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寝室の会話③


カンリーという男にはこの大男の迫真の土下座は効かなかった。


「随分勝手な言い分だな。誰を、どう処罰するかなど、我々が決めることだ。そこにお前らの意見など考慮されるはずがなかろう。」



威厳ある態度でそう言い放つ。



まぁそうだろうな。

言ってることはキツいが、真っ当だった。


俺はなんらかの処罰が下される、そう覚悟を決めた。


何でこんなことになったんだ。

財宝があるからなんて低俗な理由でわざわざ

身支度を整え、それなりの服をクローゼットから引っ張り出して遠路遥々(徒歩10分)城までやって来たってのに。


やっぱり俺はツイていない。

俺にとっての人生とは、どれほど自分がツイてないか、どれだけのハズレくじを引いてしまったのかを長い時間かけて証明してくれるようなものだった。


「さあこれで話はおしまいだ。お前たち!この者達を連行しろ!」


カンリーという男は支部団長らしく部下の兵士らしき者達に指示をする。


ああ終わった。まあ俺なんて、すでに終わっているようなものだったか。


完全に俺がことを諦めてたその時、


「待つのだ、ごほっ、、支部団長カンリーよ、、。その者達にひとつ、頼みたいことがある、、。」


カンリーと呼ばれた男は、続きを聞きましょう、と言うかのように、体は向けないまま、静止と沈黙を保った。


その態度を見て、国王が続ける。


「私は近頃、、といっても約半年にも及ぶのだが、、この通り、体調があまり優れていない。、、もちろん城の者たちも懸命な看病にあたってくれているが、このまま体調が優れないままでは、窮地に立たされた我が王国の復活のための執権を取ることもままならない、、。」



どうやら国王の体調が良くないのは最近だけの話ではないらしい。

しかもその程度も軽いものではないことは部外者である俺にもわかった。


「ごほっ、、!そこで頼み事があるのだ、、。」


少しの沈黙を経て、国王は言った。


「ただちに王都を旅立ち、無法地区を抜けた先にある、魔女と薬の町 ”ダックマトー” で魔女王シャンディナに会い、この王都の深刻な薬草不足を解決するべく、十分な薬草とその調合士の援助をお願いしてもらいたいのだ、、、!」



国王は苦しそうな顔を真っ直ぐこちらに向けたまま、静かに俺たちの反応を待った。


部屋の兵士、救護の者達、そして国王が全員で俺たちを見つめている。


俺は思考が止まった。


いや、思考するのをやめ、こう言った。




「俺たちでよければどこへだって行きましょう。」



この時の俺はまだ、この冒険の過酷さを全く想像できていなかった。



大男、ダンマはぽっかり口を開け、俺の方を見て言った。



「え?俺たちで?」


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