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経験の果て  作者: ナかめ
6/9

少女2

「少年……年頃なのはわかりますが、誘拐は流石に」


「ち、違うんだよ、誘拐じゃなくて治療をする為に仕方なく……」


そう仕方なくなんだ

だからそんな目で見ないでくれ

目覚めちゃうでしょ


俺は彼女との一部始終を話した


「分かりましたそういう事にしておきましょう、で?」


じぃはいつもどうりの穏やかな目に戻ったが目の奥は穏やかでは無かった


「で?と言うと?」


「少年!

貴方が拾ってきた少女がどんな存在か知っていますよね?

邪神の子ですよ!

神聖教会に狙われている存在ですよ!

そんな者を匿っているとバレれば狙われるのは私達ですよ!」


「じぃの言うことは最もだ、けどあんなこと言ったのは俺だ、幸いこの国はそこまで教会の力は無い」


じぃの言っていることは当然だ

最初はバレないだろうかいずれ必ずバレる

そうなれば命は無い

少女もろとも、首チョッパだ

それまでに絶対どうにかする

その意志を伝えると

じぃは、子供を見殺しにするのは寝苦しいと自分自身に言い訳をしながら了承してくれた


「それと、この後の依頼はどうするのですか?」


「大丈夫だ、俺らが依頼に出るまでには回復するはずだ」


そう言って、少女を指す

さっきまで鱗の毟られて血の出ていた腕には鱗がはえて、えげつないスピードで元の形に戻っている


正直気持ち悪い


「栄養剤飲ませてからあんな感じだ」


すると少女は空気を読んだように目が覚め起き上がる


「おっ起きたか……」


「聞いた」


少女は起きたかと思うと、話を遮り話しだした


「私、戦えるわ!

剣使えるし身体も治った

力になる事が出来る

だから……

その以来に私を連れてって」


見るからに焦っていた


「でもお前剣持ってないよな

俺らお前に剣を買ってやれる余裕は無いぞ」


なんたって風呂行くのでさえ奮発とか思ってるからな

今回の依頼の戦利品でどうにかしてやるつもりだし

今回は休んでてもら……


「……ある」


「へ?」


「家にある、今から取りに行く」


「わかりました家に行きましょうか

しかし、今日の依頼の動向は許可できませんぞ

まだ身体が回復しきってないでしょう、それに親御さんが心配しますよ」


「親は居ないわ

それにもう身体は痛くない」


軽いいや重い

今さらっとめちゃくちゃ重いこと呟かなかったか?


「失礼、つかぬ事を聞きましたな」


「いいわよそんな事……慣れたし

それより私を連れて行って」


え?慣れた?どんな過去をおくったら慣れるんだ?

にしても本当頑固だな

コイツは絶対に譲らないだろうな


そう思ってしまった俺はあっさりと折れてしまった


「わかった、じゃあ聞くがそんなに何を焦ってんだよ」


「それは、お母さんを探さないとだから

私こんなんだから誰もまともに会話してくれないのよ

でも貴方達は……」


「俺達はまともに会話できるから、利用して母親を探そうってか?それは何でも……」


「えぇ図々しいと思うわ、けど貴方達しかいないの

だから、代わりに荷物持ちだって魔物の剥ぎ取りだって何だってやるつもりよ」


ほう……何でもかならまぁ


「少年よろしくない顔をしてますぞ」


おっと危ない危ない

顔に出ていたようだ

何をお願いするかは後で考えよう


「よし、じゃあ取りに行くか

ほら、ぼーっとベットに座ってないで立て、身体痛くないんだろ?」


「少年、お嬢さんにもう少し気を使って……」


「大丈夫よ

もう痛くないもの

それと私の事、さん付けで呼ばなくていいわ

物を頼んでる側なんだし」


「分かりました

ではお嬢、私の事はじぃと呼んでください」


「わかったわ」


「俺の事は好きに呼んでいいぞ、その代わり邪神ちゃんって呼んでいい?」


「え?だめよ

そんな安直な呼び方じゃ直ぐにばれるじゃない」


「だよな……」


「じゃあ行きましょ」


何でいつの間にか邪神ちゃんが仕切ってんの

て言うか何その口調

生意気すぎでは……とか言う疑問は邪神様の家に着いた時に弾け去った

目の前にはでかい家否お屋敷があった

寝殿造りのお屋敷の周りを囲むでかい壁、中庭には池もある

ただその壁は色が剥げ、池はほぼ枯れていて、家からは生活感が感じられなかった


「お前貴族だったのか」


すると邪神ちゃんはない胸を張って自慢する様に喋りだした


「そうよ、これでも昔はこの周囲で1番お金持ちの家だたっもの

今は没落して親も使用人も居なくなって蛻の殻だけど……」


「6年前って今いくつだよ」


「16よ

そういう貴方はいくつなのよ」


嘘だろ邪神さん歳上なのかよ

年下だと思ってたのに……

誤魔化す……のはだめだ、じぃに聞かれればすぐバレる


つい生前の感覚で年を判断していた

前世の俺から見たら今の俺も相当若いかった


「15だよろしくな、先輩」


まぁ中身は20超えてるけどな


すると彼女は少し嬉しそうな顔をした


「そうだったの、あんなに威張ってたから年上かと思ってたわ、けどね先輩の私は心が広いのだから今までの不敬許してあげるわ」


「ははー」


直ぐに扉に手をかける


「直ぐに取ってくるからそこらへんで待ってて」


先輩がお屋敷に入っていって間もなく

庭に若い男女2人が入ってきた

20代位だろう


「先客いたんか、一番だと思ったんやけどな、兄ちゃん達もあれで来たんやろあれ、何やっけ」


なんなんだこのチャラ男

兄ちゃん呼びはちょっと嬉しいけど

それより、あれとはなんだあれとは


すると後ろの女性が呆れ顔で話し出す


「あんたね言葉探してから話しなさい言ったでしょ」


『あれ』について説明してくれるのかと思ったが男性をしかりだす


「あの……」


「あぁごめんごめん、そうや依頼の事やったな、あんたらもあれで来たんやろ?」


「なんの事だ?」


「何ボケとんのや、ここに居るってことはこの屋敷の調査依頼やろ?普通こんな呪われた所に来るやつおらんて」


「呪われた……」


「なんや兄ちゃんそんな事も知らんのかい」


「最近ここに来たものでしてね」


「そー言うことやったか、どうりで見ない顔やなって思ったわけや」


男はこの屋敷の事を、たまに女性の翻訳を挟みながらも説明してくれた


この家の主人は強く威厳ある騎士であった事

奥さんは優しく誰にでも見返りを求めず手を差し伸べる人であった事

16年前この家に邪神の子が生まれた事

その5年後に父親が行方不明になった事

その3年後には家の金が尽きた事

そのまた2年後に母娘ともに行方不明になった事


「そんなことあってかここは呪いの屋敷呼ばわりさ」


「やけに詳しいですね」


「えぇそりゃ、ここで使用人として働いてたしな」


懐かしぃなあとか言って居るが、もしかして年齢と見た目が釣り合わない長寿な種族の方々で?


そう竜のような鱗の生えた人間もいるのだ

耳が長くて長寿なやつだって

獣の特徴を持ったやつだって居る


となると、そうゆう種族も教会の標的にされるのじゃないかと思うが、教会は普通の人と人の間に産まれる邪神の子を狙うのだ

『何故神の姿をもした人と人の間から別の者が生まれるのだ』

という感じで

なので

普通の人間が神の姿をもしているからと言って耳長や獣人などは差別されることは無い


あ、よく見たらこの二人耳長じゃん


「あ、そろそろ行かなきゃな」


「あ……」


「なに、続きなら調査しながらでもできるだろ」


そう言って屋敷の扉を開けた


「いえ、もう知りたい事は無いですよ

同じ依頼です手分けして調査しましょう」


いかんいかん話に夢中になり過ぎた

先輩が10分程経つのに帰って来ない

いや帰ってこなくて良かったのか?

とにかく何かあったのかもしれない

早く探さないと

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― 新着の感想 ―
[良い点] 何かサスペンスの予感がする切り口ですね 主人公の身に何が?? まだ温泉言って邪神に呪われた貴族の娘を家に運んだだけだからわからないが、事件の匂いがします。 今後期待致します。
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