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取引極悪犯女子刑務所  作者: レイジー
34/53

無慈悲な追い討ち

 部屋の中に戻ったハッカーは決意を固めた表情の元、ラップトップのパソコンを操作し始めた。


「一か八か。警察のサーバーに侵入してみる!」

「何!?」

「ミトンが逮捕された際に取られたデータにヒントがあるかもしれないんでしょ?それをハックしてみるわ」

「出来るのか?」

「…可能性が0%じゃないってだけ。もし失敗したら最悪はここの場所がバレる。祈ってて…」


 そしてハッカーは睨みにも近い真剣な表情を浮かべながらパソコンの画面と向き合いハッキングを開始した。

その背後で見守る他の3人。


「街中にある監視カメラのシステムを経由するのが安全なはず…」


 ハッカーがそう言うとパソコンの画面にはあちこちの監視カメラの映像が次々と映し出され始めた。

感心する運び屋タッカーが後ろから茶々を入れる。


「すんげぇぜコリャ。君の手にかかりゃ世界中のプライバシーを奪える訳だ。…なぁちなみにその技術を使ってとある部屋の中を覗けたりするか?ムーサシノ通り914-1、マンションの303号室に住んでる女がいるんだけどさぁ、コイツがまた奇跡みたいなボインちゃんなんだぁ。ついでに何とか話しかけるきっかけ作りたいんだけど音声なんかも拾ってもらえると…」


 タッカーの言葉を遮りハッカーが大声を上げる。


「黙ってて!!!集中させてよ!こっちは命懸かってるのよ!!!」

「わーかったよ、ごめーん」


 タッカーが両手を上げて1歩下がる中、ハッカーは続けてキーボードをタイプする。

一同が固唾を飲み見守る中、次々とハッカーの口から言葉が漏れる。


「ミトン、逮捕されたのはアーカエ地区だったわね?」

「えぇ!」

「よし…。セキュリティシステムは従来の物。地元警察の管轄化ならチェックは厳しくないはず。痕跡を残さずデータを盗むにはもって3分。でもこれからいけるかも!」


 息を止め無心でタイプを続けるハッカー。


「…お願い…開いて…」


 そして思わず希望が漏れた。


「よし!開いた!!」

「見れたのか!?」

「侵入は出来た!でもデータが多い…。急がないと!」


 一同が希望の光を垣間見、応援の念を送り続ける中、突然パソコンの画面に怪しい赤文字の警告が表示された。


「…うっそ…。そんなぁ…」

「どうした?」


 絶望に伏すハッカーにエヴァンスが問い掛ける。


「バレた…。失敗よ、居場所がバレた!!」

「何ぃ!?何があった?」

「サイバーポリスが巡回してたんだわ!冗談でしょ?何でこんなタイミングなのよ!!」


 両手で強く机を殴るハッカー。

再び恐怖に表情を歪めるミトン。


「どうしよう…逃げないと!」

「っくそ…」

「どうするの?どうすればいいの?」

「仕方無い…。北西に60km程進んだ所に最寄のスラム街がある。そこに一旦身を隠せ!タッカー、2人を連れて行ってくれ!」

「おいおい、まーたドライブかよ。もういい加減座りっ放しで痔になっちいまいそうだぜ…」


 エヴァンスは自身の腰に挿してある子機をミトンに手渡す。


「ミトン、この無線機を持ってろ。死んでも無くすなよ?体制が整ったら必ずこちらから連絡する。それまでは絶対に見付かるな!」

「で、でもぉ…」

「必ず希望はある、必ず何とかする!」

「!」

「いいか2人共、絶対に離れるな?目立つ行動もするな。誰も信用するな。幸運を祈る…。急げ!」


 そう言ってエヴァンスは2人を外まで送り出した。

半ば強引に車に詰め込まれる形となった2人。

ミトンは車の扉が閉じられる間際、エヴァンスに最後の言葉を掛ける。


「エッ…エヴァンス、もし…もし捕まっても、絶対に貴方のことは喋らないから!!」

「…」


 エヴァンスは未来に希望を約束出来ない後ろめたさから直ぐに目を逸らしてしまった。

そのままドアを閉めると3人を乗せたバンは颯爽とその場を去って行ったのだった。

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