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第二話――③

……早く」

「はっ?」

「これの内容がつかめない、説明を早くしろ」

「あぁ、そういうことね。えっとー」

「その説明は僕がするよ」

 和弥が一つの冊子を取り出した。そして、それを銀次郎へと手渡す。

「和弥、それは?」

「ありゃ、倉君はもらってないのかい?祭せんせにもらったんだけど」

「う~ん………。………あっそういえば説明があるからとかどうとかこうとかで、後で職員室に来るように言われてたんだった。あっちゃー、すっかり忘れてたわ」

「まぁ、ここに一つあるし、大丈夫でしょ」

「……それもそうだな」

「じゃぁ、時間もないし、さっそく始めるよ~」

「おぅ、よろしく頼む」

「えっと、まず、部活動対抗戦。まっ、ココだとスクールクラブウォー略してSCWとよれてるわけだけど」

 ――なんか、無駄にかっこいいな。

「簡単に説明すると、部の存続、作成、部費を賭けて各部活動同士で争うわけだよ」

「ちょっとまて」

 銀次郎は手を挙げて話を中断させる。

「はい、どうぞ」

「その、存続、作成、までは先の話の流れから何とかつかめる。だが、……部費はどっから来た?」

「うんとねー、僕もよく分からないんだけど、祭せんせの話だと、部費は学校から支給されるらしいよ」

「ほぅ」

「わぁぉ、VIP待遇じゃん」

 倉と銀次郎は素で驚いた。体育系、文化系合わせて二十もある部活すべてに部費を出すとなったら相当な額になるであろう。

「まぁ、ほらその辺はあれじゃない?寮食が朝しか出ないのと関係あるんじゃない?」

「……そうだな、そう考えるのが合理的だな」

「アレ困るんだよね~引きこもりにしたらご飯とか作んないから食費がやばいやばい。まったくもって迷惑だよ。うん」

「学校からしたらお前が迷惑だよ!」

 ――引きこもりから文句を言われる学校って俺レベルにかわいそうだ。

 とついに、自分の事をかわいそうだと称してしまうほどに倉の思考回路は取り返しがつかないほどに自虐的で残念になってしまっていた。

「っと、話がそれたね」

「問題ない。続けてくれ」

「りょーかい。それで、まず勝利条件から話しておこうか。勝つためにはクラブボックス、長いからココからはCBとでも呼ぼうか。そのCBをSCWの期間中に学校内から探し出して、その部活内で終了時まで死守することだよ」

「おっ、わかりやすくていいね」

「馬鹿のための最低限の配慮だと思うよ」

「違うっ俺のことじゃない………決して俺の事なんかじゃない!」

 頭を抱えて半ば半狂乱の倉に、

「ノーコメントで」

 とどめの一撃は突き刺さった。

 倉、完全にノックアウト。

 静かにその場に倒れ込む。

 と、倉の魂が抜けたところで話は進む。

「和弥、質問だ」

「いいよーいつでもどうぞ」

「期間中とはいつからいつだ?勿論決まってるんだろう?」

「えっとね~、この冊子によると~」

 和弥はパラパラと二、三枚紙をめくる。

「っと、あったあった。ココだ。………なになに、月はじめの第一水曜日から金曜日までの三日間。時間は午前9時から正午ちょうどまで、らしいよ。あとね、その間は校舎内にはSCW参加生徒だけしか入れないらしい」

「三日間、三時間……か」

「そうだよ~、時間を過ぎたらいかなる理由でも干渉してはいけないともあるね」

「……今後の鍵になってくるかもしれないルールだな」

「ん?どうしたの?」

「えっ、あぁいや、なんでもない。続けてくれ」

「それから、けがは保険に入るから気にしなくてよい。……うっわぁ暴力推奨みたいなルールもあるよ……あぶないなぁ」

「倉が働いてくれると俺は信じている」

「そういうことでしか俺は使えないのか!!?」

 倉がいつの間にか復活していた。

「チッ、生きてやがったか」

「舌打ちしやがったな、こいつ!あと、勝手に殺すな!」

 倉は復活そうそう華麗にツッコミを入れた。出だしは上々。

「これから死にに行くから別にいいだろう」

「やっぱりそういう用途だったのかっ!」

「ったりめぇーだ!」

「すんませんでした」

 ――なんか、逆ギレされた…………。


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