は、斬られ、なが、ら、尾で……!


「く、そォッ!」


 まずい。今ので生命力がごっそりと持っていかれた感覚がある。

 それだけじゃない。ダメージを受けた時、ライフポイントだけでなく、体力ゲージも減少させられるというカオチャの仕様と同じ現象が、俺にも起きていると感覚でわかる……!


 今の一撃で俺の生命力と体力は、枯渇寸前だ。

 くそ、もう一息なのに……! と、俺が歯噛みした時だった。


 その『燃え滾る岩つぶて』が飛んできたのは。


「えっ!?」


 数にして四つ。炎を纏った一抱えもありそうな岩のつぶてが、蜥蜴頭のデーモンの胴体やら腕やら足やらに着弾した。

 たまらず体勢を崩し、四つん這いになって動きを止める蜥蜴頭。


 ───体幹維持不能、行動キャンセル発生。

 ───行動不能時間発生。特殊ダウン発生。

 ───特殊行動、致命的攻撃クリティカル可能。実行。


 その瞬間、俺は炎の岩が飛んできた方を確認するのも忘れ、蜥蜴頭のデーモンに、とどめを刺しに行っていた。


「ぁぁぁらァッッッ!!」


 ロングソードを両手で構え、眼窩への突き込み。

 眼球を貫通し、深々と刺さり、脳髄に刃が到達。

 えぐりながら、抜き取る。そして───


「やっ、た……!」


 崩れ落ちる蜥蜴頭のデーモン。

 流れ込んでくる大量のカオス・マター。

 はっきりと、斃したことがわかった。


 ここに至って、俺はようよう振り返った。

 さっき飛んできた燃える岩は、俺の記憶が正しければ【魔法】なのだ。


 はたしてそこには、黒いフードと襤褸ぼろを……いや、よくよく見れば、それは汚れこそ目立つものの、絹のような質感の黒いローブを纏い、手には木製の杖を持った、女魔術師らしき人影が歩み寄ってきていた。


「あ、アりがとウ、ゴざいましタ……」


 従容しょうようとした上品な歩みからは害意が見受けられず、とにもかくにも俺はまず頭を下げ、怪しい発音で感謝の言葉を口にした。


「ふむ? 貴公、まさか【なりたて】か?」


 幸い俺の直感は当たったようで、声から敵意は少しも感じられない。


「どうも上の連中とは毛色が違う故、思わず手を出したが……よもやなりたての雛鳥とは思わなんだ」


 それよりも俺は、静謐せいひつさを滲ませた、玲瓏れいろうで美しい声音に驚いた。


 そして姿を見た時に、俺はこの女性が誰なのか半ば推測していたが、こうして近くで見て、推測は確信に変わった。


「アの、違っていたラ、ごめんなさイ。貴女は、もしかしテ」


 まさか、なぜ、どうしてここに『この人』が。


「うん?」


 小首を傾げた仕草の拍子に、フードの奥のかんばせが僅かに覗く。

 ゲームでの顔とは当然違う、だが明らかに面影は『彼女』のそれだ。


 頬は白く、彫りの深い顔立ち。

 切れ長の眼は鋭いが、冷たさは感じさせず、湖面のような透明さを湛え、なのに温もりを感じさせる、不思議な奥深さを備えた面差し。


「貴女は……【岩と炎の魔女ヴィオラ】様、ですカ……?」


「ふむ……その名を斯様かように柔らかく呼ばれたのは何時いつ以来か」


 彼女はきょとんとした顔で、意外そうに呟くと───


「いかにも。私の名はヴィオラ。岩と炎の魔女などと呼ばれているよ」


 ───玉貌に不敵な笑みを浮かべて、俺の問いを肯定したのだった。




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