第二話 狼剣士は動じない
小説二話目です。 初心者です。
まだまだ書くのが下手くそですがどうぞよろしくお願いします。
感想、アドバイスなどいただけると嬉しいです。
第二話 「狼剣士は動じない」
スカルが盗賊の男と戦闘を繰り広げている真っ最中、その晴天砂漠の東に100kmほどに存在する場所、暗雲樹海である事件が起きていた。 暗雲樹海は常に厚い雨雲が空を覆いつくしている。その樹海に方位磁針なくして入ったら 最後、二度と抜け出すことはできないと言う。
その樹海を何の頼りもなくまっすぐ歩く青年がいた。腰には1本の刀を携え、ほんの少しの手荷物しか持っていない。一日もつかもたないかという量の荷物だった、、、樹海を堂々進む青年の名は黒徒【クロト】。SS級賞金首の内の一人である。
「この樹海で迷う?バカバカしい ありえるかっての」
ため息まじりに歩を進めていると一人の少女を見つけた。
いまにも死にそうだ。遭難者だろうか そう考えたのか黒徒は少女に近づいた。
「大丈夫か?」
そう一声かけた瞬間だった。少女の口からナイフが飛び出した。黒徒はギリギリで避けたが
頬の横辺りをかすめ傷を負った。
「なんとなく予想はしてたが口からは予想できなかったな」
そういいながら距離をとる。すると彼女はにやりと笑みを浮かべ
「予想できない?最高のほめ言葉だよ。私は人間が予想できないことをするのが大好きなんだ」
ナイフをべろりと舐め回しながら少女は更に笑みをこぼす。
「人間が予想できない?それはまるで自分が人間じゃないと言いたいようだな」
黒徒は刀に手をおき臨戦態勢に入る。その状態で少女に問いかけた。
「ああ、そうさ。私は蛇族の蛇女、名は蛇姫【じゃき】 だからあんた達人間みたいに、能力は使えないさ。でもねぇそれを上回る「力」をもっているのさ!!」
そういうと口から大量のナイフを吐き出した。
「私のそのナイフは今まで、貴様と同じ方法で罠にかけ殺した賞金首が所持していたナイフさ。元仲間達のナイフで死んでいくといい!あははははは」
狂気に狂いながら笑い出す蛇姫、もう死んだだろうという確信からの笑いだった。
「ほぉ、つまりお前は咎追いなんだな?」
蛇姫の笑いが止まる。あたりは静寂に包まれ一瞬の硬直があった。
「な、なんでだ、なんで生きている!」
蛇姫は後ずさりしながら問いかけた。
「ん?生きているから、生きているのさ」
相手は意味がわからないような表情をしながら汗をたらした。なにかされるのではないだろうか
そんな感覚が、恐怖が彼女を動揺させていく
「冗談だって、なんだっけ?生きてる理由だっけ?そんなの理由は簡単さ。全部刀で弾いた。
ただそれだけ」
滑稽に、そして挑発的に黒徒は彼女に言った。
彼女も刀で弾いたのだろうと言う予想はしていた。だが実際にできるはずが無いと思っていた。
だから、黒徒に話をされるまでどんな方法を使ったのかずっと考えていた。
「わ、わかったぞ!貴様!能力を使ったな!?刀を使った【タイム】なんだな!そうだな!?」
彼女は予想した。自分の予想を外すわけが無いとも思っていただろう。
なぜなら、能力を使っていないとすれば、自分が勝てるわけが無いからだ。一瞬にしてナイフ全てを弾いた「ただの人間」に勝てるはずなどないのだ。
能力には制約が存在する。その制約は能力を使用するためのルールに近しいものだ。
その制約さえどうにかすれば、まだ勝機はある。そう彼女は考えていた。
「さぁて、決着つけますか」
黒徒は刀を抜き体の前に構え、満月を描くように刀を回した。
その動作が終わった直後、蛇姫がのばした舌が刀に絡みつき、黒徒から刀を奪い取った。
「ふっ、どうだ!これで能力は使えまい!今度こそ切り刻んでやる!!」
彼女が刀を投げ捨て黒徒の方を見たとき、彼女は驚愕した。
「ウルフタイム」
蛇姫は黒徒の姿の変貌ぶりから能力を使用した。とすぐに理解した。
黒い頭髪の一部が耳のように硬質化し口元には牙が見える。爪も尖ったように発達していた。
「ばかな!刀は奪い取った!なのに、、、なぜ!」
蛇姫は驚きながらも反撃した。だが一度瞬きしたとき、黒徒の姿はどこにも存在しなかった。
気づいたときには蹴られて吹き飛んでいた。
「いったい、、、何が、、」
意識が朦朧とするなか顔を上げると黒徒の姿が目の前にあった。
「冥土の土産に教えてやるよ。俺の能力、ウルフタイムは契約した刀で満月を描くことで発動する。能力は「武器放棄による身体能力強化」だ。そして、お前が気にしていたであろう制約の解除は、 もう一度、その刀で満月を描くことだ」
黒徒は刀を手に取ると満月を描いてその刀をしまった。
「予想、、、外、、ね」
そういうと彼女は灰となって消えた。それが蛇族の特徴らしい。
「誰が死んだって構わないさ どうせ世界はゼロに戻るんだからな」
黒徒が空を見上げると暗雲が立ち込めるはずの空にぽっかりと穴が開いて青白く輝く満月が静かにたたずんでいた。
第二話 完
読んでいただき
ただただ感謝です。
これからもがんばって続けていこうと思うので
応援よろしくお願いします。