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スラムバレット  作者: 穴掘りモグラ
42/214

私服を買おう

シド達4人は一度拠点まで戻り、訓練で付いた汚れを落とした後、以前滞在していた宿に食事を取りに来ていた。

未だ私服と言うものを持っていないシドとライトは、防壁内の飲食店に入るのは気が引けるのと、久しぶりにここの料理を味わいたくなったのだった。

タカヤとユキも、シドとライトが拠点にしていたと言う宿に興味があり、一泊だけしていこうと言う話になったのだった。

4人は食堂のテーブルに座り、料理を待っている間、明日からの予定について話し合うことにした。

「明日は一日休みにして、明後日は遺跡での遺物探索をやろうと思ってる」

シドがそういうと、タカヤとユキは遂に遺跡か!と緊張を見せる。

「遺跡のどのあたりを探すの?浅層だったらもうほとんど探しつくされてるよね?」

「そうとも限らないんだとさ。ある程度稼いで装備が整ったら大体の奴等は中層に入って行くから、浅層にはまだ未調査区域が残ってるった話だ」

<イデアの情報?>

<そうだ>

<浅い部分にもまだ未発見箇所がいくつかあります。その辺りを探索すれば、ライトとユキの訓練にもなります>

<なるほどね>

「それで、どんな形での訓練になるんだ?」

「私は索敵の訓練になるのかな?」

タカヤとユキは遺跡と言うものがどんなものなのかは知らなかった。知識としてモンスターが蔓延る危険な場所。旧文明のハイテクノロジーで作られた遺物が眠っており、それを手に入れられれば一攫千金の夢がある場所というようなイメージしか持っていない。

「訓練を行う場所までは俺が案内するよ。でも、そこから先はライトをリーダーにタカヤがハンター役、ユキがシーカー役での行動だ。目的は遺物の発掘。モンスターとの戦闘は極力避けて、遺物がありそうな場所を探していくって感じだな」

シドは基本的に手を出さず、ライトが指揮を執りタカヤとユキが戦闘と索敵や調査を行う方向でいくことを説明する。

「スタンピードが発生してから結構時間が立ってるけど、遺跡じゃ何が起こるかわからないからな。油断だけはするなよ」

「「わかった」」「わかりました」


ある程度予定を説明し終わった頃に、料理が運ばれてくる。

シドはカツ丼セット、ライトはカレーライス、タカヤはステーキセット、ユキはミックスフライセットを頼んだようだ。


「よし!食おう!」

全員、ハードな訓練後で空腹状態なのだ。シドの一声で皆一斉に目の前の料理に取り掛かる。

ライトは久しぶりにミールの料理に舌鼓を打ち、タカヤとユキは初めて宿の料理を食べた感想を言い合う。

「あ~、やっぱりこれが一番おいしいね!」

「美味いな!コレ、まさしく肉食ってる!って感じがすごくいい!」

「サクっとしててすっごく美味しい・・・私たちが行けるお店じゃこんな料理出てくるところないよ・・・」

シドは、そうだろう そうだろうと頷きながらカツ丼をかき込む。

<防壁内の飲食店で一度も食事を取っていないのに、良くそこまでドヤ顔できますね>

<やかましいわい>

<養成所の食事より確実にコッチの方が美味しいよ>

<無料提供されている食事と、金銭を支払って提供される食事では質が違うと思いますが>

<そう言われたらそうだね>

ライトは防壁内での飲食店に興味を持ち始める。

ライトもシドと同じく欠食児童だったのだ。食に対する興味は、一般の者達よりも強い。

「シドさん、明日休みにするなら私服買ってきたら?」

「ん?」

シドはライトから意外な事を言われる。

「だってボク達ってさ。ずっと防護服着てるじゃない?防壁内だと浮いちゃうと思うんだよ。だからこの際普段着れる服を用意するべきなんじゃないかって思って」

ライトはこの何か月か養成所で生活しており、防壁内でずっと防護服を着ているのは自分だけだと言う事に気が付いた。

一度そのことをタカヤとユキに指摘されたこともあったため、金銭的に余裕があるなら普通の服を購入することをシドに勧めた。

「それならライトも一緒に買いに行けばいいんじゃない?」

話を聞いていたユキがそう声を上げる。

「え?ボクも?」

ライトは自分にお鉢が回って来るとは考えていなかったのか不思議そうな声を上げる。

「だってライトも私服持ってないよね?」

「いや、ボクは今お金持ってないし。シドさんに全部立て替えてもらってるんだよ?今度遺跡に行って稼げたらでいいよ」

「いや、都市防衛戦でのお前の取り分は残してあるぞ?」

シドがそうライトに言う。

「え?そうなの?」

「そりゃそうだろ、弾薬費とか引いた分、350万くらいはお前の取り分だよ。お前がワーカー登録したら振り込むつもりだったんだけど、明日降ろしたらいいんじゃないか?」

「「350万・・・・」」

タカヤとユキはさらっと大金の話になり引く。

「なんだ?二人共。ワーカーになって稼ぎ始めたらこれくらいの金額は直ぐに稼げるようになるぞ?」

「そうなんですか?」

「ああ、ラクーンを2・30体も倒したら常時討伐依頼で40万くらい貰えるからな。保存状態のいいメカ系の遺物なんかを持って帰ったら一つで100万は軽く超えてくるぞ」

シドは自分の経験談を二人に話して聞かせる。あの時は完璧な保存状態であったため、非常に高額になったのであり、一般的なワーカーが持ち込む遺物はもっと価格が下がる。

しかし、次に行く場所もイデアが選定している為、似たような遺物が残っている可能性は十分にあった。

「す・・・凄い世界だな・・・」

タカヤも驚き、二の句が継げない様だった。

「まあ、それくらいの金額にならないと、ワーカーの装備なんか買えないよね」

ライトがそういい、自分が付けている装備の総額を思い出す。

「その分命懸けだけどな。遺跡でヘタを打てばあの世生き、でもちゃんと生還できればそのリターンは大きいってわけだ。で、その稼いだ金でさらに装備を買って遺跡の奥に進んでいくんだよな、ワーカー達は」

「そうだね。その進み具合を間違えた人たちは死んでいくんだって、他のワーカーの人たちも言ってたよ」

「それを間違えない様にするための訓練をみっちりやったんだ。だから、浅層なら行けるだろうって判断したんだけどな」

この数日間の訓練でライトは前の勘を取り戻し、更に成長を見せた。タカヤとユキもそれぞれの役割をしっかり認識し、コンビでの連携に磨きがかかって来ている。

後は実践で試し、問題点を洗い出しながら自分たちの強みを磨いていくしかない。


「おっと、話がずれたな。明日は俺とライトは服を買いに行くってことでいいな?タカヤとユキはどうするんだ?」

「俺は~・・・特になにもないな」

「ん~・・・私たちもシドさん達についていっていい?」

「それは構わないけど、いいのか?休んでなくて」

「部屋でじっとしててもソワソワするだけだと思うんだよね。なら二人のショッピングに付き合った方がいいかなって」

シドはライトの方を向き、目で意見を求める。

「いいんじゃない?」

ライトもいやとは言わず、タカヤとユキの同行が決定する。

「さて、もう皆食べ終わったんだし、そろそろ席を空けようか」

「そうだな。明日は9時に宿の前で集合ってことで今日は解散するか」

「わかった」「わかりました」


そういい、各々自分の部屋に戻り自由にふるまう。

シドとライトは慣れ親しんだ部屋に、タカヤとユキは初めての防壁外での外泊に少しウキウキしながら部屋に入って行く。





翌日、シド達4人は防壁内の服屋を巡っていた。

防壁内には大型のショッピングモール等もあり、様々な店が入っているが、シドとライトの恰好では些か物々し過ぎて、入るのは気後れする。

そこで、少し奥まったところにある個人商店で服を買おうと言う話になったのであった。


「なんかさ、服屋って男物より女物の方が多くないか?」

何件か外から覗いてみた感想をシドが口にする。

「そうだね、さっき見たお店は全部女性物みたいだったし」

服など自分で買ったことの無い二人がそういう、ライトはドーマファミリーから支給された物を着ていたし、シドに関してはゴミ捨て場で適当に拾った服を着ていたのだ。

今の様に店舗で購入しようと思った事すらなかった。

「そりゃー、服にこだわりが強いって言ったら女の方だからな」

「そうだね~、男性物にこだわるならショッピングモールの専門店みたいな所ににいかないと少ないかもね」

防壁内出身の二人はその辺りの事情は把握している様だった。

「ん~、しゃーないな、適当に入るか」

そういい、シドは適当に店を選び中に入って行く。


店員視点


アパレルショップ バーミリオン


この店舗は、低価格から高級品まで取り揃え、品ぞろえが豊富と西方都市では有名な店の系列店だった。

西方都市では庶民でも手ごろな価格や、少し洒落た服が欲しい場合には重宝されてきたのだが、ダゴラ都市は言わばワーカー達の都市であり、西方都市の様に着飾るという人種が少なかった。もちろん、一般人も住んでいる為、客入りはあるのだが、西方都市にある店舗と比べると客足は芳しくない。

大型ショッピングモールなどに出店すればまた違ってくるのだろうが、ああいうところはこの都市に根付いた店舗が占領しており、外様の店舗はなかなか出店できないのが現状だった。

本店からこの店に移動辞令がだされると、それは一種の左遷扱いとされていたのである。


今この店の従業員は2名のみで回されており、その人員で十分に対応できるだけの集客しかないのが現状であった。


「ひまだわ~・・・・」

「・・・今日って何人お客来たんでしたっけ?」

「はっ・・・・0だよ・・・・」

「今月の売り上げ大丈夫ですかね~・・・」

「いつもギリギリだろ。そもそもワーカーの街にウチの服が合う訳ねーんだよ・・・なんでこの都市に支店だそうとしたんだろうな・・・」

「そうだよね~・・・完全な戦略ミスですよね~・・・」


この店の店員である、ユウヤとリューンの二人組。西方都市でそこそこ頑張って来たのだが、ダゴラ都市の支店が振るわないと言う事でそれを改善する為本店から送り込まれた二人だった。

最初の頃はなんとか立て直そうと必死にアレコレ策を講じてみたが、そもそもオシャレに気を遣うのは一般人の女性が多く、男性の方は普段着にあまりお金をかける人がおらず、大体が量販店で済ませる傾向があった。

恰好を気にする高ランクのワーカー達は第一区画の高級店へ行ってしまい、この店に来ることは無い。

この辺りの店舗は第二区画の内の約30%程度の客層を取り合っているのである。

客が来ないのは当たり前であった。


「ユウヤさーん、本部長から売上上昇の見込みはあるかってメッセージが来てまーす」

「あるわけねーだろクソ野郎って返しとけ」

「はーーーい・・・ええっと・・・あるわけねーだろクソ野郎・・・っと」

「おいバカ!マジでそのまま返すんじゃねーよ!」

「冗談ですよ~・・・はあ~・・・」

二人には最早最初の志は無く、完全に緩み切っていたのだった。

そこに本日最初のお客様が入店してくる。

二人は身を正し、笑顔で入店を歓迎した。

「「いらっしゃいませー」」

入って来た客を見ると4人組の男女だった。4人ともワーカーの様で、男3人と女1人の組み合わせであり、その内の2人は防護服を着ている。流石に銃までは所持していないようだがかなり物々しい。

しかし、なかなか質のよさそうな防護服であり、一人が来ている防護服はかなりの高級品であると見た。


ユウヤは4人に近づいていき、営業を掛ける。


「ようこそバーミリオンへ。どの様な物をお探しですか?」

すると一番最初に入って来た少年が代表するように答えてくる。

「ええっと、男性用の普段着が2人分欲しいんですけど」

彼はそういい、店の中をキョロキョロと見まわしてきた。

(2人分・・・おそらく防護服を着ている彼らのものだろうな)

ユウヤはそう当たりを付け、少年を男性服のブースに連れていく。

「こちらが男性用の衣服エリアになります。お好きにご覧下さい。なにか分からない事があればお申し付けください」

そう笑顔で言いきり、ユウヤは彼らから離れカウンターまで戻っていく。


リューンは小声でユウヤに話しかけた。

「ちょっとなんで戻ってくるんですか?そのまま売り込んだらいいじゃないですか」

「1人ならそうするさ。でも4人いるんだぞ?あーだこーだと言いあって決めるのも服選びの醍醐味だろう?」

「それはそうですけど・・・ワーカーにそれって当てはまります?」

「わからん。でも無理強いしても意味ないだろうからな」


ユウヤはそういい、さりげなく少年たちの動向を見守った。


シド視点


シド達は男性の店員に案内され男性用のエリアで服を見ていた。

「ここは結構あるね」

ライトはそういい、色々な服に目を輝かせる。

「そうだな・・・でも、選択肢が増えるとそれはそれで困るんだよな~」

そもそも服を選ぶと言った事がほぼないシドは選択肢の多さに困惑する。

「シドさんっていままで服選びはどうしてたの?」

ユキはそうシドに質問してみる。

「ん~?今まではスラムのゴミ捨て場で拾った汚れがマシでサイズが合うヤツを適当に着てたな」

「「・・・・・・」」

あんまりなスラムの衣服事情になにも言えなくなる第二区画組。

「ボクも選んだことないな~。ファミリーから渡された服を着てたし・・・どうしたらいいかわかんないや」

ライトの方も似たようなもので、スラムの組織から支給された物を着ていた為、自分で選んだことは無かった。

「・・・・さっきの店員さんに予算を言って選んでもらったらいいんじゃない?」

ユキはそういい、先程案内してくれた男性店員の方を見る。

「もうそれでいいか、ライトもそれでいいか?」

「うん、ボクもお願いするよ」

そういい、シドは先程の店員に声をかけ服を選んでほしいと伝える。

彼は快く請け負ってくれ、シド達の予算を聞いてきた。

シドは少し悩み、念話でイデアとライトに相談する。

<なあ、服の予算ってどれくらいなんだ?>

<ボクは知らないよ?>

<二人合わせて10万もあれば普通の衣服なら買えると思います>

イデアがそういい、シドとライトは顔を見合わせる。

<え?そんなに安いのか?>

<防壁内の服屋だからもっと高いんだと思ってた>

<ここはまだ一般店の様ですからね、値札でも確認しましたがそれくらいで十分な品質の服が手に入る様です>

<ん~、とりあえず倍の一人10万くらいで見繕ってもらうか。2セットくらい>

<そうだね。何時も同じ服って訳にもいかないみたいだし>

ライトは養成所の人を見て、毎日同じ服を着ている者はいない事を知っていた。その為、違う服を1セットずつ頼むことを提案する。

「ええっと、一人10万くらいで2人分お願いします。全身2セット分」

「承知しました。しばらくお待ちください」

シドの要望を聞いた店員は服を選び始める。


しばらく待っていると、計4セットの服を選んで店員が戻って来た。

「こちらは如何でしょうか?柄や装飾は少ないですが、何処にでも着ていける様な服になっております。それぞれで組み合わせが楽しめますよ」

そういい、シド達に服を見せてくる。

二人は一通り試着を行いサイズ感を確かめ、購入することに決めた。すると店員が

「これからこの地方は気温が下がっていきますので、こういった物も追加で如何でしょう?」

そういい、店員の手には厚手のダウンが何着か持たれていた。

「色合いとしても合わせやすく、防寒機能が高いものを選ばせていただきました。少々お高くなっておりますが、一着あれば十分快適に過ごせますよ」

笑顔でそう商品を押してくる男性店員。

シドは今までの冬季の事を思い出す。ボロボロのバラックの中でゴミ捨て場で拾ってきた布を体に巻き付け震えながら夜を越してきたのだ。今は拠点も手に入れ、部屋の中では快適に過ごせることは確定しているが、外出時も寒さを防げるならそれに越したことは無かった。

「買います」

即決し、なんとなくダークブルーのダウンを選び羽織ってみる。

防寒機能が高いとうたっているだけあり、暖かそうな印象を受ける。厚手の様に見えるが非常に軽く、着ていても違和感を感じ無いのもいい。

シドは手に取ったダウンの購入を決め、ライトの分もお願いする。

「ありがとうございます。それでは、お会計はこちらでお願いします」

カウンターで決済を行う時、シドはハンターライセンスを、ライトは現金を取り出し会計を済ませる。

そこでシドはふとあることを思い出した。

「すいません。ここって布系の遺物の買い取りってできますか?」

最初に遺跡に行った時、異物をくるんで持って帰った布がまだ残っていたのを思い出したのだった。

「!・・・ええ、やっておりますよ」

店員は少し表情を動かしたが、笑顔のままシドの対応を続ける。

「ああ、良かった。それじゃ、後日持ち込ませてもらいます」

「はい、お待ちしております。本日はお買い上げいただき誠にありがとうございます」

男性店員ともう一人いた女性の店員はそろって頭を下げ、シド達の退店を見送った。



<あの残ってた布の行先が決まってよかったな!>

<良く思い出せましたね。あれはワーカーオフィスに売っても捨て値になると思っていたので私も放置していましたが>

<そんなのがあったんだね。知らなかったよ>

<ああ、確か俺の部屋の隅っこに放り込んでたはずだ。帰ったら探さないとな>

<・・・一応遺物なんだから丁寧にあつかいなよ・・・>

「服が買えてよかったですね」

シド達が念話で会話を行っている時にユキがそういってくる。

「ああ、これで防壁内を歩いてても変な顔されずにすむな」

「うん、飲食店にも堂々と入れるよ」

「ライトって結構食いしん坊だよな」

「タカヤに言われたくないよ」

「明日もし順調に遺物を見つけられたら、防壁内の店で食ってみようか」

シドがそういい、3人も顔をほころばせる。ライトは防壁内での食事に、タカヤとユキはまだ見ぬ遺物を想像し胸を高鳴らせるのだった。



バーミリオン店員視点


ユウヤとリューンの二人は4人組のワーカー達を見送り、本日の結果がボウズで終わらずに済んだことを喜ぶ。

「いや~、まさか二人だけで70万コール近く使っていくとは思いませんでしたね~」

「そうだな、しかしあの年でハンターランク24とは恐れ入るな」

「そんなに高かったんですか?」

「ああ、それの彼らが試着している時にあの防護服を見てみたが、あれは唐澤重工製の防護服だった。多分1000万コールは下らないだろうな」

「ほえ~~、やっぱりワーカーの稼ぎは桁が違いますね~。常連になってくれないかな~」

「そうだな。それに、布系の遺物の買い取りの打診・・・これはチャンスだぞ」

「言ってましたね~。西方都市じゃ滅多にお目に掛かれませんからね」

攻略難易度が低く、あまり高価な遺物が算出されなかった西方では布系の遺物などとうの昔に取り尽くされ、市場には出回らない。

偶に北方の方から回ってくることもあるようだが、目が飛び出るような価格で大企業が買っていく為、自分達が所属している様な中級企業ではまず手に入らなかった。

しかし、昨今メカ系の遺物が持て囃される為、布系の遺物を回収してくるワーカーは少なく。それがさらに希少価値を上げていたのだった。

「もし持ってきてくれたら高値で買わないとですね」

「ああ、一応価格も調べておこう。本社にも一応問い合わせておくか・・・劣化していても旧文明の布は貴重だからな」


降って湧いたビジネスチャンスに二人は嬉しそうに相談を始めるのだった。


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