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スラムバレット  作者: 穴掘りモグラ
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プロローグ

この度は本作品を読んでいただきありがとうございます。


この作品が初投稿となる為、拙い文章ですがよろしくお願いします。

遺跡


それは過去に、栄華を極めたのではないかと思われるほどの科学技術によって作られた都市の成れの果て。


多くの技術が眠り、日々多数の人間が訪れ探索を行っている。


その遺跡の外れ。


元は遺跡と呼ばれる都市の一部であったであろう瓦礫の山があった。その瓦礫の山を少年が歩いている。

彼は屑鉄拾いと言われる仕事の最中だ。


瓦礫の中から比較的原型の残っている機械やパーツ等を拾ってジャンク屋に持っていく。


価値のありそうな大きな物や、重金属性の製品などは持ち運べない。


背にあるボロボロのバックパックに入り、自力で持ち運べるサイズと重さの物を探してはその中に放り込んでいく。


辺りには、昔は非常に発展していたであろう都市の残骸がそこら中に散らばっていて、遠くの方には防壁の様な物があり、その奥にうっすらとビル群が見える。


あそこまで行けば、もっと価値のある物が手に入るのだろうが、行くことはできない。


あそこは非常に危険だからだ。


このエリアから先に進めば旧文明の防衛機構が未だに稼働しており、その防衛網を突破するには非常に高価な武装が必要になってくる。


「あんな所まで行って帰ってくる奴らもいるんだよな・・・俺には関係ないけど・・・」


彼らはハンター、もしくはシーカーといい、旧文明の防衛機構 機械兵器や生物兵器を時には躱し、時には打倒しながら遺跡の奥へ進んでいく。


兵器群モンスターの討伐を主に活動する者をハンター、旧文明の建物や都市 遺跡内部の遺物やシステムデータを持ち帰る事を主に活動する者達をシーカーと呼び、それらを総称してワーカーと呼んでいる


モンスター討伐はもちろんの事、遺跡内部に入るにも相応の知識と、特に武力が必要になってくる。


遺跡もその周辺をうろつくモンスターも、現文明では再現が困難なハイテクノロジーで構成されており、近づくのは命を賭ける必要がある。しかし、その分の成果も大きい。


要するに金になる。


一般人が一生で稼ぐ金額を数日で稼ぎ出したりするのだ。


当然そんな者たちは一握り・・・いや一つまみだろう、大方は一山いくらの存在で引退するかモンスターに殺されている。


だが、そんな一山いくらの者達でも今の自分よりはましだろう。


このバックパックをパンパンにしてもせいぜい2日分の飯代にしかならない。いつか俺も・・・そんな考えも浮かばないほどのその日暮らし。食うや食わずやの人間が銃など買えるわけ無く、日用品ですら贅沢品なのだ。


「あ~~・・・この辺りのめぼしいもんは粗方拾っちまったか・・・ん?」


少し離れた所を数人の人間が駆け抜けていく。


「なんだ?」


次の瞬間彼らの居た辺りが爆発し吹き飛んだ。


「!!??!!」


その衝撃に体が硬直してしまう。走っていた彼らは後ろを見てなにやら大声で喚きながら手に持った銃器を乱射し始める。彼らが撃つ方向に目を向けると大型の獣の様なモノが複数迫ってきていた。


「ちょっ!あれってモンスターか!?」

(あいつら遺跡から引き連れて来やがったのか!この辺りまでモンスターが来たなんて聞いたことなかったのに!)


聞いたことがあろうがなかろうが現にモンスターがこっちに向かってきているのだ。方向は若干ずれているがこのまま突っ立っていてはこちらも狙われてしまう。


(ヤバい!隠れないと・・・!)


バックパックはその場に降ろし身を低くして少し離れた瓦礫の隙間に身を隠す。


(俺の事は見つかってないか?姿は見られてなくても獣型って嗅覚やら感覚器が発達してるせいで見つかりやすいって聞いたことが・・・・)


限界まで気配を殺し手で口と鼻を抑えて出来るだけ音が出ない様に身をひそめる。


銃声よりも自分の心臓の音の方が大きいような感覚に陥りながら、危険が過ぎ去ってくれることを期待して身を隠し続けた。


しばらくの間、銃声と獣の咆哮が鳴り響いていたが、だんだんと遠ざかり何も聞こえなくなり静寂がおとずれる。


(もう行ったか?いや、あのハンター達が逃げ切ったり負けたりしたらアイツ等また戻ってくるって事だよな?どうする?動くか・・・このまま隠れているか・・・)

30分ほど身を隠してじっとしていたが、なにも変化は訪れない。


(もう平気か・・・?)


ゆっくりと瓦礫の隙間から這い出し、降ろしたバックパックまで身を屈めて移動し無事を確かめた後、周りを見渡しどうなったのかを確認する。

すると彼らが戦っていた辺りにモンスターが倒れていた。


(何匹いたのかまではわからなかったけど、1匹は倒したんだな。だったら負けるって事はないのかな?しっかしデカいな・・・起き上がったら俺くらいあるんじゃないか?なんだこれ・・・熊?ってヤツか?)


熊の様な見た目をしたモンスターだった。強靭な筋肉と骨格を持ちこの体格で体当たり等されれば少年など吹っ飛ばされるどころか砕け散りそうである。しかし、それ以上に目を引くのがモンスターの背中から2門の砲身が生えていた。


「これがモンスターか・・・初めて見たけどやっぱバケモンだな、見つからなくてよかった~。・・・・・ったく!ヘッポコハンターが!こんなの連れて来やがって、危うくとばっちりで死ぬとこだっ・・・」

「誰がヘッポコだと?」


!!!


振り返ると瓦礫の上に先程走って行ったワーカーが立っていた。


「おい、誰がヘッポコだ??屑鉄拾いごときがなんだって?!」

頭に青筋を立てながらワーカーが近づいてくる。

しっかり銃で武装しており、服も丈夫そうな防護服を着こんでいた。素手でどうこう出来る相手では無いのは明らかであり、そもそもの対格差もかなりある。人相は悪く、顔の左側に髑髏の入れ墨をいれておりかなりガラが悪い。

その男はワーカーというよりワーカー崩れのゴロツキだった。


(やっちまった!こっちに戻って来るなんて思わなかった!!)


後悔しても後の祭りである、次はしっかり気を付けよう。次があれば・・・


男は近づき前蹴りで少年を蹴り飛ばす。瓦礫の山に叩きつけられ胃液が逆流する。


「ウェ~~!!・・・・・・ゲホ!ゴホっゴホ!!」


俯いて痛みに耐えていると今度は顔を蹴られ横に転がった。なんとか顔を上げ男を見上げるとそこには銃を構えこちらを撃とうとする男が目に入った。

「ま…!待ってくれ!!」


「うるせーよ、死ねゴミ屑」


男が引き金に指を掛けなんの躊躇もなくこちらを撃ち殺そうとするのを見て少年は必死に避けた。

一瞬前 少年が居た場所に無数の弾丸が撃ち込まれる。地面が砕け、破片が少年に降り注ぐ。


(まずいまずいまずい!マジで殺される!)


横に飛び転がり移動し瓦礫の後ろに逃げ込むがモンスターを殺傷できる威力を持つ銃弾の前にはあまり意味がない。後数秒もすれば弾が瓦礫を貫通し少年の命を奪うだろう。これまでかと少年は顔をしかめる。


しかし、その時は訪れなかった。


「ゴェッ!?」 ドゴ!っと音と同時に潰れた悲鳴が聞こえてきた。何事?!と思いながら瓦礫の向こう側を見ると、そこには先程倒れていたモンスターとそれに踏みつぶされている男が目に入る。異常に発達した前足の爪が男の背中に食い込み血が噴き出していた。


「お・・・おばぇ・・まだ生ぎで・・・・!」


モンスターは牙をむき、男を今にも噛み殺そうとしていた。


「やべろ・・・!!!!」男は必死に抵抗するが、更に爪が食い込むだけで逃げられる様子はない。



少年は撃ち殺されることは無くなった。しかし危機は去っていない。それよりも状況は悪化しているだろう。

男が食い殺されたら次は自分なのだから。

少年は今のうちに逃げるか隠れるか考える。このまま此処にいるわけにはいかない。生き残るためのチャンスは無いかと辺りを見回す。

すると近くに男が持っていた銃が落ちている事に気が付いた。

銃など撃ったことなどない、触った事すらない・・・が、ここで逃げても死ぬまでの時間が少し伸びるだけ。覚悟を決め少年は銃に手を伸ばした。


「うああああぁぁぁぁぁぁ!!!」


銃をモンスターの方へ向け引き金を引く。銃口から夥しい数の弾丸が吐き出されモンスターに命中するが、所詮子供の腕力では反動を抑えきれず銃身が暴れる。疎らに当たった弾丸ではモンスターの皮膚は貫通しても肉までは貫けない。強靭な生命力を持つモンスターにとってそれは軽傷にもならなかった。


食事を邪魔するコバエを先に始末する為モンスターは背中の砲身を少年に向けようとする。少年は顔を引きつらせ渾身の力で引き金を引くが、さらに広範囲に弾をばらまく結果になるだけだった。


砲身が少年を向き、モンスターは砲撃を行おうとする。その時、広範囲にばらまかれていた弾丸が数発砲身の中に飛び込んだ。砲身の中を飛び回り、奥に進んだ弾丸は発射されようとしていた砲弾の信管に奇跡的に命中し砲身の中で炸裂する。その衝撃で砲身とそれが生えていた背中を吹き飛ばし、体内に蓄積されていた生体爆薬にも引火。モンスターの体を真っ二つに千切り飛ばした。


少年は爆風によって3mほど飛ばされ転がっていく。風と熱気が少年の頭の上を駆け抜けていく。


熱気が通り過ぎ辺りが静かになると、少年は体を起こし視線を上げる。


少年の目に絶命したモンスターと男の姿が飛び込んできた。


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― 新着の感想 ―
読み始めですが、めっちゃ面白そう 後感想さっと目を通して、予想通りリビルドパクリみたいな事言ってる人居ますが気にしなくて良いと思います。 あの作品話は面白いですが、作者の性格が性根腐ってる屑レベルで…
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