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スラムバレット  作者: 穴掘りモグラ
44/214

一般ワーカーの探索

シド達一行は遺跡から都市へ帰って来た。

そのままミスカ達のトラックが止められている所に直行し、車を止める。

4人は車から降り、ミスカ達のトラック後部の扉を覗くと、そこにはミスカとビルがいたのだった。


「あれ?シドとライトやん。いらっしゃ~い、ライトは久しぶりやね。もう養成所卒業できたん?」

ミスカがそう笑顔で応対してくる。

「お久しぶりです。養成所はまだ所属してます。ちょっと理由が有って謹慎中でして、シドさんに訓練を付けてもらってるんです」

ライトはミスカの質問に答え、自分の状況を伝えた。

「謹慎て、あんた何したん?」

ミスカは驚きそう質問を返す。

「あ~・・・ちょっとしたもめ事ですね・・・」

「コイツ、養成所の模擬戦で相手の訓練生全員病院送りにしたんですよ」

ライトがボカそうとすると、シドがストレートに事情を伝えてしまう。

「・・・なにしてんの?」

ミスカは呆れながらライトに言う。

「いや、ボクは普通に戦ったんですよ?非殺傷弾を使って防護服の上からだったんで大したダメージは受けていないはずです」

ライトはそう無実を主張するが、タカヤとユキはそんな訳あるかという顔でライトを見る。

タカヤとユキもシドとの模擬戦で、A60から放たれる非殺傷弾を多数受けている。最近は耐えられる様になってきたが、初めて食らった攻撃があれでは気絶して病院に運ばれてもおかしくないと思っていた。

それを回復薬で復活させ、また訓練を続けるというのが本来おかしいのだ。

それにあの5人は何の警戒もしていない時に急所に撃ち込まれたのだ。病院直行は当たり前であった。

「ライト、それって自分がもってるG-MK330でやったんやろ?」

「はい、そうです」

ミスカは額に手を当て溜息を吐いた。

「そらあかんって・・・相手さんも気の毒に・・・」

「あ、その模擬戦は相手の方から吹っ掛けてきたんです。しかも5対1で。ライトが悪いとは言えないかと・・・」

ユキもミスカの意見の概ね同意するが、天覇組の事を擁護する気になれずそういう。

「ふ~ん、色々あるんやね」

ユキの言葉で大体の事情を察するミスカ。すると今まで黙っていたビルが

「じゃ、俺の用事はもう終わったから帰るぞ」

そうミスカに言いトラックを出ていこうとする。

「あ、ビルちょっと待ってくれ」

帰ろうとするビルにシドが声をかける。

「ん?なんだ?」

「お前って、明日遺跡に行くのか?」

「ああ、まあな」

「んじゃ、俺らと一緒に行かないか?」

「ん?なんでそうなるんだ?」

ビルは不思議そうにシドを見る。

「今さ、ワーカー見習いの訓練やってるんだよ。報酬も出すからどうだ?」

ビルは少し考えて、「報酬による」と言ってくる。

「明日集める遺物の1/5。まあ、その遺物は自分で運んでもらうけどな」

そういってシドは自分のバックパックを親指で指す。

「・・・・」

ビルはシドのバックパックを見て考える。

「シド、まずその値段がわからんとなんとも言えんやろ。査定しよか?その為に来たんやろ?」

ミスカがそう話に入ってきてシドに向かって手を出す。

「あ、そうですね。お願いします。俺達4人分です」

シドはそういい、後ろにいた3人のバックパックを降ろさせる。その様子を見たミスカは顔を引きつらせ、前回シドとの取引を思い出した。

「たぶん、今回はあまり高値にはならないかもしれませんけど」

シドがそういい、ライトが反応する。

「え?そうなの?」

「ああ、たぶんだけどな。俺とお前が遺物を回収しに行った時って、全部保管ケースに入ってただろ?今回は全部むき身だったからな、劣化してる可能性が高いんだ」

シドにそう言われ、ライトは「あ、そうか」と気づいたようだった。

「そうなのか?」「そうなの?」

タカヤとユキも不安そうに聞いてくる。するとミスカが

「まあ、とりあえず見てみるわ。これ全部でええんやな?」

そういい、バックパックを1個づつトラックの奥に運んでいった。

「お前ら、一回の探索であの量を見つけてきたのか?」

ビルは驚きの表情でシドに聞いてくる。

「ん?ああ、そうだな。大量っちゃー大量だな」

「明日も同じ量くらい集められると?」

「ん~、たぶんな」

ビルは「そうか」と言い考え込む。

<シドさん。どうしてこの人を誘う事にしたの?>

<ああ、たぶんあの場所は直ぐに見つかるだろうからな、他のヤツに見つかる前に出来るだけ回収したかったんだよ>

<でも、ビルが運んだ分はビルの取り分だよね?それなら一緒じゃない?>

<金額面ではそうなります。しかし、タカヤとユキは一般のワーカーの動き方を学べるいい機会となります>

<どういうこと?>

<シドとライトは隔世遺伝者で有り、シドはさらに身体拡張者です。その二人を基準に行動するのは通常の人間では危険を伴います。しかし、一般人であり、ランク1から長年ワーカーとして活動してきたビルであれば基本的な行動を二人に見せられるのではと考えます>

<そういうこった>

<・・・なるほど>

ライトはシドと一緒くたにされるのは腑に落ちなかったが、シド自身も自分が普通ではないという認識をもっているようで安心した。

シドとライトとイデアの3人が念話で話をしている間、タカヤとユキは遺物の価値が低いかもしれないと聞いてヤキモキしていた。

「あの遺物・・・ちゃんと値段つくかな?」

「どうだろうな・・・見つけた時は舞い上がったけど、保存状態の事まで考えてなかったな・・・」

二人は養成所を卒業すれば二人で活動することにしている。ライトに会った時は、共に行動できればと考えたが、あまりにも実力差があり、極めつけにパートナーのシドが異常だった。

2人についていけば必ず足手まといになってしまう。そうした理由でライトと一緒にチームを組むのは諦めたのだ。

養成所では遺物の価値までは教えてくれない。今回が初めての遺物取引で、今後は遺物の価値を自分達で調べて活動する必要があることに気づく。

「査定終わったで~」

奥からミスカの声が聞こえてきて、シド達4人とビルはミスカの元まで行く。

「ん?ビルも来たんか。シド、ビルにも値段聞かれてもええんか?」

「ああ、それは大丈夫です。明日の報酬の目安になりますんで」

「わかった。んで、買い取り金額は1700万コールやね。これでええか?」

「「「!」」」

タカヤとユキ ビルは金額を聞き驚き固まる。

「やっぱりそんくらいか・・・はい、それで結構です。支払いは俺のライセンスに入れて下さい。あとで別けますんで」

「はいよ~。毎度おおきに」

「はい、それではまた来ますんで」

そういい、シド達はミスカのトラックを後にする。

「それで?どうだ?ビル」

シドがビルにそう尋ねる。

「・・・・あの金額の1/5か・・・」

ビルがそう呟き

「いや違うぞ。ビルも自分のバックパックに遺物を入れて運んでもらうからな。いうなれば、遺物の有る場所を教えるから、こいつらに遺跡の探索の仕方ってのを教えてやってほしいんだ」

「ああ~、そういう。でもそれならお前がやればいいんじゃないか?今日だって一緒に行ったんだろ?」

ビルはそう訝し気にいう。

「それはそうなんだけどな。ほら、俺って普通のワーカーとはちょっと違うだろ?だから大体同じくらいのランクのワーカーがどんな感じで遺跡探索してるのか教えてやってほしいんだ。ワーカー活動歴は間違いなくビルの方が長いんだからな」

そう言われ、ビルとタカヤ・ユキは納得の表情を見せる。ビルも最初に見たシドの戦闘を思い出し、確かにあれは参考にならんなと考えた。

「わかった、明日だな。参加しよう」

「お!ありがとうな。明日の朝8:00に南門の所で待っててくれ」

「わかった」

簡単に明日の予定を確認し、ビルは自分の泊まっている宿まで帰っていく。

「俺たちはワーカーオフィスで現金を降ろしてから家まで帰るか。今回の成果は1人400万でいいか?端数は俺の護衛代ってことで納得してくれ」

3人は頷く。タカヤとユキにとっては400万コールですらとんでもない大金だった。



拠点にて、4人は今日の成果を分ける。1人400万コールずつ手渡され、その重みを感じていた。

ライト自身も今までシドに高額の装備を与えてもらった事はあるが、現金で400万コールなど持ったことは無かった。その為、受け取った手が少し震えている。

「・・・・こんな大金、何処に仕舞ったらいいの?」

「・・・ほんとだよな。寮に戻ったらどこに隠すか考えないとな」

ユキとタカヤは現金の仕舞う場所に困っている様だった。

「なんだったら装備を購入したら?二人は防壁内出身だし、ランク25以下の装備なら普通に買えるでしょ?ユキは自分の情報収集機を手に入れる絶好のチャンスじゃないか」

ライトがそういい、二人に装備の更新を勧める。二人が身に着けている物は全て養成所からの貸し出し品だった。養成所を卒業すれば返却しなければならない。

本来なら、どこかのワーカーギルドに所属しギルドから装備の支給を受けるのが一般的だが、2人はギルドに伝手が無く装備を準備しなければならなかった。

「そ・・・そうか、なるほどな」

「でも、全部そろえようと思ったらまだ足りないよね?」

「明日も遺物の回収に行くだろ?それで何とかなるんじゃないか?」

シドがユキに言う。

「そうか、明日もまた遺跡に行くんだったね」

ユキは今思い出したかのように声を出す。手にある現金の重みに明日の予定が飛んでしまっていたらしい。

「明日、タカヤとユキはビルについてくれ。あいつはランク1からワーカーやってるベテランだ。遺跡での警戒の仕方なんかを見るいい機会だからな。万が一危なく成ったら俺とライトがフォローに入るから」

「「わかった」」

「よし、今日はさっさと飯食って寝よう。明日に疲れを残すんじゃないぞ」

シドの言葉で、各々食事を取り部屋に入って行く。



翌日、南門で合流したビルと一緒に遺跡の内部を探索していく。

昨日行ったエリアの方向をザックリとビルに伝え、タカヤとユキの3人で移動を開始してもらった。


ビルが前方の警戒、ユキが範囲索敵、タカヤがモンスターの迎撃を担う事になった。

ライトの進み方とは違い、ビルは必ず壁や瓦礫などの遮蔽物の近くを通り、何かあればすぐに身を隠せる場所を通っていく。間違っても瓦礫の上に登ったりはせず、多少遠回りになっても射線が通りやすい場所は避けて進んでいった。

タカヤとユキもその後を付いていき、ビルと同じように先へ進んでいく。

<ボク達とは全然違うね>

ライトは3人の後ろを付いていきながらそう感想をこぼす。

<二人とは索敵範囲と対応能力が違いますからね。ですが非常に安全な行動であると評価します>

<なるほど、普通はこうやって進んでいくんだな>

シドとライトも3人の後を追い遺跡を進んでいく。

現在のポイントを考えたら前回なら2・3回は戦闘があったはずだが、ビルの先導は一切戦闘が起こらない様に進んでいく。ユキの索敵内容と自分の勘を頼りに道を選んでいる様だった。


時刻は昼を回り、一切の休憩を取らずに目的のビルまで到着したのだった。

全員がビルの中に入り、ライトが地下への扉を開けようと情報収集機を操作し始める。その様子を見たビルは目を見開き驚いた。

「すげーな、こんな所に隠し通路があるもんなんだな」

「あれはライトが持ってる様な高レベルの情報収集機がないと分からないですよ。私の持ってるヤツじゃわかりませんでしたから」

ユキがそういい、自分の情報収集機を見る。

「は~・・・そんな事も出来るんだな。前俺が買った奴じゃ~ムリなんだろうな」

「ん?ビルさんも情報収集機持ってたのか?」

「まあな、その時組んでたヤツに渡してたんだが、遺跡で死んじまってな。もう何処にあるかもわかんねーよ」

「あ・・・それはお気の毒です・・・」

「・・・・モンスターにやられたんですか?」

ユキが気まずそうにいい、タカヤがモンスターとの戦闘で死んだのかと質問する。

「いや、あいつにやられた」

そういいビルは顎でシドを指す。

「「・・・・・・」」

二人はさらに気まずくなり口をつぐむ。すると話が聞こえていたのだろう。シドが反論する。

「なんだよ。あれはそっちが悪いんだろ?」

「そうだな。完全に俺達が悪かったよ。俺は別に何も言ってないだろ?」

ビルがそういうと、扉を開けたライトが全員の方を向いて声をかける。

「みんな開いたよ。話なら遺物を回収しながら話そうよ」

ライトの言葉に全員地下に降りていく。

シド以外は明かりを点け、通路を進んでいくと、ビルはシドが明かりを使っていない事に疑問を抱く。

「おいシド、お前は点けなくて大丈夫なのか?」

そういい、自分のライトを指差す。

「ああ、俺は暗闇でも見通せるんだよ。便利だぞ、身体拡張」

シドは問題ない事を伝える。

<シドの身体拡張は旧文明基準です。現在の身体拡張では光源が全くない暗闇で見通せることはありません>

シドの言葉にイデアが突っ込んできた。

<シドさん、ナノマシンの補充の件、言い訳考えた?>

ライトはシドがナノマシンの補充が必要ない事を知っている。しかし、現代の身体拡張者は消費したナノマシンを外部から補給しなくてはならず、それが全く必要ないと知られれば要らぬトラブルが起こることをシドに注意していた。

<・・・・はは>

ナノマシン補充の件はすっかり忘却の彼方だったシド。

<都市北側の中野診療所という処でナノマシンの補充をしてくれます>

<お!そうなのか>

<シドは忘れていましたので、私の方で調べました>

<は~・・・>

ライトはシドの自分に無頓着な所に溜息を付く。これはしっかりと監視しとかないと、と決意を新たにした。

「身体拡張なんかどこで受けられるんだよ。そんな金もねーしな」

ビルはそういい、前を向いて歩きだす。

「・・・でさ、ビルさんとシドさんってなんで戦ったんだ?」

タカヤが好奇心を抑えきれずに質問した。ユキはう~っと顔をしかめ、二人の反応を伺う。

「あ~、それはだな・・・」

ビルが言いにくそうに経緯を話し始める。

駆け出しのシドがワーカーオフィスの職員と揉めているのを見かけ、シドが大量の遺物を持ちこんだこと、発見場所を濁しそこにはまだ遺物が残っていると判断したこと、遺跡で偶然シドを見つけ、後を付いていけば遺物の在処が判明すると考えた事。

「ま~そんな訳でシドをつけてたらな、気づかれてたって訳だ。んで、その時組んでた奴がシドを脅して聞き出そうとして、返り討ちにあったって訳だな」

「そうだったな。あの時初めて銃を手に入れたんだけど、ラクーンもまともに倒せない性能で心底ガッカリしたんだったな」

「・・・・その後、その腰の剣でラクーンの首を切り裂いてたじゃねーか」

「「?」」

ビルの言葉に?マークが浮かぶタカヤとユキ。

「ああ、シドさんって銃を手に入れるまでその双剣で戦ってたんだよ」

ライトがシドの腰にある双剣を指差していった。

「え?モンスター相手に?」

「それって実用性あったのか?ただの飾りだと思ってた・・・」

2人の反応は至極当然の反応だろう。普通、モンスター相手に肉弾戦を仕掛ける者はいない。高ランクハンターでは長剣を装備している者もいるが、シドが持つのは片手剣に分類される程度の長さしかなかった。

「これも旧文明製だからな、切れ味は本物だぞ?クラブキャノンの銃弾程度なら切れるし弾ける、メンテナンスも自動で楽なんだよ」

シドは腰の短剣を抜いて見せる。最近実戦では使っていないが、訓練中ライトの弾丸を弾くとき等でちょくちょく使っているのだった。

「「へ・・へ~・・」」

「ボクが最初に遺跡に連れてきてもらったとき、その剣で20体のラクーンを声もあげさせずに全滅させたよ」

ライトがそういい、ビルは「マジか!」と驚き、タカヤとユキはシドならやりかねないと遠くを見る。

「でも、仲間を殺されてなんで今一緒に行動しようって思ったんです?」

ライトがビルにそう聞いてくる。

「その相方ってのが粗暴でな。しょっちゅう揉め事を起こしてて、いつか死ぬんじゃないかとは思ってたんだよ。それに、お前らみたいな仲間って訳じゃ無くビジネスパートナーって感じだ。タイミングが合ったときに遺跡に同行するって感じのな。額に銃を突き付けられた時は恐ろしかったが、話してみると理不尽なヤツって感じじゃなかったし、今回の話は俺の利益も大きいと考えたからだ」

ビルはそういい、前を向いて歩いていく。

「・・・なら、復讐とかの考えは無かったんですね」

ユキがそういい、少し安心したようだった。仲間をシドに殺されたと聞き、万が一まだ恨みを持っているのではと考えたからだ。

「ねーな。あいつには悪いがシドに銃を向ける勇気がない」

ビルは素直にそういい、肩をすくめる。

ライト、タカヤ、ユキはなるほどと納得し、余程怖い目にあったのだろうと少し同情した。


話をしていると、遺物がある部屋までやってきた。前回シドが開けた穴はそのままになっており、中に入って行く。

「この扉って最初からこんな穴が開いてたのか?」

ビルはその扉を手の甲でコンコンと叩きながら不思議そうな顔をする。

「いえ、ボクがセキリュティを無効化して、シドさんが銃で破壊しました」

ライトの言葉にビルは「スゲーな~」と扉を観察しているのを止めシドに振り向く。

「・・・・お前そんな強力な銃持ってるのか??」

「ん?ああ、これだよ」

シドはKARASAWA S200を抜き、ビルに見せる。

「唐澤重工製のKARASAWA S200だ。かなり扱いづらいけど、なかなか強力だぞ」

「唐澤重工・・・」

ビルも唐澤重工の名前は知っていたらしい。

「すごかったよな!こんな分厚い扉に一瞬で大穴開けたんだから!」

タカヤが羨ましそうにS200に目を向ける。

「・・・・あれは止めといた方がいいよ。撃ったら反動で腕がもげるかも・・」

ライトが小声でタカヤに忠告する。

「「え?」」

その忠告にユキも反応し驚きの声を上げる。

「あれの前バージョンのA60って銃があるんだけど、ボクも撃たせてもらった事があるんだ。反動で体が後ろに飛んだよ。それの強化版ってことはさらに反動が強くなってるはず。普通の人間には使えないと思う」

タカヤとユキのシドを見る目が完全に化け物を見る目になってきた。

「そんな事はいいから、遺物を回収するぞ」

シドはそういい、部屋の中にある遺物の回収を始める。他の4人もいそいそとバックパックを降ろし、遺物を詰め込んでいった。

計5人で自分が運べる限界まで遺物を詰め、バックパックを背負う。

「・・・俺に此処の事教えて良かったのか?」

ビルはシドにそう聞く。

「ああ、ビル一人じゃあの地下への扉が開けられないって事もあるけど、たぶんここは既に露見してると思う」

「どうしてそう思うんですか?」

ユキがシドに質問する。

「昨日ここから真っすぐミスカさんの所に行っただろ?その時に俺達の事は結構な人数に見られてるし、今日も俺たちに視線を飛ばしてる連中が居た」

シドがそういい、全員の顔に緊張が走る。

「大丈夫だ。襲撃を企んでる気配じゃ無かった。かなり遠くから監視してるって感じだったからな。そんな訳で、此処での遺物収集は今日が最後になるだろうなって思ってたんだ」

シドはそう説明し「車に戻るぞ」と皆を促し、部屋を出ていく。

「あいつホントに何モンなんだろうな?」

「・・・ほんとそれ」

「・・・・」

ビル、タカヤ、ユキの3人は同じ思いだった。

「ほら、みんな行かないと置いていかれるよ」

シドの秘密を知るライトだけは平常運転で3人を促し地下から脱出するのだった。


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