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第二話――⑭

「いっやーごめんごめん。こいつにおもわずみとれててさ」

 そう言うとほんとに嬉しそうにニッと笑って倉は背中のM4を指さした。

「そんなことはどうでもいい」

「ひどくない!?どうでもいいとか言う――」

「静かに!」

 オレは小声ながらも語尾を強めて、興奮して声が大きくなりかけた倉を制す。そんなオレの様子からいつもの冗談めかした雰囲気じゃないことを感じ取ったのか倉はサッと声を殺した。

「……なんだよ、どうしたんだよ」

「いいか、よく聞けよ」

 オレは今の状況を簡単に的確に説明をする。

 説明を一通りし終えると倉は中の連中からバレないようにそっと顔を出して確認し、「ほうほうほうほう」と言いながら顔を下げた。

「やっぱり同じ考えの奴らっているもんだなぁ」

「いてもおかしくはないだろう」

「それに四人って人数なかなか少ないしきっと文化部だろうけど、俺たち以外に四人の文化部なんてあったっけ?」

「………一個だけ思い当たる部があるぞ」

 これはもう思い当たるっていうかここしかないだろうな。

「へー、それでなんて部?」

「アマチュア無線部」

 自分で言ってみてようやく「あったなぁそんな部も」と思うレベルでなんだか可哀想に思えてきた。ま、もうすでにどうでもよくなってきてるけど。

 いかにも強そうな名前だけど実はめちゃめちゃ弱い的な、かませ犬臭をプンプン放っている部に倉はなんとも微妙な顔をした。………いやオレもかな、オレも多分こんな顔してるんだろうな、そうにちがいない。

「なあ銀次郎」

「なんだ?」

「俺、行ってきていいか?」

 いきなりな展開過ぎて一瞬頭がついていかなかったが覚悟の決まったこいつの目に意識が一気に引き戻された。

「…………構わんが………勝算は?」

「…ない……けどここで負けてるようじゃCB(クラブボックス)を三日間死守するなんて無理だと思うんだ」

 言ってることに成功する根拠は全くないが「いける」とふんだこいつに最初の賭けをしてみることにした。

「…………わかった。ちょっと待ってろ」

 オレはこれまた持ってきていた小型のトランシーバーを取り出し和弥と連絡を取った。

AK(あのかずや)

『こちらAK』

『こちらギンジロウ。敵がいる、予定のポイントで待機していてくれ』

『了解。注意しておびき寄せろ』

 これでよし。いい流れだった。

「今のメタルギア的なくだり何!!?」

「これをリアルでしてみるのがずっと前からオレの夢だったんだよ」

 ずっと前からの夢、ってわけじゃないがだがまぁ、これをしてみたかった、って言うのはまんざら嘘ではない。実際結構楽しかったのは内緒だ。

「くそぅ…………自分たちだけちょっとカッコイイことしやがって………」

 そんなあからさまに落ち込んで羨ましそうな声出すな。ったく、

「お前はガキか」

「実演してたやつに言われただとっ!!?」

「お前はカキか」

「俺に一体何を求めてんだよ!」

「ちなみにオレはサザエの方が好きだけどな」

「いや、誰も聞いてねーから!………俺はアサリ派だけどなっ!」

「それは違うだろう!」

 いったん会話を切るためにもビシッととりあえずのツッコミをした。せっかく乗ってきたところだが開始から二十分ほど時間が経っている。そろそろなにかしらのアクションが始まってもおかしくはない時間帯だ。

と、いうか下の階は既に足音がしているんだが……………。とりあえずだ、急がなければ………。

今はかなり危機的状況にある。オレひとりじゃどうにもならない。だから、

「おい倉」

 だからオレは

「な、なんだよ」

 ここにいる親友を

「お前に任せた」

 信じることにした。

「おう!まかせとけ!」

 パンッ

 すれ違いざまのハイタッチはどことなくオレを清々しい気分にした。


またまた間が空いてしまい皆さん申し訳ありません。今回は銀次郎にスポットがあたって普段見えない彼の気持ちが表に出てよかった回です(笑)

ようやくといった感じでの更新になってしまいましたが、なんとか新キャラも登場させつつ第一回目の部活動対抗戦が無事に経過していくことをみなさんで見守っていてください!それから、読み終わった感想などを教えていただけると今後の作品の役に立つのでとても嬉しいです(笑)

それではまた次回の更新をお待ちください!

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