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dead leaves

dead leaves

作者: SAKAZUKI

 いつもと変わらない日常なのに

なぜか違う景色を見ているような感覚を覚え、憂鬱な心で何かも

失うように僕を覆う

「ねえ、元気ないね」

 そんな一言だけでも心にトゲが刺さる

恋人に裏切られたと思ったやさきに友達に裏切られる。

 毎日の生活が飽きたと感じたら新しい刺激を求める

誰かに構ってほしくて、誰かに助けてほしくて

助けを求めても踏み止まって頷いて聴いてくれる人が

この世界にいるのか時々不安になる。

 優しい人になろうと努力をしても何が正しくて、何が間違いなのか分からなくなる。

それでも不思議に心臓の鼓動が小さく鳴り響く。

人間に裏切られた罪悪感が浮かび上がる。

 掌に煌めきが浮かび上がる その煌めきを掴もうとするが逃げてしまう

一つ二つと落ちる雨の雫と同じように心も哭いている

『dead leaves 』みたく握ると砕けて落ちる。

そんな荒んだ日々を見つめて暗闇で枯れるサケビ。

「ねえどうしたの?」

「いや、別に」

適当な言葉を探しては逃げる。

 素直な心で伝えられたら幸せかもしれないけれど、素直になるほど

枯れてしまって傷ついた心には笑顔が少なくなっていた。

 刹那で出逢う人々は皆笑ってはいないし、

自分も笑っていない。

「半透明な世界の『スガタ』をしっかり映し出すものはどこにあるの?」

「何それ、変な奴」

 そう笑われたけど、僕にもよく分からなかった。

何かも失っていきそうな心に響く言葉は助けを求めていた

雑音とともに消える足音で不安な気持ちを抑える。

 まだ見えそうにない未来に進もうとするけど

人間に裏切られた罪悪感はこの世の終わりのようにいつも消えていく。

「大丈夫、私が居るから思いっきり哭いていいよ」

「でも僕にはできない」

いつもそうやって自分は強がる。

 呆れた顔に少し眉間の皺が寄る友達の頭を撫でた

けれど、嬉しそうな顔ではなかった。

不幸せそうな顔に僕はつられて暗闇に溶け込む。

瞳の中に映るものは、レーザーのように切れている『スガタ』が映る

煌めきで見える影はどことなく寂しく思えた。

 喧嘩をして後から気づく信頼の大切さは

軋むベットみたいに鳴り響く。

「ねえ、どうしていつも暗い顔をしているの?」

「僕はただ前向きに生きようとしているだけなんだ だけどいつも迷って壁にぶつかって、毎日が憂鬱に感じる」

「私は努力しているあなたが素晴らしいと思うよ」

「なぜかいつも僕ばっかり励まされている気がするよ」

そう言って僕たちは肩を寄り添う

幸せだと感じるのは友達の存在だけだった。


 学校での生活は瞑い存在に見られないように明るく振る舞う

だけどそれは自分に嘘を固めているように感じてあまり心地よい気分ではない。

「ちょっと可笑しな奴」と思われるくらいが丁度いいかもしれない。

 本当の『スガタ』を見られるのはあまり得意でもないし、相手の想像より違った印象を与えるだけだ。

「ちょっとお前元気出せよ」

そう言われると腹が立った。

 僕は強がっているだけで何もできやしない

けれど、馬鹿にされるとむしゃくしゃした。

「じゃあ、頑張っている人に頑張れ!って言えるの?」

少し怒り気味で強く返した。

 自分はこれでも他の誰かより努力をしているつもりだった

口先だけの人間ではないし、後先考えず先々に行動はしない。

そいう人間は後々痛い目に遭うのが定めだけど、何も学ばない人もいる。

「ちょっとこっち来て」

 友達が僕を呼ぶ声がした

ついて行くと空き教室に入った

不思議そうな顔で彼女は言い始めた。

「学校でのあなたといつも私に見せてくれる『スガタ』違うよね」

「うん、ちょっと明るく接していこうと思って。」

「そうなんだ」

「いつも君に助けてもらっているから僕も役に立ちたい」

 僕は周りと違う 何かに怯えて生きている

下手に学校で明るく振る舞うのは心が傷ついていく。

 けれど、傷ついた心を癒してくれる友達がいた。

「うん、そうだね」

その一言だけでも救われる。

 帰り際に僕たちは星の話をした。

「星っていうのは僕と違っていつも輝いている。 その煌めきを掴もうとするといつも逃げてしまうんだ」

「ずっと輝き続けるよりも少し迷うほうが人間らしいと私は想うよ」

そこには久しぶりに微笑んだ彼女の『スガタ』があった。

その微笑んだスガタは探し物を見つけるかのように一つのパズルピースみたく埋まっていく感覚に包まれる

 それに僕は多分彼女の存在が無ければ死んでいたと思う。

人に裏切られ見失いそうになっていたからだ。

「あなたには『夏輝』という名前があるんだからちゃんと生きなさい」

 母に言われた言葉が脳内に過る

その名前をちゃんと役立っているのかよく分からなかった。

けれど、友達との日常で名前を呼び合う

その度に名前の大切さを覚えた。

どこか懐かしい感覚に浸れながら瞼を閉じた。


 翌日、目を冷ますと梅雨が降っていた

雨が降ると憂鬱な気持ちになることが多かった。

昔、雨の日に元恋人と別れたことが原因だった。

 元恋人は『嘘の塊』で僕にいつも嘘をついていた

彼女は凄くビッチで長続きはしない

まるで小学生な恋愛のように思えた。

「世界で一番好きだよ」 そんな言葉が嘘だったかのように彼女はすぐ僕を振った。

僕を振って後悔しているかと思っていたが、他の男とたぶらかしていた。

 別れた後は未練を引きずっていた

楽しいはずの日常がつまらなく感じていた。

「もう一度やり直したい」

 その感情が心の中で薔薇のトゲが突き刺さる

けれどその感情を消したかったのだ。

何度も裏切られては許してしまう自分が嫌いで逃げたくなっていた。

カタチを消したくなるたび暗闇で哭いては公園の木から落ちていた枯葉をぐしゃりと握り潰した。

それは人間の荒んだこころと同じく崩れ落ちたのだ。

 誰も信じられなくなっていた頃、今の親友と出逢った。

親友の名前は『美花』

美花はいつも心配してくれては僕の話を頷いて聴いてくれていた。

「いつもアリガトウ」

「夏輝こそアリガトウ」

 学校での美花とのやり取り、LINEでのやり取りは僕にとって幸せなひと時だった。

彼女は自分を信じてくれる人で信頼できるのだ。

それからは自分自身が変わっていくように感じていた。

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