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第一話――⑨

――すげぇ久しぶりのくせになまってなさすぎだろ。……つーか速すぎ、人間ってあんな反応ができるんだね。

 銀次郎の使う[DSR―1]はボルトアクション式のスナイパーライフルだ。その特徴として一度の狙撃後、弾を装填する必要がある。そのため大きな隙が一瞬だけできるのだが銀次郎は違う。武器チェンジを高速で何度もすることにより(メイン→サブ→メイン)その工程を無理やりにスキップさせ、ほぼ連射可能な状況だ。クイックショットという超ハイレベルな高等技術。見るたびに驚かされるのは仕方がないと思う。

 いつの間にか同じ方法で五キルをしている隣のスナイパーは狙う場所を変え移動し始めた。

「銀次郎………お前、強すぎだろ……」

「この程度は造作もない。それより自分の心配をしたらどうだ。五キル三デスだろう。このままだとフラグトップはオレのようだな」

「はっ、何を言ってるのかね銀次郎君。君よりも俺のほうが強いことを証明してあげようじゃないか」

「ほう、それは楽しみだ。ぜひ突撃してくれたまえ」

 しきりに銀次郎がゲーム内で「GOGOGOGO 」と言っている。倉に死にに行けと言っているのだろう。

 ――面白い。後ろで戦うやつより、前線に行って戦うやつの方が強いことを教えてやるよ!

 さっきの失敗はすっかり忘れ、今度は中央から堂々と突破しようとしたとき、

 撃たれた。

「ッッ!!?」

 目の前に敵はいなかった。かといって後ろは自分の陣地があるだけだ。スナイパーライフルに狙撃されたのだけはわかるが、普通映るはずのキルカメラを使ってもその姿を認識することはできなかった。

 ――誰だ?どこから狙撃されたんだ。

 ワケが分からずほうけているうちに倉のキャラは復活する。だがその場から動くことができなかった。

 その間にも謎の狙撃手はどんどんキル数を稼いでいく。そしてついに連続でキルを重ねていたあの銀次郎でさえ倒されてしまった。いつの間にかそいつは赤のフラグトップへと躍り出ている。…………強い。

「おい、銀次郎」

「あぁ、あいつは強い。速い。一瞬だけ姿を確認したが見たときには撃たれていた。そのあとはすぐに物陰に体を隠している。気づかないのも当然だろう」

 ――隠れていたのか。どおりで見えないわけだ。

「えっと、コイツのキャラネームは……あの……かずや………?」

 スコアには「阿野和(あのかず)()」と記されている。

 ――どっかで見たことがある名前だな…………。

 何かが引っかかって頭がモヤモヤとする。

 ――俺はこいつを、知っている。……あぁだめだどうしても思い出せない。どっかで聞いたことがあるんだがどこだったかな。

 うーうー、と倉がどうにか思い出そうと唸っている。

そんな時、銀次郎がボソッとつぶやいた。



「神楽高校、一年D組、出席番号一番、阿野和弥」


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