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腹黒王子とシンデレラ  作者: たかはし
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学園生活逆転物語

「ねえ…!」

「…チッ…」

私が声をかけると私を睨んで舌打ちしながら去って行ったのは同じ部活の人たち。

どうしてこうなってしまったのだろう。

桜田琳寧、高校2年生。フットボール部所属。

フットボール部は部員数が少ない為、女子5人、男子7人の男女混合で活動している。

部活の雰囲気はとても良く全員同学年で全員仲が良い。…そんな部活だった。去年までは。

何がきっかけでこうなったのかは分からない。

それは私がうっかり失言してしまった時かもしれない。

私が遊びの誘いを断った時かもしれない。

一年生の頃は全員で遊ぶ事も少なくなかった。それが私だけ誘われない事が増え、話の輪に入ると嫌な顔をされ、仕舞いには無視されるようになった。

何よりも楽しかった部活が今は苦痛の時間へと変わっていた。

辞めれれば良かった。

しかしこの学校は退部という制度が無い上に最低活動日数である年190日をクリアしないと内申点を下げられてしまう。

有名大学へ何としてでも各学校優秀生徒2名以内限定の奨学金付き推薦を狙っている私にとっては部活に参加しないと言う選択は出来ないのだ。

クラスでは私は一人ぼっちだ。

避けられている訳ではない。

コミュニケーションを取るのがどうしても苦手だったせいで友達を作れないのだ。

だからこそ部活こそが唯一の安息の場だった。

主な首謀者は4人。

同年代のエース、椿美波。サバサバとした性格のしっかり者で私たちの学年を引っ張る存在だという認識を持っていたが、気が強く女王様気質の部分がありこの部活では彼女の命が絶対なのである。おそらく主犯だ。

椿の犬、志筑麻耶。人懐っこい性格でコミュ力が高い。が、かなり流されやすい性格をしていて椿を崇拝している。その証拠に椿に嫌われる以前は私とは毎日電話するほど仲が良かったが今はガン無視である。

ムードメーカー、西馬雄也。常に騒いでいるフットボール部のムードメーカー。椿の幼馴染で志筑と付き合っているようだ。

椿の奴隷、池田照。元々は私に好意を寄せていたらしいが2年の始めに椿に惚れて以来椿の奴隷として積極的に嫌な態度を取ってくる。

こいつらは完全に無視してくるが、他の部員たちは一言くらいは会話してくれる。本当に一言過ぎて話し掛けるのもやめたけど。

よって私はこの学校で居場所の無い日々を過ごしていた。

あの日までは。


「桜田琳寧さんはいますか?」

放課後、帰り支度をして帰ろうとしていた頃、教室の前の扉から男子の声が聞こえた。

その声の主を見て教室中が騒ついた。

それはこの学校の生徒会長、坂本大河だったからだ。

坂本大河と言えばこの学校で知らない人がいない程の超有名人。頭脳明晰運動神経抜群、おまけにかなりのイケメンで高身長。真面目で爽やかで誰にでも優しく教師生徒からの信頼がとてつもなく厚い。つまり超完璧超人なのだ。

そんな坂本くんが私に何のようだ…?

「桜田は私です。どういったご用件でしょうか。」

「実は桜田さんを生徒会にスカウトしたくて。」

爽やかスマイルが眩しい。これは100人中150人が落ちても無理はない笑顔だ。

…ていうか、生徒会…?!


この学校の生徒会は生徒会長が指名した人間が選ばれる。

副会長1人、書紀2人、会計2人の計6人だ。

生徒会長の指名とは言えどそれなりに優秀な人しか入れない。

生徒会は全校生徒の憧れの存在なのだ。

そんな生徒会に私を…?


「どうして私を…」

「桜田さんは先生方からの評価も高いし、とても素敵な人だと思ったから是非一緒に活動したいと思って。副会長をやって欲しいんだ。」

「す、素敵…?ふ、副会長…?」

「桜田さん、引き受けてくれないかな…?」

坂本くんが私の手を取って私の目をじっと見つめて来た。

教室の扉の前で。

クラスメート全員が見ている。断れない。断る理由も無い。

それに…

生徒会に入れば部活を辞めなければいけない決まりがある。フットボール部とおさらばする良いチャンスじゃないか。

「喜んで引き受けさせて頂きます。」


こうして、私の坂本くんとの生活が幕を開けた。

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