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2017年/短編まとめ

俺は一生、恋をしない

作者: 文崎 美生

恋だの何だの、そんなものに現を抜かしている奴らを鼻で笑って来て早数十年。

周りから独り身街道まっしぐらかよ、なんてからかわれることにも、もう慣れた。


実際問題、好きとか嫌いとか単純な感情に振り回されている様は、ただの脳内お花畑野郎としか俺には思えない。

捻くれてんなぁ、と成人してもよくつるむ、うるさい馬鹿共にも言われたが、それの何が悪いのか。


周りの、所謂、恋話というものに耳を傾けてみれば、聞こえてくるのは面倒くさいことばかりだ。

たった一度の人生なのに、一時の感情に振り回されて疲弊していくだなんて、俺はごめんである。


――なんて、思っていたのに。


気付いたら目で追い、近くを通れば話しかけられたりしないかな、なんて期待している。

その上、あの細っこい手に触れてみたい、だとか、そんな欲ばかりでいっぱいになっている自分がいた。


それ完全に恋してんじゃん、なんてよくつるむメンバーの中で一番ヤンキーくさい奴に言われた時には、一瞬頭が真っ白になり、気付いた時にはすでに一発蹴りを入れていた。

蹴り入れたが、俺は悪くない。

意味不明なことを言い出したあの馬鹿が悪いのだ。


そんな過去のことを思い出しつつ、今日もまた目だけで追いかけているわけだが、断じて俺は恋なんてしていない。

ただ気になっているだけ。

そう、何か知らないけれど、気になっているだけだ。


頭の中で繰り返していると、バチッと目が合ってしまい、途端に逸らすことも出来ずに、あ、やばい、なんて内心慌てる。

だというのに、ふにゃり、締りのない、それでも幸せそうで花が咲いたようにソイツは笑った。

その笑顔を見た瞬間に、心臓が訳分からないくらいに痛くなり、どうしよう、死ぬ、なんて思ってしまう。


俺は、一生恋をしない。

してたまるか――こんなん、命がいくつあっても足りねぇわ。

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