ダゴラ都市防衛戦終了 イデアの紹介とランク11
20話まで更新できました。
ひたすらPCに向かうゴールデンウィークでしたが、なかなかに充実した日々でした。
お読みくださっている方々。
これからもよろしくお願いします。
そのモンスターは全長が10m高さ3.5m程の大きさで、大型の部類では小さい方に分類される。
だが、この場を守るワーカー達からすれば太刀打ちできないと判断しても仕方がない程の強さを誇った。
4足の足を持ち、背中に大型のキャノン砲とその死角を埋めるように4つの機銃が取り付けられている。
機体の前方にはお互いが噛み合うように回転する大型シュレッダーが付いており、瓦礫だろうがモンスターだろうが関係なく粉砕しながら此方に向かってきていた。
『撤退だ!あんなの相手にできるか!』
一人がそう通信で叫び逃げ出していった。
そうなれば今まで押しとどまっていたワーカー達も逃げ始める。
(これって勝手に撤退とかしていいの?!本部の指示とか聞かないといけないんじゃ?)
ライトはそう思うが、ワーカー達は軍隊では無い。正式な指揮命令系統が無いため、戦うか逃げるかは各々の判断によって行われる。確かに碌に戦わず、戦績を上げられなければ報酬は貰えない。さっさと逃げ出せは他のワーカーから臆病者扱いを受ける場合もあるが、基本的には個人で判断を行わなければならない。そしてこの辺りに配置されていたワーカーは色々な意味で当てにされておらず、作戦からはほぼ蚊帳の外だった。この場から誰も居なくなっても作戦には支障がない。
故に、危機に陥っても援護は来ない。迅速な撤退の判断はむしろ正解だった。
「シドさん!ボクたちも撤退しよう!」
ライトはシドに通信を繋げそう提案する。
『わかった!今そっちに戻る』
シドは目の前のモンスターを片付けライトの所に戻って来る。そしてバックパックを回収し、撤退を始めた。
すると大型モンスターが速度を上げこちらに突進してくる。背の部分に搭載された大型キャノンがシド達がいる建物を狙い発砲した。
「飛べ!!」
二人は建物の屋上から飛び、隣の建物に着地する。
その瞬間二人が居た建物に砲弾が当たり、建物を吹き飛ばした。体を伏せ、爆風と瓦礫をやり過ごし身を起こす。するとそこには粉々に粉砕された建物の瓦礫があたりに散らばっていた。
「あんなの食らったら跡形も残らんな」「早く下がろう!」
二人は即座に撤退を開始する。建物から飛びおり、防壁に向かって全速力で走った。
「ライト大丈夫か?!」
「まだなんとか動けるよ!」
ライトは追加の回復薬を頬張り胃に落としていく。シドはライトと同じ速度まで速度を落として並走していた。
その後ろを機械系モンスターが建物を粉砕しながら追ってくる。
「やばいな!アイツなぜか俺たちを狙ってるみたいだぞ!」
「砲身がこっちを向いた!避けて!」
大型の砲弾が再度撃ち込まれ爆発を起こす。直撃は避けたものの、粉砕された破片と一緒に吹き飛ばされる。二人とも別の方向に避けたため、分断されてしまっていた。
「チッ」シドは舌打ちを打ち、時間を圧縮しイデアと相談をする。
<イデア、このまま逃げ切れるか?>
<シドのみであれば問題無く逃げ切れます。ですがライトの速さでは逃げ切れません>
<だよな・・・アイツ・・倒せるか?>
<不可能ではありません。ただし、ある程度の危険を伴います>
<倒す方法は?>
<まず、大型モンスターの構造ですが、2重構造になっていてPN弾頭では貫通しきれません。SH弾頭を使用する方が有効でしょう。それにライトとの協力が不可欠であると判断します>
<ライトか?>
<はい、ライトの銃もSH弾頭に対応しています。弱点部位が存在する場所の装甲を剥がし、PN弾頭で攻撃。内部跳弾を起こし破壊する方法です>
<ライトにも攻撃してもらうのか・・・うまく連携出来るか?>
<私がライトの情報収集機に指示を送ります。その方法でしか討伐は難しいかと>
<・・・ライトにお前の存在をバラすって訳か・・・>
<リスクはあります。如何しますか?>
<いや、ライトを信用する。後で説明する時のサポートも込みで頼んだぞ>
<はい、お任せください>
シドは大型モンスターの討伐を決め、ライトに通信を繋げる。
「ライト!無事か?!」
『大丈夫!これからどうする?!』
「あいつを倒す!指示を出すからその通りに動いてくれ!」
『わか・・・指示ってどうやって?・・・!!!』
「そうやってだよ。んじゃ行くぞ!」
『わ・・・わかった!』
ライト視点
ライトは敵の砲撃で吹き飛ばされ、脆くなっていた建物の壁を貫通して中に転がり込んだ。
直ぐに起き上がり、情報収集機でシドを探す。自分とは反対側に退避しており、無事なのはわかった。だが、ここからどうするべきか・・・そう考えているとシドから通信が入る。
『ライト!無事か?!』
「大丈夫!これからどうする?!」
『あいつを倒す!指示を出すからその通りに動いてくれ!』
「わか・・・指示ってどうやって?・・・!!!」
突然、バイザーに敵の弱点部位とライトに対する攻撃要請箇所・射撃タイミングが表示された。
『そうやってだよ。んじゃ行くぞ!』
「わ・・・わかった!」
これがシドさんの秘密か・・・あとで絶対に聞こうと心に決め、今生き延びる為に行動を開始する。
シド視点
戦う事に決めたシドは大型モンスターに向かって走り出す。
イデアが砲撃の射線と爆発範囲を表示し、その中に入らない様高速でモンスターに接近していった。
モンスターも近づいてくるシドに砲弾を撃ち込んでくる。直撃すれば跡形もなくなるだろう攻撃を躱し、シドは前に進んだ。爆風を掻い潜り、飛び散る破片を避けモンスターの正面に躍り出る。
モンスターに攻撃箇所が表示されシドは狙いを定めた。
<ポイントが赤になったら射撃してください>
<わかった>
すると黄色のマークが赤に変わり、シドは赤に変化したマークを両手に持った銃で撃ち抜く。するとシドが撃った弾丸があたる直前、別角度から撃たれた銃弾が当たり装甲を大きく凹ませる。
ほぼ同時に3発のSH弾頭を受けた装甲は大きく捲れ上がった。
SH弾頭が着弾し、その衝撃に大きくよろけるモンスターだったが、大型キャノンでは無く前方部に配置されてきた機銃でシドを攻撃してきた。無数に飛んでくる弾丸を視認し避けていく。しかし、数が多い。なんとか避け切れているがこのままだと攻撃に移れない。
なんとか射線から逃れようと動くが相手の機銃は正確にシドを追尾してきた。
だんだんと避け辛くなり、弾丸がシドに掠り始める。その時、別の場所から放たれた弾丸が機銃を吹き飛ばす。
イデアがライトに指示を送り、ライトはその仕事を全うしていた。
襲ってくる弾丸の数が半分に減りシドは余裕を取り戻す。表面が大きく撓み、捲れ上がった装甲に表示されたマークを睨み射撃のタイミングを計った。
マークが赤くなる。
シドは止まっているのではと思うほどに圧縮された時間の中で、正確に狙いをつけ2発の弾丸を撃ちだす。
先ほどとは逆にこちらの弾丸が先に当たり、ライトの弾丸が後に命中する。SH弾頭が引き起こした衝撃が装甲に行き渡り、全身を波打たせながらモンスターの動きが止まる。
<今です>
視界にターゲットマークが表示され、その中心には先ほどの銃撃で穴の開いた装甲が映っていた。
シドはPN弾頭へと変更し正確にマークの中心を撃ち抜いた。
2発の弾丸が開いた穴から飛び込み、頑丈な外殻に跳ね返され内部機構を蹂躙する。
重要機関を傷つけられたモンスターは、歪な機械音と放電音を発したのち完全に停止した。
「・・・・・倒したか?」
『・・・・・動かないね・・・』
<もう大丈夫です。完全に機能停止しています>
イデアのその言葉を聞きシドは安堵の息を漏らす。
「はぁぁ~~。倒したみたいだな・・・さっさと防壁まで下がろう。またこんなヤツが出てきたら今度こそ死にそうだ」
『そうだね。コレと二連戦なんて勘弁してほしよ・・・で、今回の件、説明してくれるんだよね?』
「ああ、宿に帰ったら話すよ」
『約束したよ。じゃ~、防壁まで急ごう』
その後、シド達二人は防壁にまでたどり着き、他のワーカーチームと合流。残りのモンスター達はメインのワーカーチーム達に殲滅された。
こうして、スタンピードからの都市防衛戦は幕を閉じたのである。
都市防衛戦はモンスターの全滅が確認され終了となり、報酬は各自の戦績を確認後、後日支払われると連絡を受ける。
なかなかハードな戦闘を潜り抜けた二人は宿に戻り・・・愕然とする。
宿の従業員達は全員防壁の中に避難しており、今日は普段提供されているサービスが受けられなかった。
要するに食事の提供がされないという事だ。
あまりの事に崩れ落ちる二人だったが、このまますきっ腹を抱えて寝るという選択肢はない。
重い体を引きずり、スラム街にある食料品店まで足を運んだのだった。
久しぶりに訪れた食料品店はこんな日でも営業していた。
店主の根性に感謝し、二人は店の中へ入っていく。
弁当コーナーにまで行き、二人は今日の夕食を選び飲み物と一緒に購入した。
<いや~懐かしいな。久しぶりに食うってなるとちょっとテンション上がる>
<しかし、宿で提供される食事に比べれば品質は落ちてしまいますね>
<まあ、その辺は仕方ないだろう。多分明日には宿も元通りだろうし>
<そうだといいですね>
「シドさんはここにはよく来てたの?」
「ん?まあ、この辺で食料品っていったらここしかないからな。金が入ったら真っ先にって感じだったよ」
「へ~。ボクは初めてだよ。だいたいドーマファミリーから渡されるものしか食べてなかったから・・・お金も持ってなかったし」
「なるほどな~。あそこで出てくる飯ってどんな感じだったんだ?」
「大体はパン・塩のスープ・野菜、後はごく稀に肉片が付いてくるって感じだったから」
「ほ~、今から考えたら悲惨な飯だな」
「まあね・・・・シドさんのと比べたら豪華になるけどね・・・」
「そりゃ、組織にも所属してないガキより低い生活してるやつなんていないだろ」
「そう言われたらそうなんだけどさ・・・」
「ま、今はうまい飯を毎日たらふく食えるんだ。これからも頑張っていこうぜ」
「そうだね。流石に明日は動きたくないけどね。あ、宿に帰ったらあの話聞かせてもらうよ?」
「ああ~、分かってるって。宿に帰ったらな。あんまり人に聞かれたくないんだよ」
二人は宿に戻り、夕食を食べた後、風呂で一日の疲れを洗い流した。
飯は出なくても風呂には入れる宿の設備に感謝を捧げ、今日の事を話し始める。
「それで?あれって一体なんなの?」
「えーっと何処から説明するか・・・」
<シド、私が直接説明します。彼の情報収集機を借りてください>
<ん?わかった>
「その前にお前の情報収集機 貸してくれ」
「うん?いいけど」
ライトはシドに情報収集機を渡す。受け取ったシドはしばらくそれを手に取りジッとした後、ライトに返してきた。
「ん、終わったって。本人が説明するからバイザー付けてくれってさ」
「・・・わかった」
ライトは言われた通りバイザーをはめる。すると視界の中に文字が浮かび上がった。
<こんばんは、ライト>
「!!!こ・・・こんばんは」
<私はシドと契約している軍用身体拡張ユニットAI 固有名称イデアと申します>
「あ、はい。ライトです」
<本日あの大型モンスターとの戦闘中、指示を出していたのは私です。今から私の事を説明させて頂きます>
「はい・・・よろしくお願いします」
<私は旧文明での 三ツ星重工製軍用身体拡張ユニット シリアルNo,Za0087 。今はシドと契約しサポートを行っています>
「・・・ちょっと、ちょっと待ってください」
<承知しました>
「ねえシドさん。なんなのこれ?どういうこと?」
ライトはいきなりのことで混乱してきた。
「まあ、落ち着け。端的に説明するとだな・・・」
シドはイデアと契約した経緯について説明した。
「ってな感じで、俺の身体能力が高かったり、ワーカー歴が短いのに戦えたりするのはイデアのおかげなんだよ」
「・・・はぁ~・・・旧文明製の身体拡張ユニット・・・しかも軍用・・・」
<はい、これからはライトもサポート対象とさせていただきます>
「ありがとうございます。想像してたより遥かにすごいのが出て来たよ・・・これは人には聞かれたくない話だね」
「そうだろ?なんか大企業に知られたら解剖されそうだろ?」
「間違いなく実験体として連れて行かれるだろうね」
「そうならないように黙っててくれよな」
「わかったよ」
イデアについての説明が終わり、今後の話に移っていく。
「それで、ボクのサポートってどんな事をしてくれるの?」
<時間圧縮の訓練方法や並列思考の訓練方法を教授できます>
「時間圧縮?」
「なんて言うか、体感時間を操作して、周りの時間の流れがゆっくりに感じられる様になるんだよ」
「あ、それでシドさんは弾丸を避けるっていう離れ業が出来るんだね」
「そういうこと」
「でもそれって、身体拡張した結果できるようになったんでしょ?ボクにも出来る様なことなの?」
<問題ありません。時間はかかりますが訓練を続ければ可能です。並列思考の訓練も同様です。ライトの場合は並列思考の方が早く習得すると予想されます>
「それはどうして?」
<おそらくライトは隔世遺伝者であると推察されます。精密スキャンを受ければ、情報処理に特化した副脳が発見されるかと>
「え!?」
<本来、碌な訓練も受けずに、この情報収集機を使いこなすことは不可能です。組織内でこれを使えたのはあなただけだった事が証拠と言えるでしょう>
「へ・・・へ~」
自分が貴重な存在だったとカミングアウトされ動揺するライトであった。
<あまり詰め込むのも逆効果となります。まずは情報関係に特化した訓練を行うべきと判断します>
「よ・・・よろしくお願いします」
「んじゃ、明日は訓練に充てるのか?」
<いいえ、一度ワーカーオフィスに行き、シドのライセンスの更新とライトの登録を行いましょう>
そういい、イデアはシドとライトの視界にワーカーオフィスのサイトを表示させる。そこには、シドのワーカーランクが11になっている事が表示されていた。
「お?おお~~~!!!」
「・・・・」
シドは大いに驚き、自分が壁越えのワーカーに成ったことを喜んだ。
「やった~!これで俺も壁越えワーカーなんだな!おいライト!これで俺たち防壁内に拠点が持てるぞ!」
「あ、うん、そうだね。ボクもワーカー登録できるんだ」
「・・・・なんだよ。あんまり嬉しそうじゃないな・・・」
「いや、うれしいよ。おめでとうって言いたいけど・・・・」
「言いたいけどなんだ?」
「シドさんのランク・・・低すぎない?」
ライトは自分の疑問を口に出す。あれだけの活躍を見せて一桁代のランクがたったの2しか上がっていなかった。
「どういうことだ?」
シドは訝し気にそう聞き返す。
ライトはこの宿のワーカー達に話を聞いて回り、ワーカー業界の常識やルール等を聞いて回っていた事を話した。
「お前ってそんな事してたの?」
「うん・・・でさ、今日の防衛戦。ボク達と一緒に戦ってたあの人達のランクってどれくらいだと思う?」
「え? そりゃー同じ一桁台なんじゃないのか?」
「そんな訳ないよ。あそこって言うか防衛戦にランク一桁のワーカーなんて誰一人参加して無いんだよ。だってほとんどの人がラクーンを倒すのも苦労するような武器しか持ってないんだから・・・いるだけ邪魔になるのさ」
「・・・なんだと?」
<シドは今まで戦ったワーカーや組織の銃器が貧弱であることを不思議には思いませんでしたか?>
「・・・いや、良くこんな武器で遺跡に来てるな~とは思ったけどさ・・・俺だって最初は丸腰だったし、そんなもんなのかなって・・・」
「そんな訳ないでしょ」<そんな訳がありません>
(あ、セリフかぶった)なんか仲いいな。などとシドは考える。
<シドがあの時手ぶらで遺跡に入ったのは拡張した身体機能と私のサポートがあることが前提です。他のワーカー達とは一緒になりません>
「そうだよ、第三区画にあるワーカーオフィス出張所で売ってる武器ってどれも荒野仕様で、遺跡のモンスターにそれほど効き目がない性能なんだよ」
<故に防壁内に入れない一桁代のワーカーは横並び扱いを受けるのです。遺跡で満足に活動できない者として>
「そ・・・そうだったのか」
そんな話は今まで聞いたことが無かった。故にランクにも無関心でいたのだった。
「でもさ、自由市には売ってたじゃないか。ミスカさん達みたいなところで買えば・・・」
「シドさん。ボクらの装備。幾らしたか覚えてないの?」
<低ランクの者たちが買える品ではありません。たかが15万程度のバックパックすらシドが購入できる品ではないと言われたのを忘れたのですか?>
「・・・・・」
二人交互に言い負かされ無言になるシド。
<本来であれば、2度目に収集してきた遺物をワーカーオフィスが正規に評価していれば、あの時点でランク10になり防壁内で装備を整える予定でした。あのイザワという職員のお陰で大分遠回りしている状況です>
「まあ、ボクはそのおかげで今があるから何とも言えないけどね・・・」
<ライトの加入はシドにとっても福音であると私は判断します。その一点については良かったと思いましょう>
「それで、ランクの話に戻るけど、あの時一緒に戦った人たちってランク15から20の人達だったんだ」
「・・・・ん?そんなに高かったのか?」
「うん。装備もランク相応だったみたいだよ。でもさ、今のランクから考えてワーカーオフィスのシドさんに対する評価って、真っ先に逃げ出したあの人たちより低いってことになるんだ」
<ワーカーランクは戦闘能力の評価ではありません。ワーカーオフィスへの貢献度でランク付けされます。確かにシドは遺物の納品はせず、常時討伐依頼といった常駐依頼しか受けていませんが、あまりに評価が低いと言わざるを得ません。なにかしらの情報操作がワーカーオフィス内で起こっていると判断します>
「そ・・・そうか・・・」
あまりに畳みかけられ、だんだん語彙が無くなっていく。そして自分の無知っぷりに少しずつ危機感を覚えて来た。
「でもさ、それって何とかなるのか?流石に評価が低いってオフィスに怒鳴り込んでも意味ないだろ?」
「そこでミスカさんが言ってたことが出てくるんじゃないか」
「?」
<シド・・・ミスカがオフィスからその内接触があるという内容の話をしていたでしょう?覚えていないのですか?>
「・・・あ・・・あぁ~、なんかそんな事言ってたな」
「結構大事なことだと思うよ?」
「いや・・・ははは・・・」
<おそらく防壁内。ようするにダゴラ都市のワーカーオフィスで何かしらの調査が始まっていると考えます。ミスカは防壁内へ出入りしていたようですので、そこで何か情報を掴んだのでしょう>
「てことは出張所にいる職員より上の人間が出てくるってことだね」
<その人物に現状を訴え出れば、シドの待遇を改善できる可能性が高いというわけです>
「ほ・・ほぉ~う」
「わかってないね」<わかっていませんね>
「わかったよ!でもなんか、急に評価がどうのこうのって言われて混乱しただけだ!」
<まあ、劣悪な環境に一人で生活していたら他者から評価を受けるなどありませんからね>
「とにかく!明日はハンターオフィスに行くんだな!」
<はい、そうなります>
「んじゃもう今日は解散!明日に備えてもう寝よう!お休み!」
シドはやけくそ気味にそういい、ベットに飛び込んだ。
「・・・じゃ~ボクも寝ようかな。ほんと今日は疲れたよ」
<はい、ゆっくりお休みください>
「うん、おやすみ、イデア」
<おやすみなさい、ライト>
こうして、二人 いや三人の一日は終わり、就寝を迎える。
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