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スラムバレット  作者: 穴掘りモグラ
182/213

イデアのデビュー戦

ライト視点


ライトはT6を走らせ、シド達と合流する為玉藻組のホームへの道を急いでいた。

後ろからは数台の荒野車が追ってきており、前方にも一台の荒野車が回り込んでくる。

「チッ!スラムの組織のクセにやたらいい車乗ってるね!!」

敵が放ってくる弾丸をシールドで弾きながら複合銃で反撃していくライト。


一台の荒野車がライトの前に立ちふさがり、銃撃しながらこちらへと向かってくる。ライトは複合銃を操作し、相手のタイヤを撃ちぬいた。

正確にタイヤを破壊された荒野車は制御不能に追い込まれ、少し蛇行すると横転して背中を向けてこちらに滑ってくる。

「ラルフさん!掴まって!!」

ライトはT6の速度をさらに上昇させ、横転した荒野車目掛けて突っ込んでいく。

「うわあああああああぁぁぁぁ!!!」

目の前に高速で迫ってくる荒野車に、叫ぶのを止められないラルフ。


ライトが鋭角に展開したシールドが荒野車に食い込み、T6の質量を持って両断した。

両脇に弾き飛ばされた荒野車の残骸は、それぞれ建物の壁にめり込み、前方部の方は燃料が引火して爆発を引き起こす。

撃破した車の事など頓着せず、ライトは区画を走り抜け後方からまだ追ってくる車を引き離しにかかる。

「ちょ!ちょ!ちょっと!!!私は関係ないですよ!!」

パニックになったラルフはライトに抗議の声を上げる。

「すいません!今ちょっと手が離せないので!!!」

ラルフの抗議をさらに大きな声で遮り、ライトはT6を操る。

T6がガクンと左に逸れると、その横をロケット弾が通過していき、前方の道に着弾すると爆風と一緒に破片をまき散らす。

全てがT6が発しているシールドに阻まれ車体にまで届くことは無いが、このままシールドを張りっぱなしにする訳にも行かない。

さっさとシド、ダーマと合流し、イデアとエミルを回収しなければと、ライトは先を急ぐ。



ラルフは混乱の極みにあった。

たまたま野暮用で第2防壁の外に出ており、治安の良い第7区画だからと護衛も付けていなかった。


用事も終わり、そろそろ帰ろうかと思っていると、ショッピングセンターから出てくるライトを発見。ついでに挨拶して帰ろうと声を掛けただけだ。

それなのに、今自分は銃撃戦の真っただ中にいる。


横転した車に突っ込んでいき、ロケット弾に狙われる等、いつ死んでも可笑しくない状況が続いていた。

何故自分がこんなことに巻き込まれている?!

なぜこんな事になっているのか?!

様々な事が頭に過るが、唯一確かな事があった。

(キクチが警告していたのはこういう事か~~~~~!!!!!!)

あれほどスラムバレットの行動には注意しろとしつこく言って来たのはこういう事だったのかと、ラルフは気付く。


必死にナビシートにしがみつくが、車の制動に体がついて行かない。

何発目かのロケット弾を避け、横道から体当たりを敢行した荒野車をライトがスピンで回避する。

先ほどから走行に大きな影響を与えそうな攻撃はシッカリと回避するライトのドライビングテクニックは大したものだが、車内に居る者としてはたまったものではない。


(誰か助けて~~~~~~!!!!!)

ラルフは誰にも聞こえない叫び声を心の中で上げる。


君が望んだひと騒動だ。しっかり楽しむと良い。



イデア視点


イデアはママに装備させてもらった抱っこ紐でエミルを背負い、万が一にもエミルに攻撃の余波すら及ばない強固な防御を敷く。

ママとマスターには店に設置してあった地下室へと非難してもらい、自分はこのまま包囲網を突破しライトと合流する積りだった。


クラブ88の扉から外に出たイデアは、広範囲のスキャンを行いこちらに向かってくる敵の情報を収集する。

(兵種 歩兵 数65・・・随分増えましたか。兵装は主に中近距離の実弾種。あの兵器にこのボディーのシールドを抜くことは出来ませんね)

効率を考えれば、直ぐにライトと合流し、ダーマを回収した後この都市を脱出するのが一番であることは分かっている。


しかし、イデアにはどうしても我慢できない事があった。


(エミルを狙うゴミ共をこの世に残して逃げる?有り得ません)


イデアのボディーから腕が剥離し、音を立ててエネルギーガンへと変形した。

「戦闘モード 起動 これより敵性体の排除を実行します」


シドにもライトにも伝わる事の無いアナウンスを発し、イデアはエミルを狙う不埒者に鉄槌を下すために動き出す。




「この先だ!!」

「手間~取らせやがって!!店にいるヤツは皆殺しにしてやる!!!」

アンダースネイクの構成員達は、この強襲の成功を疑ってはいなかった。エミルを保護していると聞いているワーカーは店から出ている為、あの中にいるのは戦闘能力のない男と女のみ。

サクッと殺して探せばすぐにターゲットを回収できると踏んでいた。


店に繋がる最後の角を曲がった瞬間。

光を感じたと思うと、その意識は永遠に閉ざされたのであった。



イデアは道の角からなんの警戒もすることなく姿を現せたアンダースネイクの構成員達を変形させたエネルギーガンで撃ち殺す。

イデアのセンサーで捉えている構成員はまだまだ周囲から集まってきており、真面に相手をしていてはライトがこちらに到着してしまうかもしれない。


イデアは宙へと飛び上がり、周りの建物より高度を上げ、わらわらと集まってくる構成員をロックオンしていった。


(ライトの戦闘法を借りましょう)

イデアは両手を変形させたエネルギーガンを掲げ、無数のエネルギー弾を撃ち放つ。


空に向けられ放たれたエネルギー弾は、宙で無数の弾丸に分かれ曲がり、地上へと降り注いでいく。

武蔵野皇国製のボディーと、イデアが本来持つ演算能力で誘導されたエネルギー弾は、こちらに向かってくるアンダースネイク達を正確に撃ちぬいていった。


僅か数秒の攻撃でアンダースネイクの構成員は全滅、周囲への被害は道路にエネルギー弾の焼け跡と、無数に転がる死体のみと最小限に抑えられる。


しかし、異常を察知していた周囲の住人は、空に浮かぶ正体不明の強力なオートマタの姿に震え上がった。



ゴミ掃除が終わっても、まだエミルを狙う行動は終わらないらしい。


先ほどシドがドルファンドの代表に宣戦布告を行い、第2防壁上にあらかじめ展開していたのだろう強化外装達が2機

こちらへ向かって飛んで来る。

そして、ワーカーオフィスにある通告が行われたのだった。


(この場所ではクラブ88に被害が及びますね)

イデアはライトとの距離が開くことを許容し、スラスターを吹かせ飛んで来る強化外装へと向かって距離を詰める。


相手の射程距離内に入ったのだろう、強化外装の腕が動き、イデアを狙おうとしている。

(練度不足ですね)

イデアは既にあの強化外装の弱点部位を特定していた。

両手のエネルギーガンにエネルギーを送り、射撃準備を瞬時に終わらせる。

(出力35%に固定  ファイア)

2丁のエネルギーガンから放たれた今まででもっとも太いエネルギー弾は、2機の強化外装のエネルギーシールドを貫通し、鳩尾部分に大穴を開ける。

あの強化外装は、その部分にエネルギー源のジェネレーターを設置しており、数瞬を置いて同時に爆発を起こした。


あの強化外装はドルファンドが開発した物で、システムに侵入し調査を行っていたイデアはその構造をも詳細に調べていた。

都市管理企業の最新式強化外装を瞬く間に破壊したイデアは、満足そうな雰囲気を出しながら辺りを眺める。

今の所この周辺にこちらを攻撃してくるような存在は居なくなった。


イデアに背負われているエミルは、爆発の意味など解っていないという様にキャッキャと声を上げて喜んでいた。

「エミルは見どころがありますね。成長したら私が鍛えてあげますよ」

「あぶ~~」


イデアはエミルに頭をぺしぺしされながら、ライトがいる方向へと飛んでいくのであった。


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― 新着の感想 ―
仲間の視点でする戦いの描写好き
イデアはもうエミル手放す気ないだろwww
視点が多すぎ 主人公は誰なのか絞って欲しい
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