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その1

お気に入り登録がっ・・・!ありがとうございます。びくびくしてます。

不定期な更新ですが、がんばります

 幸い、前世の「私」は、『石蕗つわぶき英仁と藤堂雪織の馴れ初め 雪織視点ver.』を見ていたため、ある程度は雪織の性格を把握している。

 前世の「私」、グッジョブだ!


 言うのを忘れていたが、私は今、中学2年生。ここは、舞台となる高校の付属中学校。

 ちなみに、学校名はセントジャルダン学園。いかにも、それっぽい。

 あいにく私が「私」を思い出したのは中学1年の冬だったので中学校を変更するのは無理だった。

 石蕗とは中1、現在と同じクラス。お互い、クラスメイトとしか認識していないはずだ。別に避けてもいない。

 ゲームでは、そのまま中3でも同じクラスになり、雪織が文化祭の後夜祭で告白して石蕗は雪織と付き合うのだ。

 また、なんというベタな。後夜祭で告白すると成功するというジンクス的なものがうちの学園にはあるのだ。ちなみに、これは高校でも引き継がれる。そういう、イベントがあったんだ、うん。


 待てよ。じゃあ、私は石蕗に告白せにゃならんのか!?

 前世の記憶を持っている私は石蕗の事をなんとも思っていない。いやむしろ、恋愛感情を抱けという方が無理がある。

 石蕗に恋愛感情を抱く=《イコール》バッドエンドなのだから!

 まあ確かに、黒髪でかなり整った顔立ちをしている事は認める。

 顔も好みだ。声も。そもそも、この声優さんが出演していたからこのゲームを買ったのだ。髪の色もゲーム通り派手な赤色かと思いきや、普通に黒髪だし。


 だが彼は学校のアイドルだ。ファンクラブ?的な存在も細々とだがある。


 ―――高校に上がれば、彼には親衛隊というものができて、石蕗と親しくしている主人公をいじめているという所を石蕗が救うという王道が待っているのだ。―――

 私にそんな未来は待っていないので置いておこう。


 いや、ちょっと待てよ。

 その王道イベントの時、雪織が出てきたような・・・?

 中学のファンクラブを始め、高校でも親衛隊を率いていたのは他でもない、藤堂雪織(わたし)じゃないかっ!

 何故、今まで思い出さなかったんだっ!?

 激しくいーやーだー

 確かに、今のファンクラブはただの同好会みたいな感じで、違和感を感じるなとは思っていたけども!

 まじかよ。


 ※ ※ ※ ※


 それから、私は頑張った。

 ゲームの雪織に沿った行動は思い出すと精神的HPの消費が半端じゃないので、あえて語らない。

 いや、まじで勘弁。


今日は中学校の卒業式。

 大半の生徒は、ゲームの舞台である、高校にエスカレーター式で進学する。


 ふ、ふはははははっ!私は違うがなっ!

 私は舞台の高校の兄弟校に入ることが決まっているのだっ!

 本当はもっと、全寮制だとか地方の学校に行きたかったのだが・・・

 それを話すと、学園の教師全員に涙目で止められた。何故だ。

 危うくそのまま上がりそうになった時もあったが、兄弟校でお互いに妥協した。

 

 ここまで来るのにどんだけ苦労したか。


 まず、我が中学校は中高一貫校なので一般的な中学校とはカリキュラムが違う。

 取りあえず、成績UPに努めた。

 私立であるうちの学園に通えているキャラクターということもあり、私の家は比較的裕福。おかげで、外部の高校を受験するということは案外、あっさりと許可をもらえた。放任主義な両親様様です。

 あとは内申。2年から生徒会にも入って、3年では副生徒会長も務めた。あとは、先生の雑用も受けたりだの、他のクラス委員を掛け持ちしたりだとか。

 ファンクラブ。あれは大変だった。まさか、BADEND時の雪織よりも凄いストーカーがすでに付いているとは思わなかった。まあ、そのストーカーをファンクラブの方で、証拠集めだのと色々。その前にファンクラブの規則(ルール)作ったり。高校の方では私はいないと言った途端、ファンクラブの主要メンバーが泣き出したのには驚いた。ちょっと罪悪感が・・・あは。


 でも、よく頑張った私よっ!!

 生徒会に入ったときは焦った。まさか、ほかの攻略対象に会うことになるとは。じぇじぇ。

 何か知らないけど、高校教師(攻略対象)と知り合いになってるし。じぇじぇじぇ。

 まあ、それもここでお別れだっ

 この、記憶を取り戻してからの約2年間は多忙だったけども、充実した日々だった。

 石蕗とも何もなく終わったし。

 万事、解決だ。こんにちは!私の平和な日常!

 これから私は普通に勉強を頑張って普通に友達を作って普通に彼氏でも作って普通な高校生ライフを楽しむぞっ!普通に!

 ビバ☆普通!! 


「藤堂。」


 画面越しに聞いていつも悶えていた声。石蕗だ。

 まじで。いや、まだ希望はある。

 彼は生徒会長だったし、私は副生徒会長。

 最後のお別れの挨拶かもしれないじゃないか。お礼とか。


「あら。石蕗様ではありませんか。」

「・・・ああ。

 お前、さっきファンクラブの会員に泣きつかれてたろ。」

「見てらっしゃたんですか。

 高校でもよろしくと言われたので、(わたくし)は此処の高校には行かないと伝えたら、あの有様で。

 もうとっくに知っていると思っていたのですけれど。」 


 ファンクラブの後輩や同学年の子たちの様子を思い出す。

 私が外部に行くというのは、先生方全員知っていたし、周知の事実だと思っていた。

 けれど、つい先ほどのファンクラブの様子では知っていたとは思えない。

 学校の噂の中心、「石蕗ファンクラブ」が知らないっていう事は、案外、生徒には知られていないのかもしれない。


 いや、それ以上にファンクラブの子たちに別れを泣いて惜しまれるほど好かれていたとは・・・びっくりした。

 彼女たちには厳しくしてきたし。

 でも、かわいい女の子に囲まれて、結構しあわせだったかも…って、危ない危ない。なんか違う世界の扉を開けそうだった。

 ファンクラブはやって良かった・・・な、あ!?


 なんだこれ石蕗の顔が近いそして怖い。


 なーんということでしょー

 石蕗君がー私の肩をー掴んでいるではあーりませんか


 はーなーれーろー


 口には出さないけど。私、基本チキンだし。

「雪織」の時は、思い切った事もするけど。  


 あれあれ、人目が集まってきている。

 しまった、逃げられない。


「つ、石蕗様?」


 平然を装って、話しかける。

 引き()ってないかなー、私の顔。


「お前っ

 外部に進学するのか・・・?」

「ええ。

 親の事情で。」


 もろ私の事情だけど。

 つか、息が私の顔にかかる。なにこのイケボ。死ねる。


「はっ

 そんなの一言も言われてないぞ。」

「私がいなくてもファンクラブは大丈夫です。

 引き継ぎした者に高校では親衛隊として石蕗様のサポートにあたるように伝えています。

 なので、私がいなくても支障はないはずです。」

「・・・」

「石蕗様?」

「違うだろ。

 何で勝手に決めちゃうんだよ。

 ・・・ああ違うこんな事言いたいわけじゃない。」


 あ、いやな予感


「好きだ。好きなんだ、お前の事が。


 中学2年あたりから俺の周りには変なヤツが増えた。

 文房具とか、消えるようになったし、隠し撮りされてるって知った時は、まじで女が怖くなった。


 でも、ある時から、そういうのが一切なくなった。

 同時期に、変な奴らの中でもヤバそうなやつが転校していったし。・・・ああ、いいんだ。俺もそろそろ、警察に突き出そうと思ってたから。

 んで、次の日、お前は律儀に挨拶に来たな。ファンクラブ創設って、なんかの冗談かと思ったぞ。

 お礼の一つでもしようと思ったら、お前はいつの間にかいなくなってるし。

 話しかけようにも、中2から生徒会だの、先生の雑用だの、ありえないくらい忙しかったからな、お前。


 あの高校教師とか、生徒会の奴とかとは話しているのに、俺とは同じクラスなのに喋れないし。

 ファンクラブの連絡は、用件を伝えるだけ伝えたら、いなくなるしさ。


 だから、3年になって、色々と使ってだな、生徒会長にもなったし、成績も落とさないように心がけた。すべてはお前に近づくためにだ。我ながら、女々しいと思うよ、本当に。

 

 おまけに、後夜祭。

 生徒会室で二人っきりで花火見てた時も、お前スルーしただろ。

 あれはさすがに泣きたくなったぞ。


 ということで、あの後夜祭の続きだ。」


 私が一言も(はさ)めないように、一息で言ったな!?

 あと、後夜祭ってなに。

 

 そして、私の予想通り、一呼吸おいて、奴(石蕗)は爆弾を投下した。


「俺、石蕗英二と付き合ってください。」


 ・・・。(遠い目)

 石蕗が中学校で生徒会長っていう設定なかったし。

 公認ファンクラブにしようと、ファンクラブを作ったって石蕗に伝えた翌日ぐらいから、物陰から視線を感じるようになった・・・ってあれ、石蕗か!ストーカーかっ!いや、乙女かっ!!

 後夜祭?

 学校のアイドル俺様生徒会長が、告白まがいしたのにスルーしたとか、マジありえね・・・

 って私だよね!?話の流れ的に!

 なんか可哀想。あと視線を感じた時、キモいとか思っちゃってごめんね。

 ゲームで攻略してた時は、『こんの、俺様っ!たまには乙女(主人公)の気持ちも察しろよ!』って心の中で思ってたけど、乙女になっちゃいかんよ、乙女そのものに。

 同情心が煽られるなあ。主人公が登場するのは高校一年生の11月だし、OK出しても良い気が・・・ 


 おおっと、血迷うな私よ。ここでうなづきでもしたら、私の苦労(精神的な)が水の泡。

 ここは、(わたくし)ごときではつり合いませんわ的な感じで、マイルドに断れば・・・


 野次馬から冷やかす声が聞こえる。大方、同学年だろう。


 あれ待てよ、そもそもファンクラブを作ってなければ、意識されなかった・・・?

 う、うそだろ・・・?

 

 がくっ


 あまりの脱力感に首が曲がる。ついつい前世の「私」のリアクションが行動で出てしまった。

 しまった、うなづいたと思われたらしい。あわあわあわ泡・・・ぶくぶく

 気づいた時には、石蕗は周りの同学年、もとい野次馬に祝福されていた。うわああ

 気のせいか、ファンクラブ子たちの中から、「雪織先輩!お幸せに!」って聞こえた気がす・・・うわああっていいのか!?ファンクラブっ!!頼むから反対して下さい。


 ・・・どーする




雪織(せおり)ちゃん。彼女は、一人称は前世の口調のままですが、キャラはお嬢様設定なので、一応。


 雪織:最初、恥ずかしくて死ぬかと思った(笑)


ちなみに、思い出せない事になっているゲーム名。

『夢色ガーデン』

通称:箱庭。

舞台の高校が聖ジャルダン学園|<Un jardin miniature―――箱庭>だという事と、攻略の鍵となるミニゲームが箱庭をモチーフにしてあるため。

ちなみに登場人物は全員、植物にちなんだ名前である。


多分、出ないまま終わるかと思います

文化祭の後夜祭や、ストーカー事件は後日詳しく書こうか、迷ってます。

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