第二話――⑪
スクリーンがぱっと輝き黒の背景に白い文字が浮かび上がる。
「電子武器型使用のバーチャルゲームです」
………校長先生よ、それだけ言われても理解できる人はいないでしょ………………。
そう思っていたら具体的な説明が始まった。
「えー我が校は全国でもたった一校だけ創部のために部活動対抗戦という形を取っているのはみなさんも承知のことでしょう」
そりゃあ…………そうだろう。俺だってこんな方式で部活を創るところなんて見たことねぇし。
「そこで、国が開発を進めている新プログラムのデータ収集にぜひとも我が校の特別行事をと選んで提供をしてくださいました。この後各それぞれに小さなこれぐらいにチップとID、それからゴーグルを配布します。そのチップにIDを打ち込みゴーグルにセットします。それから自分が今回の対抗戦で最も必要になると思うものを強く念じながらそのゴーグルを掛けると自分の目の前にそれが現れる………とのことですので、それを使用して戦いを有利に進めていってください。詳しい説明は正直めんどいのであとはテキトーに慣れて分かっていってください。それでは」
そう言って校長は早足にステージから姿を消してしまった。
………ん?いやいやいやいや。適当すぎるだろ………。
そうは思っても、校長が再びステージの上に姿を現すことはなかった。代わりに現れたのは教頭で、いつも通りの眼鏡をかけたじっちゃんが大量のチップとID、ゴーグルを配り始めた。
各担当の先生の手伝いがあったからか、一人ひとりに手渡していくのもあっという間に終わってしまい俺達のところにもそれらのものが手渡された。
みんなさっそく、慣れない手つきで指示された通りに作業を始めた。掌よりちょっと小さいぐらいの長方形型チップにIDを打つのには少々時間がかかったがなんとか終了。そしてIDを打ち終えたチップをカチリと音がするまでゴーグルの側面にセットした。
さて、問題はここからだな………。ここで手に入れるものが今回の勝敗を分けるといっても過言ではないからなしっかり考えろよ俺………………。
俺は腕を組んで珍しく慎重に考えた。だが、どんなに考えてもいまだにしたことがない部活動対抗戦でどんなものが役に立つかなんて思いつくわけもなかった。
「ましてや、それが俺の脳みそとなるとなおさらだった」
「………なぁ銀次郎…………急に出てきて俺の心の続きをさらっとセリフにすんのやめてくんない?しかも『俺の脳みそとなるとなおさらだった』とか俺が言ったら目も当てられないぐらいのかわいそうな奴じゃねーか………」
カッコがなかったらあやうく騙されるところだったぞ、ったく…………。