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腹黒王子とシンデレラ  作者: たかはし
2/2

唐突展開

「突然だけど僕、桜田さんの事好きなんだ。」


「…え…?」


突然の告白に動揺しかないけれど、取り敢えず時間を遡って整理してみよう。


坂本くんに副会長としてスカウトされた私は早速彼と共に手続きの為に職員室へ向かった。

今まで真面目に学校生活に励んでいたお陰か、担任にも顧問にもあっさり承諾を貰えた。

顧問からは少し寂しがられたけど。

「桜田〜!生徒会行っちゃうのか〜!あいつらも寂しがると思うからたまには顔出しに来たって良いんだぞ〜!」

フットボール部顧問の深瀬先生は天然で抜けているところもあるけどとても良い先生だ。しかし椿を信用し過ぎている節もある為、無視の事を先生に相談したところで思い込みだと一蹴されるだろう。

「今までお世話になりました。」

まあ良い。もう二度と関わることの無い部活の事なんてどうでも良いんだ。

こうして私はフットボール部を辞めて、生徒会に正式に入る事になった。


「やっぱり桜田さんは人望があるんだね。」

職員室から生徒会室に向かう途中、坂本くんはにこやかに私に言った。

人望ははっきり言って無い。しかしここでそうやって言ってしまうのもなんだか引かれてしまう気がして取り敢えず愛想笑いしておいた。


「突然だけど僕、桜田さんが好きなんだ。」


「…え…?」


ここで冒頭に戻る。

本当に唐突過ぎて何が何だか分からない。

どう言う意味の好き…?


「もちろん、恋愛としての好きだよ。僕と付き合ってほしい。」


なんなんだ、全てにおいて唐突じゃないか。

そりゃあ坂本くんは完璧人間だけど…彼の事は殆ど知らない。話すのだって今が初めてだ。


「どうして私の事なんか…」


「一目惚れかな。桜田さんの顔がすごく好みだった。えへへ…恥ずかしいな…」


イケメンの照れ笑いはなんかこう…来るものがある。


「私なんかで良ければ…」


気付いたらこんな事を言っていたくらいだから。


こうして学校一の王子と付き合う事になった訳なんだけど生徒会室への道中は気まずくて何も話せなかった。

坂本くんは一生懸命話しかけてくれたけど。

さすが優しいなー…。


「桜田さんと一緒に仕事したくて副会長にスカウトしたって下心もあるにはあった事は認めるけど、単純にいつも頑張ってるのを見かけて声かけたってのもあるんだよ?!」


聞いても無いのに必死に弁明してくる坂本くんは面白い。

こう見るとなんだか犬っぽくて可愛いな。

犬っぽいといえば志筑もそうだった。

人懐っこくて常に楽しそうで「琳ちゃん!!」って言いながらよく話しかけて来てくれたものだ。


成り行きで付き合うことになったけど坂本くんもいつかは志筑みたいになるんだろうか。


そう思うと怖い。


今はそんな事は考えないでおこう。

せっかく部活を断ち切って新しいコミュニティーを得たのだ。


坂本くんが一方的に話してくれるのを聞く限りでは

・今のところ私しか勧誘していない

・勧誘期間は1ヶ月後の6月15日まで

・坂本くんの血液型はO型

だという事が分かった。

最後坂本くんの情報が入ってるな…。


「琳寧ちゃん、着いたよ。ここが生徒会室。」

いつの間にか呼び方が変わっているのは突っ込まないでおこう。

琳寧ちゃん呼びは池田を思い出すけれど。

池田がかつて私に好意を寄せていた頃勝手に琳寧ちゃん呼びをしてストーキングして来たものだ。今ではすっかり椿にぞっこん。「美波ちゃん〜!!」って感じだけどね。

また部活のことが。

忘れろ忘れろ。部活の事なんて。


こうして私は生徒会室の扉をくぐった。


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