予期せぬ秘密部隊の登場
ハッカーのコンピューター侵入が失敗に終わり隠れ家を追われた一同。
ハッカーとミトンは運び屋タッカー運転の元、最寄のスラム街に到着していた。
タッカーは2人を下ろすとそのまま車でどこかに走り去って行った。
大きなマントを頭から被り周囲を伺いながら街の中に歩いて行く2人。
「…ねぇ、取り合えずこれからどうすればいいの?」
「それらしく振舞って。スラムにはそれぞれのルールがあるの。まずはここで怪しまれない様に溶け込まないと」
「それらしくって、具体的には?」
「不幸そうな顔して人の顔色を伺う感じ。目立つ様なことはしないでね」
「それなら演技は要らないわね。今まさにそれの真っ只中よ」
こうして2人は馴染みの無いスラムの街中に姿を消して行った。
その頃、刑務所に戻ったエヴァンスはイロヨク、ブラックと共に絶望に追われていた。
「おいおいおい~、そりゃヤベェんじゃねぇのかよ?そのスラムってその基地からそんなに離れてねぇ場所だろ?そんな所に女2人を丸腰のまま野放しにしたってことだろ?そのタッカーって運び屋に頼んで海外にでも逃がせばいいじゃねぇか!」
「あいつ自身がお尋ね者さ。ビザもパスポートも持っちゃいない奴にそんなことが出来る訳無いだろ」
「…ブラック、お前の人脈を使っても何とかならないか?」
「国境跨ぐって話じゃ力にはなれないねぇ。そこまでのヤバいヤマを素直に引き受けてくれる奴はそういないさ…」
「…そうか」
「おいおいおい!2人だけじゃねぇだろ。このままじゃ俺達だってヤベェ。相手がどんな強硬手段使ってくるかも分からねぇのに!俺達も早く逃げないと!」
「どこへだい?」
「どこだっていい!このまま捕まって拷問で責め殺されるなんて俺は絶対にお断りだぜ!!」
「半べそかいてんじゃないよ、男だろ?まだそうと決まった訳じゃない」
「決まったも同然だろ!あの隠れ家がバレたってことはエヴァンスとの繋がりがバレた、つまり俺達が2人を逃がしたってことが明白になっちまった。こうなったら俺達ぁ第一容疑者だ。もしかしたらもう新手が俺達を捕まえにこっちに向かってるかもしれないだろーが!!」
「あぁその通りだ。ここから脱獄した囚人が地図に載らない隠れ家に潜伏、その基地を知る俺はここの看守、出来過ぎてる。白を切るには無理があるな…」
「あぁぁぁっ、ちっくしょおぉぉぉ!!!神様ぁぁぁぁ!!!」
イロヨクが1人パニック状態に陥る中、突然監視室に来訪者を知らせるベルが鳴り響いた。
咄嗟に反応しモニタを見る3人。
するとそこには正面門に集合する8人編成の軍人達が立っていた。
これまで奇襲を掛けてきた武装集団とは違い、国の紋章を胸に刻んだ国家公認と思われる軍兵達。
中心に立つ体調と思われる堀の深い顔をした男はじっと監視カメラを見つめていた。
モニタ越しに目が合う3人。
「来た…終わりだ…。連中きっと俺達を連行しに来たんだ、もうお終いだ…」
イロヨクが絶望に血の気を引かせる中、それ以上に驚いた表情を見せていたのはエヴァンスだった。
「ばっ…馬鹿な…。そんな…」
「エヴァンス?どうしたんだい?」
「まさか、ここまで?この事件を最優先事項にされたのか…?」
「一体何の話だい?こいつら何者なんだい?」
するとエヴァンスは息苦しそうに口を開いた。
「…SHRT部隊だ」




