終わりに見る夢
父が末期の膀胱癌で入院しました。
・・・知らない天井だ。
ここはどこだろう?
あぁ、病院のようだ。
幸せな夢を見ていた気がする。
自分はなぜここにいるのだろう?
家族は・・・いたような気がしたが、
よく思い出せない。
帰りたいなぁ。
帰りたい。
どこに家があったか思い出せないけど。
下腹部に鋭い痛み。
看護師に痛みを訴えたら、
薬を処方された。
飲んだらいけない気もするが、
痛みから逃れるために飲む。
またわからないことが増える。
また意識が遠くなる・・・
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『409号室の患者さんは薬飲んだ?』
『はい、モルヒネ投与しました。今眠ってます。』
『末期癌で認知症で入院、感染症対策でご家族にも会えないでいるから、もっと我儘になるかと思ったけど。』
『そうですね。最後はご家族と一緒にいさせたいですけと。』




