遺跡 防衛機構との遭遇
インフルで死に掛けてました。
皆さんも体調にはお気を付けください
手に入れたライフカードを使って市民登録(仮)を終わらせた4人は、コントロールオフィスを目指してミリタリービル遺跡の中を進んでいく。
コントロールオフィスの場所は先ほどまでいた店舗にあった端末から調べることが出来たようで、今はイデアの案内に従って移動中である。
「・・・・・・なあ、2人共。ライフカード見つめてないで警戒しろよ。店舗のセキュリティに触らなければ安全って事らしいけど遺跡の中なんだぞ?」
シドは心ここにあらずといった様子で、自分の登録情報が印字されたライフカードを見つめながら歩くラルフとフィアに注意を飛ばす。
「・・・・そうは言いますがね・・・・・」
ラルフは売れば人生を数回遊んで暮らせる程の価値を持つ遺物を手にしている自分が信じられなかった。
繊細だと聞いている為、ポケットやポーチに入れ破損する事が恐ろしい。
だが、このまま手に持っているのも不安。
だというのに、そんな遺物を個人使用してしまっているこの状況に感情が追い付いてこない。
「・・・・そうね。ごめんなさい」
ラルフと同じようにライフカードを手にしたまま歩いていたフィアは、カードから目線を上げカードをポーチへと仕舞う。
「ラルフ。貴方もしっかりしなさい」
「・・・そうは言いますが・・・・・」
「死んだら何にもならないのよ。この後の事も調査して報告しなければならないのでしょう?気を引き締めて」
「・・・・そうですね。切り替えます」
フィアに言われ、ライフカードをポーチに収めると銃を握りしめ前を向くラルフ。
2人の場数の差が精神の切り替え速度に影響を与えている様だ。
このまま何事も無くコントロールオフィスに到着する事を願いながらシドとライトの背を追っていく2人だった。
「ええっと・・・コッチですね・・・」
イデアの指示に従いながら歩くライトが通路を左に曲がろうとすると、その先にある建物からけたたましいアラーム音が鳴り響いた。
「「「「!!」」」」
この遺跡は警報が鳴った場合どこからモンスターが現れるか分からない。
近くにある壁の一部が剥がれその中から現れる場合もあれば、空から降ってくることもあるらしい。
4人は一気に警戒態勢に入り、襲ってくるであろうモンスターの気配を探り始める。
音が鳴った建物内では既に戦闘が始まっているらしく、辺りのビルの壁や地面から湧き出てくる無数のモンスターがこちらに向かって来ている事がわかる。
「どうする?やるか?」
「ボク達、関係ないと言えば関係ないよね?」
シドとライトは、自分たちが警報を鳴らしたわけでは無いため、モンスターに襲われないのでは?と考えたようだ。
「ダメです。接敵すれば我々も攻撃対象になりますよ。近くで警報が鳴ったら遺跡の外に出るか速やかに撃破するかの2択です!」
流石はワーカーオフィス職員。遺跡内での事を良く調べている。
「わかった・・・<武器を収めて壁沿いに待機してください>
シドが迎撃に出ようとすると、イデアからストップがかかる。
<イデア?><どういうこと?>
この意見にはシドとライトも困惑する。
<このメンバーはこの都市の市民として仮登録されています。ライフカードを見える位置に提示して動かないでください>
<・・・わかった>
「ラルフ!フィア!武器には手を掛けず壁際によれ!!それとライフカードを手に持って見えるように提示しろ!!」
シドはイデアの言葉に従う事に決め、ラルフとフィアに指示を出した。
「はあ?!」「何言ってるの?!」
事情を知らない2人は当然困惑する。しかし
「リーダーは俺だ!指示に従え!!時間が無い!!!」
言うや否や、シドとライトは壁際によりツールボックスからライフカードを取り出し他者から見えるように提示する。
「・・・!!!信じますよ!!」
2人に続き、ラルフも同じようにライフカードを取り出す。
「ちょ!!「フィアも早く!!!」」
「~~~!!!」
最後まで渋ったフィアだったが、ラルフに強く言われ同じようにライフカードを取り出した。
4人が壁際に揃ったと同時に、警報がなった建物から複数のワーカーが飛び出してくる。
「走れ走れ!!!!」
「クソ!!!硬いぞコイツ等!!!」
「オマエがしくじるからだろうが!!!」
「うるせぇ!文句言う暇が有ったら撃て!!!!」
走りながら追いかけてくるモンスターに向かって銃撃するワーカー達。彼らの所有する大型のライフルから吐き出される弾丸は、モンスターに命中しその金属の装甲を吹き飛ばしていく。
しかし、外傷など全く気にせぬとばかりにモンスターは取り付けられている兵器をワーカー達に向かって打ち込み始めた。
見た目はずんぐりとした蜘蛛の様なモンスターだ。背中に取り付けられた兵器からエネルギー弾を撃ち出している。
小型のエネルギーガンの様だが、そこから発射されるのは球状のエネルギー弾は、地面や壁に命中する度に炸裂し、辺りに電磁界を発生させ周囲を焼き焦がしていく。
丈夫な遺跡の建造物にもダメージを与える威力であり、防護服を着用していても直撃すればかなりのダメージを受けることは明白であった。
<なかなかの威力だけど、戦闘用オートマタと比べたら弱いか?>
<そうだね。でも着弾から電磁界を発生させるのはやっかいだよ。シールドでどこまで防げるか・・・・>
<犯罪者鎮圧用の兵器です。威力は控えめですが、確実に容疑者を無力化出来る様設定されている様です>
あの兵器のデータを持っているのであろうイデアが兵器の説明を行う。
<あれで鎮圧用なのか?>
<地面焼け焦げてるけど・・・>
<ライトが無防備で直撃すれば気絶は免れません。しかし、死ぬことは無い威力です>
<・・・・そうかな・・・?>
ライトは無防備な状態でモンスターの攻撃を受けたことは無い。ミナギ都市付近の地下遺跡で奇襲を食らいかけたが、あれは物理攻撃であり、シールドを無視する様な攻撃だったためこの場合の参考にはならないだろう。
だが、あの攻撃がシドに直撃したとしても電撃に対して耐性の高いシドには効果は薄そうであった。そう考えれば鎮圧用と言われればそうなのかもしれない。とライトは考える。
そんなやり取りをしている間にもモンスターは続々と集まってきている様だ。
ワーカー達は必死に反撃しながらも遺跡の外を目指して逃げている様だが、モンスターは鎮圧用のエネルギー兵器から高威力の実弾兵器に切り替えて攻撃を行い始めたらしく、大きな破壊音が鳴り響き始める。
<さて、ライト。万が一に備えろよ>
シドがそう呟くように念話を送ってくる。
<わかってる>
2人がその様な会話を行う理由。
それは、この4人はすでに周囲をモンスターに囲まれているからであった。
特に隠れる訳でもなく、壁際に並んで立っている4人。その周囲には警戒態勢であろう機械系モンスターに包囲されており、その中の1体がシド達の前まで移動してくる。
先ほどのワーカーを追っていたのと同じクモの様な形をした機械系モンスター。
複数取り付けられたカメラが赤く光り、警戒している事は嫌でも想像がつく。背に取り付けられた兵器の銃口が4人それぞれの方を向き、いつでも発射される体制が整えられていた。
シドは最悪の場合、防御はライトに任せ、自分は即座にモンスターを殲滅できるように体に電気を走らせる。
ライトも攻撃の予兆を感じれば自分とラルフ、フィアにシールド張り巡らせられる様、神経を集中させた。
シド達の前でその体を停止させたモンスターは、カメラをそれぞれ4人を映していく。
いや。
正確にはそれぞれがもつライフカードをスキャンしている様だった。
「δΦ〈Σ・・・・・§ΦΠΔΞΣ・・・・¶ΛЖ〉」
スキャンが終わったのか、言語らしい音声を流すと、モンスターのカメラが赤から緑へと変色し、4人を取り囲んでいたモンスター達は一斉に退散して遺跡の中へと消えていった。
フィア視点
「ラルフ!フィア!武器には手を掛けず壁際によれ!!それとライフカードを手に持って見えるように提示してくれ!!」
モンスターが集まってくるであろうこの状況で、スラムバレットのリーダーであるシドから意味不明の指示が出される。
当然拒否しようとするが、シドから強く指示を出され、このチーム唯一の常識人ともいえるラルフからも従うよう言われてしまう。
遺跡の中でその様な無防備な体勢を取れば死は免れない。
本来ならこの指示は無視し、自分だけでも遺跡からの離脱を図るべきである。
任務故に一緒に行動しているが、一緒に死ぬように命じられているわけでは無い。
一瞬、この場からの離脱を考える。
しかし、不意に目に入ったラルフの眼が、信じろ。
そう言ってるように見えた。
その顔は引きつり、顔色は真っ青なのに。
でも、シドの言葉に従うよう訴えかけている様に見えたのだ。
私は、彼らと同じように壁際に寄り、ポーチから先ほど手に入れたライフカードを取り出す。
これに意味があるのか分からない。
もしシドの思惑が外れれば強力な機械系モンスターに囲まれ、命を散らすことになるだろう。
警報が鳴った建物から、下手を打ったワーカー達が飛び出してくる。彼らを追って警備装置なのだろう、機械系モンスターも飛び出してきてワーカー達を攻撃し始めた。
搭載されている兵器は南方では見ることが無いような兵器であり、連続で食らえば瞬く間にエネルギーシールドを削り取ってしまう威力を持っている事が判る。
情報収集機から送られてくる周囲の情報では、私たちはモンスターに囲まれ、逃げる隙間は存在しなかった。
「・・・・!!!!!」
諜報員として任務に就く以上、自分の死は覚悟してきた。他企業に捉えられた場合は速やかに自害する方法も教え込まれている。
それでも、ここまで死に近い場所に立つことは今までに無かっただろう。
私たちを包囲するモンスターの内の一体が近づいて来る。
私たちの前にまで来ると、そのモンスターは我々に油断なく背中の兵器向け、そのカメラアイで全員を見渡している様だ。
「仮登録・・・・・No,確認・・・・・クリア」
モンスターは古代語でその様に言い。
カメラアイの色を警戒色の赤から緑へと変えるとどこかへ去って行く。
辺りを索敵し、モンスターが全て去った事を確認した私は、自分が息を止めていたことにようやく気付いた。
「・・ハァッ・・・・カハ!・・・ゲホ」
機能を思い出したかのように肺が動き、空気を肺の中へと取りこんでいく。
致命的な状況から脱し、体は生を求めて漸く動き出したのだった。




