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その4

 朝、私には習慣がある。

 それは朝早くに登校して、教室で朝日を浴びながら学園内にある自販機で買った、コーヒーを飲むこと。(砂糖増し増しコーヒー牛乳だが)

 中学校の頃とは、また違う、なんというか、のほほんとした感じが気に入っている。

 他にも図書館で借りた本を読んだり・・・などと私なりの地味ライフを enjoy(ドヤッ) してる。




 学園に入学して、初めて図書館に入った時の感動は忘れられない。

 天井は丸く、ドーム型になっており、室内から空が見えるのだ。


 この解放感っ

 んー、たまらない


 見渡す限りの本棚っ

 ・・・当たり前か。図書館だし。

 まあとにかく、最新の物から、今は書店でも扱っていない限定版の物まで。

 はばひろーく、ある。なんでも、ある。

 しかも!気軽に欲しい本が、リクエストをすれば学園の本として買ってもらえる。


 ひゃっほーい

 金持ち学校ばんさーい


 てなことで私は、ほぼ毎日通いつめている。

 友人の、生雲いくも 瑞希(みずき)と一緒に。

 偽りのない自分で接することができる友達がいるというのは幸せなことなんだなあと改めて実感中。

 あ、別に中学校時代の友――どちらかというと同志?――が嫌いってわけではない。

 彼女たちには感謝している。

 今度、後輩達に会いに中学校の方に訪ねてみようか。

 

 ――そんな事を考えながら、窓の外をぼけーっと眺めていると、だんだん教室も登校してきた生徒で埋まってきた。


 ガラッ


「雪織、おっはよ~ん」


 この何とも気の抜けた朝の挨拶は瑞希だ。

 噂をすればなんとやらだな。


「瑞希、はよ~」


 バンッ


「急に、机を叩き付けてどうし…」

「呑気に、『はよ~』じゃないわよっ

 聞いたわよ、石蕗英仁♡藤堂雪織、修羅場突入っ!

 石蕗って、あの石蕗!?

 何、修羅場って!」


 いや、待て。

 さっき自分も「雪織、おはよ~ん」とか言ってたじゃん!


「聞・い・て・な・い・わ・よっ

 あの噂が、まさか、本物だったなんて!!」


「いや、えーと」


 り、理不尽の極み・・・。

 


 この学校で私が石蕗と付き合っているというのは、本人である私がその話題を他人事のように扱う――つまり、頬を染めたりだとか狼狽えたりだとかいう、乙女的な反応をしない――ので、噂だけである。

 まあ、中学校が一緒でしかもファンクラブ会長だったという事もあり、噂になるかも、とあらかじめ想定していたのでポーカーフェイスを保てた。他人の恋愛事に首を突っ込んで楽しいんですの?おほほほ

 第一、あんなにしょっちゅう校門前に(ちゃんと最初は遠慮というか拒否っていた)迎えにくるから今までばれなかったのが不思議なくらいだ。


 ・・・んー、謎だ。都市伝説レベル。


 まあ、その話は置いといて。

 問題はこの友人。

 瑞希は、キレイ系美人で面倒見が良い。なんでも、下に妹一人、弟二人がいるらしい。前世も現世でも一人っ子の私にとってはうらやましい限りである。


 朝、リボンが曲がっていると直され、昼はごはん粒が口についていると彼女が常備しているウェットティッシュで拭かれ、授業中にプリントで指先を切れば、舐めときゃ治ると言う私を無視して律儀に消毒をして絆創膏を貼る、というようなのが私たちの日常だ。

 もはや友人ではなく、第二の母。

 ちなみに、必要になったものが必ずでてくる瑞希のかばんを私は〇次元ポケットと呼んでいる。


 えー、ごほん。

 お分かり頂けたであろうか、とにかくお世話好きなのだ。

 いや瑞希、感謝はしてるよ?ほんと、ほんと。


 まあ、そんなわけだからこの私の作戦みたいな物を相談というかバラしてしまうと瑞希が何かとんでもない事を巻き起こす可能性も出てくる。

 だから、今まで誰にも話さなかったのだ。私が石蕗と交際しているなどと。

 まあ、正面からは聞かれないから嘘は吐いてないが。



 はっはっはー


 

 あーだめだ。何がだめってこの眼差し。

 修羅場(?)の視線よりもくる。何にって?私の精神的HPに。

 ゴリゴリと少しずつしかし確実に削り取ってくる。

 ・・・そろそろ戻ろう。


「えっと、落ち着いて瑞希ちゃん。

 これにはマリアナ海峡より深ーい訳が・・・」

「おい!藤堂!」


 今度は誰




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