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スラムバレット  作者: 穴掘りモグラ
105/213

ワーカー組 遺跡中層探索訓練

次の日、ワーカー組とシド達はT6に乗り込み、ファーレン遺跡までやってくる。


今日は全員で中層奥部手前まで探索してみようという事になり、10人で隊列を組みながら移動していく。

訓練の為、耐久力が高いタカヤを先頭に、ラインハルト・ユキ・アズミ・キサラギ・アリア・ミリーの順で進んでいく。シドとライトは周辺の警戒に出ており、隊列には加わっていない。

全員が自分の銃を持ち、キサラギだけはライトの御下がりであるG-MK 330ライフルを貸し出されていた。

試し打ちもしてみたが、訓練で鍛えられた腕力は、反動を完全に抑え込めるまで強くなっており、問題なく使用できると判断された。


中層までたどり着く間に遭遇したモンスターは、タカヤとラインハルトに素早く討伐され、ほとんど時間をかけずに中層までたどり着く。

この辺りで一旦休憩を取ろうと適当にビルに入り、荷物を降ろす。

水でのどを潤しながら、アリアは感心したように声を上げた。

「こんなに短時間で中層まで来れるなんてね・・・・今まででは考えられないな」

「そうだな。訓練前ならどんなに早くても後1時間半はかかっていたと思う。体力が上がったのと、ユキの索敵のお陰だろう」

ラインハルトもアリアの意見に同意する。

「正確な索敵があると楽だよね。狙撃系もちゃんと探知してくれるしさ」

ミリーもユキの実力に感謝する。

「でもここからは慎重に進みますよ。今の中層は何が起こるかわかりませんから」

「そうね。気を引き締めないと。この前シド君達が倒したっていうワームなんかが出てきたら終わりだからね」

「・・・・あまり怖い事を言わないでくれ。俺はお前らと違って遺跡2回目なんだぞ?」

キサラギがアズミに脅かすなという。

「ごめんなさい。なんだか貴方が遺跡初心者だと思えなくて」

アズミは笑いながらキサラギに言う。

初心者であるはずのキサラギが中層にまで難なくついて来れている事がおかしい様だ。

あの訓練に最後まで付いてきたことで、それほどの実力を手に入れたという事なのだろう。

「ここからは光学迷彩を使う機械系モンスターも多数出現します。皆さん気を引き締めてください」

ユキはそういうと、全員のコンタクト型ディスプレイに索敵情報を表示する。

「これでも完璧とは言えません。直感は研ぎ澄ませてくださいね」

「わかってるよ。油断即リタイアの模擬戦を何回やって来たと思ってるんだ?」

タカヤが軽めにそう答える。しかし、すでに気を張り巡らせ、何があっても対応できるように備えているように見える。これは、全員の過度な緊張を解くための軽口なのだろう。

「そうだね。よし、休憩終了。進みましょう」



移動を開始し、中層中部にまで到達。この辺りから遺物捜索を開始しようという事になった。

「この辺りからあまりワーカー達は来ていないから、遺物の質も期待できるわね」

「そうですね、少し東にズレて探索してみましょう。西の方はメカ系の遺物が多く出たとあって、多くのワーカーが探索した様ですから」

「わかった。東方向だな」


一向は周囲に気を配りながら慎重に進んでいく。


しばらく進んでいくと、一角だけ綺麗な建物が並んでいる場所にでた。

「あ!当たりゾーン!」

ミリーは模擬戦でも使用していた情報端末での無音通信機能を使って嬉しそうな声を上げる。

「当たりゾーン?」

アリアは不思議そうに聞いて来る。

「こういう修復機能が生きている区画の事だよ。こういう所は遺物が一度取られても補充されている場所があるって先輩たちが言っていた」

「そうそう!シッカリ探せば大量の遺物が手に入る事があるって!」

「ミリー落ち着きなさい。今までそれで大儲けできたことないでしょ?」

アズミが興奮するミリーを落ち着かせる。

「とりあえず探索してみましょう。修復機能が生きているって事は防犯機能も生きている可能性が高いです。十分に気を付けてください」

ユキはそういいながら先頭を切ってその区画に足を踏み入れる。その両脇をタカヤとラインハルトが固め、キサラギは後方を警戒する。


しばらく進んでみるが、外装は綺麗に整えられているが建物の中はボロボロになっている所ばかりで、めぼしい遺物は発見できなかった。

「う~ん・・・はずれか~」

ミリーは少ししょんぼりする。

「まだわかりませんよ。少し向こうに隔壁が生きている反応があります。そこまで行けば何かあるかも」

ユキはそうミリーを励まし、先に進んでいく。


また暫く進んでいるとユキが停止命令を出す。

「モンスターです」

その一言で全員の表情が一変し、一気に戦闘態勢に切り替わる。

「タイプは?」

「光学迷彩を発動しています。シルエットから機械系で間違いありません」

ユキは情報収集機の設定を切り替え、全員にモンスターの形と位置を表示させる。

「機械系の中型よね・・・厄介な・・・」

装甲が厚いタイプのモンスターの様で、どう戦うかが重要になってくるモンスターだった。

「・・・・弱点部位はここです。タカヤとキサラギさんが武器破壊、アズミさんミリーさんアリアさん私が両腕と両足、ラインハルトさんとリンさんが弱点部位の破壊をお願いします」

ユキはそれぞれの視界にターゲットマークを表示させ、狙いが被らない様に指示を出す。

意外にもこの中で一番攻撃力が高いのがリンであり、リンの攻撃で装甲を破壊し、内部構造の破壊は総合能力の高いラインハルトに任せる。

全員がユキの指示に従い、それぞれの個所を狙える場所に移動する。

最初の攻撃でタカヤとキサラギが背中に取り付けられていたミサイルと両手の銃を攻撃。ミサイルは誘爆し、銃は銃身を曲げることに成功する。

間髪いれずにアズミ・ミリー・アリア・ユキが四肢を攻撃。関節部分にダメージを与え行動能力を奪う。体を支えることが困難になったモンスターはそのまま崩れ落ちそうになるが、それを許さず、リンが弱点部位の鳩尾に当たる場所に弾丸を撃ち込み、装甲に穴をあけ、ラインハルトがその穴に銃弾を撃ち込んでいく。

連続的に金属音が響き渡り、重要機関を蹂躙されたモンスターは電子音と放電音を鳴らしながら機能を停止する。

完全にエネルギーが絶たれた体がゆっくりと崩れ落ち、地面に音を立てて衝突した。


「・・・・・エネルギー反応消失。討伐完了です」

ユキの言葉で全員が戦闘態勢を解く。しかし、周りへの警戒を止めることはなかった。この辺りもシドとライトから口酸っぱく言われている。

「ふー・・・あっさり片付いたわね」

アリアは、以前は討伐を諦めた機械系中型モンスターがここまであっさり討伐できたことに驚く。

「生物系みたいに回復しませんからね。まあ、大型になると自己修復機能があるモンスターもいるみたいですけど」

ユキはそういい、先を急ぐように促す。

戦闘後、一か所にとどまっていると戦闘音を聞きつけたモンスターが寄ってこないとも限らないからだ。



漸くユキが掴んだ反応がある場所までたどり着く。

それは、ビルの中に入り2階に上がった所にあった。昔は何かの店舗だったのか、同じような隔壁が下りた部屋が並んでいる。しかし、今でもエネルギーが供給されており、開けることが出来そうな隔壁はこの1つだけであった。

「開けてみます」

ユキはそう言うと隔壁に取りつき、コードを差し込んで情報収集機の操作を始める。

それ程時間もかからずユキはロックを解除した様だ。

「開けますよ」

ユキがそう言うと、タカヤとキサラギは隔壁の前で銃を構え、他の全員が何かあった時にフォローが出来るように構える。

隔壁や扉を開けるとその向こう側にモンスターがいる事も稀に存在する為だ。

軽く電子音が鳴り、ゆっくり隔壁が開いていき、奥の様子が見えるようになる。やはり何かの店舗だったようで奥に扉が見えてくる。

隔壁が完全に開き切ると、ユキがロックを解除する為に扉にもう一度取りついた。

こちらもそれほど時間を掛けずに開いたようで、ゆっくりノブをまわし扉を少しだけ開ける。

情報収集機で中の様子を探り、モンスターや警報装置などのトラップが無いかを確認し、扉を開け放った。

全員が店舗内に入ると、そこはアパレルショップだったようだ。


様々な衣服が置かれており、圧縮されたパッケージや立体ホロ発生器が店内に置かれていた。


「ああ~・・・やっぱり外れ・・・・」

店内の様子を見たミリーがガックリと肩を落とす。

「アパレルショップか~・・・」

「ん~、ホロの機能が生きているならメカ系も多少は回収できるんじゃないか?」

「そうね、でもあまり多くは期待でき無さそうよ?」

「そうですね・・・でも衣服を持ち帰っても仕方ありませんし・・・・」

アリア・ラインハルト・アズミ・リンも残念そうに声を落とす。

「衣服も遺物だろ?ダメなのか?」

遺物の価値にあまり詳しくないキサラギは不思議そうにする。

「衣服系はお金にならないのよ。まあ、多少はなるんだけど、やっぱり遺物はメカ系の方が高く売れるのよね」

アズミはキサラギにダゴラ都市での相場を教える。

「そうなのか・・・」

遺物なら基本何でもいいのでは?と考えていたキサラギは少し驚く。

「西方ならちょっと高く買い取ってもらえたそうだけどね」

アリアはそういうが、やる気がガッツリと減っている様だった。

しかし、タカヤが否定の声を上げる。

「いや、ダゴラ都市でも、売るところによっては高く売れるらしいぞ?」

「ん?そうなの?」

ミリーが顔を上げそう声を上げる。

「はい、確かシドさんとライトが売りに行って4点くらいで1千万超えたって言ってました。ええっと・・・確かバーミリオンだったかな?」

「おう、確かそんな名前だった。そこに持ち込んだらいい値で買い取ってくれるんじゃないか?」

タカヤとユキが、以前シドが第二区画にあるアパレルショップに売りに行った時の事を話す。

ワーカーオフィスに持ち込んでもバックパック一杯に持ち込んでもせいぜい百数十万程度にしかならない。

それはそれで大金だが、メカ系の遺物を手に入れる事を考えれば、ずっと低い値段になるのは間違いない。

全員が店の中を見回し、並べられている商品を再確認する。


4点で1000万越え?

え?

ここにあるの全部回収したらどうなる?


と頭に浮かぶのは仕方がない事だろう。

「でも、そこまで大きい店舗って訳でもなかったからな。ここの全部買い取ってくれる保証はないけどさ」

「そうだね。でも、一応持ち込んでみようよ。一部はワーカーオフィスに卸して価格差を検証してみるのも有りだよね?」

タカヤとユキはそういうと、店の中の物を適当にバックパックの中に放り込んでいく。

その姿を見て、他のメンバーも遺物を手に取る。

しかし、何が入っているのか分らない圧縮パックでは、価値が想像もつかなかった。

「ねえ、男性陣はメカ系の遺物を探してもらって、女性陣がここの布系の遺物を持って帰るってのはどう?」

そうアリアが提案する。

「・・・そうだな、俺たちの方が力は上だろうから重い物は俺達が運んだ方が効率的か」

タカヤはそういうと、アリアに自分の集めた遺物を渡し、メカ系の遺物が無いか物色を始める。

ラインハルトとキサラギも参加し、店内を探し始めた。



5人のバックパックが8割程埋まり、一旦回収の手を止める。

重量は大したことは無いが、あまり嵩張り過ぎても行動に支障が出ると判断した。

「・・・・・これってホントにお金になるの?ギルドでも衣服系は価値が低いとしか聞いてなかったけど・・・」

「私たちもそう思ってたわね。リンはどう?遺物の衣装とかって高値で取引されている話って聞いたこと無い?」

「ええっと、遺物の衣装はデザインが現代と合わないものが多く、仕立て直すと遺物としてのブランド力も無くなってしまいますし、あまり人気は有りませんでした」

「そうだよね~。私も一回ブラとパンツが一本の線で繋がってる様な遺物を見つけたことあるけど、こんなのどうするの?って思ったもん」

「それって売れたの?」

「・・・まあ4万コールくらいにはなったよ」

「下着と考えたら高いけど、遺物と考えたらショボ過ぎよね」


全員が微妙な顔をしながら遺物の詰まったバックパックを背負う。

すると、ラインハルトのユキを呼ぶ声が聞こえて来た。

「ユキ。ちょっとこっちに来てくれ」

「わかった」

ユキは返事を返し、ラインハルトの元へ向かう。その後を4人も付いていくと、旧文明のシューズが並べられていた。

全てがショーケースの中に並べられており、電子ロックが掛けられている。

「このケースのロックを外せないか?」

ラインハルトはケースの中に入っているシューズが気になるようだ。

「やってみようか」

ユキはケースの電子ロックにコードを差し込み調べ始める。

これくらいなら直ぐに開けられるだろうと考えていたが、思いのほか厳重なロックが掛かっている様で、ユキの顔が険しくなっていく。

「・・・・・ん~~・・・・・・・・・・・・・これじゃないな・・・・・・・・・・・ん?どうなってるんだろ・・・・」

中々開けることが出来ないユキにタカヤが声をかける。

「それって、前にあった生体認証式じゃないのか?ほら、ライトがセキリュティを殺してシドさんが扉ぶち抜いた時の」

タカヤにそう言われ、ユキもあの時の事を思い出す。

「あ、そうかも・・・・・じゃあ・・・・・・・ここを・・・・こうして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これでよし。うん、これで大丈夫、やっちゃって」

「おう」

タカヤは腰を落とし、ショーケースに正拳突きを叩きこむ。

このメンバーで随一の力を誇るタカヤの正拳突きがショーケースに衝突し、ゴイィィィ~~~~ンという音と共にタカヤは跳ね飛ばされる。

「うお!!」

タカヤは思わぬ衝撃と共に後ろに跳ね返され、衣装棚に突っ込んでいった。

「ちょっと!大丈夫!?」

アリアは慌てて駆け寄り、衣装棚に突き刺さり足だけ出ていたタカヤを引っ張り出す。

「ああ、大丈夫だ・・・でもなんだ今の?」

「・・・・衝撃を受けると増幅させて反射する素材で作られているようだね。ギルドの先輩に聞いたことがある」

ラインハルトがショーケースを軽く叩きながら言った。

「そんな物まであるのね・・・・ユキが開けられないって事は、それだけ貴重な商品だってことかしら?」

「たぶんそうなんだろうね。う~~ん・・・・ただの靴って訳じゃなさそう」

「どうするんだ?銃でぶち破るか?」

アズミ・ミリー・キサラギがそういうが、ラインハルトは止めに入る。

「銃は止めたほうがいいと思う。ケースが壊れずに反射した場合何が起きるかわからないし、壊れても中の遺物がダメになる可能性が高いと思う。悔しいけど今回は諦めよう」

ラインハルトの言葉に、全員が渋々頷きこの場を後にしようとする。

すると、床がかすかに揺れたような気がした。

「なあ、今揺れたよな?」

「そうね・・・・ユキ、モンスターの反応は?」

「この建物の中にはいません。でも外の事は壁の近くまで行かないと・・・」

「何が起きてるか把握するべきでは?ユキさん、どのくらい外部に近づけばいいですか?」

「窓がない場合は直ぐ近くまで行く必要がありますね」

「なら、行くしかないな。早くした方がよさそうだぞ」


全員は旧アパレルショップを出て、状況を把握するために行動を開始する。


なるべく音を立てずに移動していると、この遺跡探索訓練を監視しているはずのライトからメッセージが送られてくる。

ライト曰く、『今は外に出ない方がいい』らしい。

ユキはその事を全員に共有し、対策を考える。

「どうします?」

「・・・まずはライト君と連絡を取って状況を把握しないと何とも言えないわね。通信はどう?」

「・・・ここでは無理ですね。ライトの情報端末の通信強度で無理やり送って来たみたいですから」

「外に出ない様に側まで行く必要があるな。慎重に行こう。あの2人が直ぐに解決できないトラブルが発生していると考えるべきだ」

ラインハルトの言葉に、この場の全員が頷いた。

ここからはさらに慎重に動かなければ命に係わる可能性が高いと認識していた。

慎重に、だが迅速に移動し、ライトと連絡を取る事を最優先に行動を開始する。

広い建物ではあったが、焦りの気持ちが浮かんでくるとさらに広く感じる。

気持ちを落ち着かせながら移動し、ようやく外と連絡を取れるようになると、ライトから通信が入る。

『ユキ、そっちの状況は?』

「ライト!こっちは大丈夫。そっちはどうなってるの?!」

『今大型モンスターと戦闘中。まあ大丈夫だよ、この前の大型ワームより弱いしね。でも広範囲に爆弾撒いて来るから慎重に行動してね』

「わかった。私たちは一足先に撤退するよ。いいでしょ?」

『うん、良い判断だと思うよ』

ライトはそういうと通信を切ってしまう。

余裕のある様に見せていたが大型モンスターとなると実際はどうかわからない。迅速にここから撤退する必要があるとユキは判断し、出口まで皆を誘導していく。



ビルの外に出てくると、辺りの様子が情報収集機から流れ込んでくる。

シドとライトはこのビルの向こう側で戦っている様だった。そしてあの戦闘音を聞きつけたモンスター達がこっちに向かってきている事も分かる。

「モンスターです!戦闘準備!突っ切ります!!」

ユキが端的に指示を出すと、即座にここまでやって来たフォーメーションを取り移動を開始する。

ユキが辺りの情報を全員に送り、その情報を元にタカヤとミリー、キサラギとリンがモンスターの迎撃を行い、射撃能力に優れたラインハルト、アズミ、ユキ、アリアが雨の様に降ってくる爆弾を空中で撃墜していった。

この4週間足らずで培った連携をいかんなく発揮し、全員がこの修羅場を駆け抜けていく。


向かってくるモンスターはいくら中層のモンスターと言えど、火力に優れたタカヤ・ミリー、キサラギ・リンの前では瞬時に弱点を撃ちぬかれ絶命し、空から降ってくる爆弾は誰かの様に高速で避ける事もないただの的だ。射撃能力の伸びに秀るラインハルト・アズミ・ユキ・アリアは正確に迎撃していく。

全力で駆けながらこれだけの戦闘行為を行えるほど、全員の力量は向上していたと言える。


ユキが逃走経路を割り出し、その道を全員が完璧ともいえるチームワークで駆け抜けていく。


漸くモンスターの包囲を抜け、大型モンスターの攻撃範囲から脱出することが出来た。

ユキが此処まで来れば大丈夫と判断できる場所までたどり着くと、タカヤが

「ちょっと観戦しないか?」

と言い出す。

普通なら何を言っているのかと言うところだが、全員がシドとライトの戦闘に興味があった。

手頃なビルの屋上に上り、彼らの戦闘風景を目に納める。

「・・・・・・・すげーなー・・・・」

「・・・・・本当に・・・・」

「ライトも空を歩けたんだね・・・・・」

「人ってあそこまで強くなれるんだな・・・・」


彼らの目には、高速で宙を跳ね回り、S200と刀で大型モンスターを蹂躙するシドと、同じように空中を駆けまわりながら寄ってくるモンスターを釣瓶撃ちにするライトの姿が映る。


「俺たちはまだまだってこったな」

タカヤの言葉に全員は共感する。


訓練を経て強くなった。

その実感はある。

しかし、それでも上には上がいるという事を理解した。

今は足元にも及ばない。だが、何時か。

全員の胸にはその思いがはっきりと浮かんでいた。


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