その2
お気に入り登録数が590件、突破しました!リアルに震えてます(笑)
改めまして、よろしくお願いします。
それでは、スタート!
授業が終わり、携帯のディスプレイに石蕗と表示される。
『雪織の学校まで迎えに行くから校門でちょっと待ってて』だそうだ。
・・・これで、ついに見付かる。で、噂が本当になってしまう。
迎えにくる自体は構わないのだが、それを見られて噂は真実だったと出回るのは勘弁してくれ。今まで、見られていないのが奇跡みたいなものなんだ。
この前、やっとそれとなーく、学校の校門の前ではなく、どこかで待ち合わせないかと石蕗に提案したのだが、余儀なく却下された。なんでだっ!?
今は5月。前にちらっと言った気がするが、ゲームで主人公は高校一年生の11月に、石蕗や他の攻略対象が通っている、ゲームの舞台の高校に転校してくる。
いわゆる、季節外れの転校生ってやつだ。どうせアレでしょ、学校案内を誰がやるかとか、お昼は誰と?俺と。いや僕だ。だのと主人公を攻略対象たち(生徒会&一部教師)が取り合うイベントが起こるんだろう。ケッ
まあ、私が主人公の立場になるのは迷惑以外なにも感じないが。友人がその場面を見たら、『リア充爆発しろ!』とか言いそうだ。
ふと、手の中にあるものを見る。
休み時間に前世の記憶をフル活用して、主人公が転校してきた後のストーリー展開を考えまくった結果、できた代物。か、カオス・・・
名付けて、『こんな展開が起こっちゃった場合の自分の行動を確かめちゃおうシート』。
はいすいません調子に乗りましたごめんなさい
さっきの冗談からわかる様に、死という名のBADENDを回避するため、ある程度の事態を予測して、ベストな対応をするための紙だ。
午前中に書いて、昼休みに午後の授業である小テストに備えて勉強してたから、何を書いたか忘れてしまった。
あの先生が出す問題はえげつないんだよなあ。
学生は大変だあって、脊髄反射レベルで思うという事は前世の「私」は成人してたんだろうか。
というか、ゲームの情報以外思い出せないってどんだけこのゲームが好きだったんだよ。・・・この件に関してはつっこんでも答えはでないか。うーん、忘れよう。
さっきまで書いてたカオスな紙でも眺めて、石蕗を待ってるとするか。
さて、私は何を書いたのだろう。
ええと、『主人公も実は転生者で「逆ハー」を目指す。』
ほっといても、攻略対象である石蕗は主人公に惹かれていくだろう、多分。万が一、石蕗が私を好き、または主人公の存在に気づいていない場合、私がすべきことは、こっぴどく石蕗を振る事。そして傷心の奴を主人公が慰め・・・この先の展開はご想像におまかせしよう。物凄いスピードで広がるはず。
この展開はまさに私の理想。別に「逆ハー」ルートじゃなくても良いが。
要するに、石蕗が主人公に惚れれば良いんだ。
よし、この調子で次に行ってみよう!
ちょっと飛ばして、真ん中ぐらいの長文の展開候補を読んでみる。
『主人公が石蕗と「個別」ルートに入ろうとするが私という元カノの存在がウザくなり私を包丁で刺す。』
まあ、ないとは思うがこの場合は・・・って思いつくわけないだろうがああ、ひええええ。というか、何故こんな展開を私は思いついたんだ!?謎だ。こっちが聞きたい。というか私、自分でBADENDを思いつくとか。恐ろしすぎるだろ。
つ、次行こう。次。どれどれ
『主人公が他のキャラと個別エンドへ。残された石蕗』
何もおかしくないはずの展開なのに、なんとなく石蕗が可哀想。うーん、石蕗、どんまい。
・・・。
大体、なんで私はこんな、考えても仕方がない事なんて書き出そうとしたのだろうか。
最後は、まったく考える必要のない展開だったし。疲れてるのかな、私。
もう来ちゃった時の事は来ちゃった時の自分にまかせよう。
頼むぞ、未来の自分。今の「自分」は疲れているらしいから、考える役目を未来に転送しておくよ。
そうして、思考と考える役目に手を振って別れを告げると、なんと10分近く経っていた。
私は何をやっていたんだ。はああ
※ ※ ※ ※
慌てて、教室を走り出て校門についた時には石蕗が女子生徒たちに囲まれていた。
あ、石蕗のこめかみが、ぴくぴくなってる。
彼女たちの制服から見て、ゲームの舞台の高校の方だろう。
顔は知らないので高校から入学してきた子達か、高2or高3の先輩方か。
・・・(観察中)
リボンの色が緑なので高2であることがわかった。byゲーム情報
てことは、その状態でここまで来たのか、石蕗よ。街中をそれで歩くとか、勇者だな。
奴、石蕗は中学校で生徒会長になったせいで、高校の現生徒会長に引きずられていく形で今も高校の生徒会に所属している。イケメン生徒会に入った事もあるだろうが、石蕗はかなり女子に人気がある、らしい。by中学の元ファンクラブ会員
生徒会に勧誘された時、石蕗はかなり嫌がっていたらしい。高校での出来事を私は知らないので何とも言えないが、その時期、学校の帰りによく「生徒会の奴らがしつこい。」と言っていたので、大方、逃げ回っていたんだろう。よく生徒会に入れたな、石蕗よ。まあ、私が入れたのだが。
ところで、石蕗が逃げ回っていたという件。
イケメン生徒会というのだから、役員もそれなりに顔が整っているはず。
・・・学校でイケメンが鬼ごっこ。
私にはBLという嗜好はないが、それはそれで良いかもしれない。目に。
想像中。。。(少々お待ちください)
・・・ごちそうさまでした。
あれ、なんの話をしてたっけ。
ええと、ああ、生徒会に石蕗がどうやって入ったのかだったな。
高校の入学式から一週間ぐらい後、「石蕗の彼女さんからも生徒会に入るように説得してくれ」と副生徒会長さんに頼み込こまれたのだ。正確には泣きついてきた。
副生徒会長さんがあまりに可哀想だったので優しい私は石蕗に、生徒会へ入ってくれと言われるのがどんなに凄いかというのを延々と語ってやった。
そして、石蕗がげんなりしてきたところに生徒会の仕事を頑張る石蕗の姿はかっこいいと言えば、あら不思議!たちまち機嫌は良くなって生徒会へ入っていったじゃ、あーりませんか。
なんて単純。いや失礼、素直。
後日、高級そうなクッキーの詰め合わせが家に届いたので、生徒会(主に副生徒会長)からの感謝の気持ちとしておいしくいただいた。良い副生徒会長だなっ!・・・クッキーの分、私が太ったけど。むむむ
ゲームの方でも奴は生徒会所属なので、あながち間違ってないだろう。世界の軌道修正、まじハンパねえ・・・おっと、言葉遣いが。おほほほ
なんだかんだ言って石蕗も、王道イケメン生徒会の一員となったので人気はあるんじゃないかな。
少なくとも、中学で仕込んだ子が高校で親衛隊を立ち上げるはずだから。
現実逃避もここくらいまでにして、そろそろ石蕗に声を掛けた方がいいかなー
あの、昼ドラも逃げるような、いかにもドロドロしてそうな女の子たちの中央にいる、石蕗に。に、逃げようかな。
はああ。本日、何回目かの溜息を吐く。
・・・しゃーない。行くか。
「石蕗様。お待たせいたしました。」
「・・・待ちくたびれた。行こうか。」
「はい。」
あの、一つ良いですか。
なんで、私を見た途端、ほっとしたような顔をするんですか。ついでに、ないはずの耳としっぽが見えるのですが。
わお。
見た目、まさに俺様!って感じだから、ギャップが凄まじい!そして私得っ!
ってあんた、そんなキャラじゃないでしょっ!!何故わんこ。
ぐらっときた。何がって私の理性が。思わず、悶え転がりそうになった。公衆の面前でそれはまずい。
やっぱり、顔は好みなんだよなあ。声もだけど。
というか、さっきのギャップが、マジ半端ない。
「マジやばいんだけどコレ。マジやばいよ、どれくらいやばいかっていうと、マジやばい。」
前世で好きだったアニメの名言(迷言)が、今の私の心情にぴったりだろう。
あ、口に出しちゃったかも。
「石蕗くん?このヒト、誰?」
良かった。聞こえてないみたい。
そして、ふと気付く。
あ、修羅場だ
雪織ちゃんが時々、関西弁を話してるのは、作者が関西人だからです。
「しょうもない」は関西弁発祥の単語だったんですね、初めて知りました。※諸説あり
ちなみに、漢字にすると、「仕様もない」となるそうです。
作中では「仕方がない」という感じで使ってます。
関西弁を作者が無意識に入れてしまう場合があるので、わからない単語とか教えて下さい。よろしくお願いします。