再任務
屋敷の中は薄暗くジメジメとしている
屋敷の中はいくつもの蝋燭が照らしていた
その先は上に続く階段がある
「じゃあ俺らは上を調査するので」
「おうよ気をつけろよな」
二階に上がってすぐじぃが話しかけてきた
「少年どう言う確信があって二階にお嬢がおると思ったのですかい」
「ホコリだよホコリ、風のないところでホコリが舞うわけ無いだろ」
そう言って通路の奥を照らす
通路は宙に舞うホコリがキラキラと輝いていた
「そのようですな、それにしてもよく知っていましたな」
「まぁね」
そりゃあ、前世の知識もありまっせ
風なきところにホコリたたず
20年も生きれば一度は耳にする?
……いやしないか、じゃぁ何で知っているんだっけか
まぁいいや
そそくさと通路を進んでいくと横の部屋からゴソゴソと音がした
「先輩?」
すると部屋の襖が開き先輩の顔が覗く
「入ってくるなと言っていたはずだけど」
「先輩、言ったのはそこで待っててですよ」
「言った言ってないの話なんて後でも出来るでしょう、今はそれどころじゃありませんぞ」
「そうだった先輩早くここから出るぞ、武器は見つかった?」
「ええ見つけたわ」
そう言って手に持った刀を見せてくる
鞘に綺麗な装飾が掘られた
後ろでじぃがほぅと呟いていた
良い刀なのだろう
「それにしても何があったのよ」
「二人、人が来た」
「人って何でよ」
「ギルドの調査依頼だとか言ってたな、今は二人とも下に居るけど急ぐに越したことはない」
「いままでこんな事一度も無かったのに……いまはいいわ中に入って」
招かれた俺らは先輩の部屋に入った
部屋は何の変哲もない和室、だが年頃の女の子が使っている部屋には見えなかった
丸窓によって開放感のある部屋には床の間に飾ってあるなにかの動物の絵と花を活けるはずの壷だけ
お陰に丸窓からの景色は枯れ木と枯れ池
これぞ殺風景ギャルゲの景色よりもぼやけて見えるぞここ
「……ここ先輩の部屋ですよね、それにしてはなんと言うか生活感がない」
「そりゃそうよ寝るだけの部屋だもの」
「え、飯は?」
彼女は少しためらった様子をしていた
「食べたいわよ、けど食べれないの」
「なんで」
その質問に対して先輩は腕の鱗を指差しながら話しだした
「これのせいよ、ねえ後輩邪神の別名って知ってる」
「アルティメットドラゴンの事か」
そう言うと先輩は呆れた顔をした
「何それ違うわよ、『眠り神』って呼ばれてるのよ」
「それとこれとは何が繋がってるんだよ」
「ちゃんと最後まで話を聞きなさいよ
邪神は最初に産まれてきた生物と言われているの
植物なんかよりも早くね
だから活動に必要なエネルギーを光から得ていたの
大きな邪神はそれこそ沢山のエネルギーが必要だからずっと寝ているのよ
そして私も光から様々なエネルギーを得ているの
けどね私の体はどう?
邪神なんかに比べたら本当にちっぽけなもの
だから光以外のエネルギーが要らないの
食事が出来ない
いや体が拒絶するのよ」
なるほど、邪神の子というのは体中に鱗が出来るだけでは無く邪神の特徴を持っていると言う事か
と言うことは
俺は先輩の目を覗き見た
「なによ」
ざんねん目蓋はあった
何だか頬が赤いような
そんな事を思っていると先輩の目はキッとなり俺を睨んできた
「なに人みて残念そうにしてんのよっ!」
そう言うと先輩は俺の首根っこを掴んで丸窓に近づく
何という力、自分より大きい男が本気で踏ん張ってるのに体が引っ張られるではないか……
まさか
「許して、許してください、お許しくださいそんなことしたら怪我しちゃう」
「お、お二人共静かにしてくだされ」
「そうよ黙りなさい、許してほしいなら口を開くんじゃなくて身を持って誠意を示しなさいよね、ほら歯食いしばって」
俺は弁解の猶予も与えられることなく丸窓から外に投げ出された
それも軽くポイッて効果音が付いちゃう感じで
おい後輩野球しようぜ
お前ボールな
あ、ごめんごめんボールに拒否権なかったな、ってノリで
こんなんじゃ国民的アニメとして放送できないじゃないか
別に胸のことを見ていた訳じゃ無いのに
と考えている間に
俺は落下中に体を捻り体制を整え綺麗に着地をする事に成功
追って二人も着地
「では、依頼されている村まで行きますよ」
俺らはその場からちゃっちゃと離れ馬車に乗る
依頼の村は馬車で5時間程度の所にあるだとか
この世界では人の体の作りが違うようで
さっきの着地は
前世の体では成し遂げる事のできなかったこと、健康体であっても出来ないようなことだ
言うならば体操選手とまでは行かないがそれに近しい体
前世ならこのままプロになれるかもしれないがこの世界ではこれが普通より多少は上程度
世には時速100キロで走れる人が居るだとか
では何故それまでに体が発達するのか……
「ねぇ、後輩あなた魔法は何の適性があるの?」
魔法の存在である
それは奇跡を起こす神の真似事
故に生物はそれを自らもしくは自然の力を消費し使用する
その力は魔力と言う
身体には根を這うように、されど模様の様に均等に跡があり、それが広いほどに魔力量は多くなる
と教会の書物には書いてある
が実際その跡だけに魔力がある訳ではなく全身を血液のように流れている
ただ、その魔力を流すのに血液を流す何十倍もの不可がかかるが故に魔力を流しやすくするため体が柔らかく強く発達するのだ
ちなみに俺は両肩に跡がある
魔力量は普通といったところだ
「俺には無いな、じぃは水に適性がある、先輩は?」
「私は地と光よ」
適正とは
その人間の魔力の相性によって使える魔法が変わるものだ
まず魔法の種類は
火、水、風、地、草、光、闇
と7種類あり
そしてそれぞれに初級中級上級と分けられる
初級は木の幹を
中級は家一戸を
上級は村一つを
破壊できる威力と言われる
適性があっても中級までしか使えない事が多い
適正は相反する属性が同時に同じ魔力に存在出来ないため最大で4種類までしか持つことが出来ない
火は草を燃やすが水で消え
水は火を消せるが風に流れを変えられる
という感じに相反する属性同士が存在出来ないが故の4種類である
そして逆に何の適正の無いものも居る
人類の半分がその無属性である
かと言って皆が皆、火や水を使えない訳でもない
それが自然の力を消費し行使する方法だ
これを魔術と言う
魔術は魔法と違い魔術を行使する道具、魔道具が必要になる
基本は使い捨ての札がオーソドックス
何度も使える魔道具もあるが、一般人には手が届く値段ではない
札は普通に買えはするがあんなもの札に書かれた術式の版画でも作れば誰でも出来る
だからといって魔術が物凄く使えると言うわけでもない
まず魔術は環境依存だ、カラカラの砂漠じゃ水の魔術は使えない、水中じゃ火の魔術も使えない
さらに札程度じゃ初級程度の魔法しか使えない
まぁ何度も使える魔道具やより細かく大きな術式さえ書けば中級や上級も使える
ちなみにこれが何度も使える魔道具の値が張る理由でもあったりする
そんなこんなで札にポンポン版画を押している間に馬車は目的地へと到着した