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クラスのマドンナは結構食べる

ヒロインの名前を変えました。

物語に支障はないです。

「あーむ。……お、」

「お?」

「美味しい~!」

「小さな笑顔が眩しい~…」


 デザートにプリンがあるよという言葉で飯堕ちした天重さんは、美味しそうにご飯を食べてくれる。

 バイト先以外で他人に飯を食べてもらうのは初めてで少し緊張したが、彼女のお口に合って何よりだ。


 まぁ簡単な物しか作っていないし、不味くなる方が難しいのだが。


「この鮭の塩加減。味噌汁の薄過ぎず濃過ぎずの、絶妙な味付け。特にこのふっくらとした甘めのネギ卵焼き……どれもご飯のお供に最適な味付け。最高…」

「んな大袈裟な」


 すげぇ饒舌になってる。


「大袈裟じゃない。簡単な料理だけど、だからこそ料理人の腕が求められるものって、お父さんとお母さんが言ってたもの」

「そ、そう。まぁ口に合ったのなら良かった。そういえば敬語…」


 さっきは敬語だったのに、急にそれが無くなった。

 別に指摘した訳じゃないが、天重さんは落ち込んだように俯いてしまった。


「ご、ごめんなさい。つい興奮してしまい…」

「いやいや、気にすることないよ。同い年だし、全然タメ口でいいよ」

「いえ、普段はずっと敬語なので…。本当につい、その……美味しすぎて…」

「わかったわかった。ほら、料理冷めちゃうぞ。遠慮なくどんどん食いな」

「はい…。ではお言葉に甘えて…」


 天重さんはそれから、ただただ美味しそうにご飯を食べ進めていった。彼女の前に座っていた俺はそれを、手に顎を乗せて暖かい目で見ていた。

 自分が作った料理を美味しく食べてもらうのが、俺の幸せの一つでもある。だからつい見いってしまう。


 そうして改めて彼女の容姿を見ていると、一瞬息を呑んでしまった。近くで見るとより美人だなと。

 さらりと伸びた艶のある髪に、ややつり目だが大きな瞳。透き通った鼻筋。

 世の女性陣なら憧れるであろう高レベルなまでの容姿をしており、モデルにいても不思議じゃない。


 ……まぁ。結局はそれだけの話なんだが。

 でもまさか料理バカの俺が一瞬でも見惚れてしまうとは。美人ってすげぇ。


 ご飯一杯じゃ足りなかったのか、物足りなそうにしていた天重さんに、遠慮せずおかわりもして良いと伝えると、よっぽど腹が減っていたんだろう。

 四回もおかわりした。


 ……父さんたちの分が無くなったな。また後でひぃひぃ言いながら炊くか。


「ごちそうさまでした。大変美味しかったです」

「そりゃあ良かった」

「……あと、ごめんなさい。少し、いえかなり食べ過ぎてしまいまして。食費は後日、ちゃんとお渡しします」

「別に気にしなくていいよ。俺が勝手にやったことだし」

「そういうわけには…」

「うーん。じゃあ今度、なんか困ったことがあったら助けてよ。それでチャラにしよ」

「いまいち納得いかないのですが……わかりました。じゃあ貴方が助けを乞いに来るのを待っています」

「その言い方だと俺が何かしらのピンチに陥ってそうなんですが」


 そう言いながら俺は冷蔵庫に向かい、中からデザートのプリンを取り出した。


「はい。恐らく一番のお待ちかねであるプリンですよっと」

「確かに楽しみでしたが、本当によろしいのですか?これってもしかして、貴方のでは…」

「さんざん食っといて今さら遠慮かい?」

「うっ…。イジワル…」

「あっははは。悪い悪い、いいから遠慮せず食いなよ。俺はまた作ればいつでも食べれるしさ」


 拗ねたように頬を膨らませた天重さんの前にプリンを置く。

 天重さんの前に座り直すと、彼女が目をパチクリしながら俺を見つめていたことに気付く。


「なに?」

「……もしかして、これも紗良斗くんの手作りですか?」

「そうだけど。もしかして手作りデザートは嫌いだった?」

「そういうわけでは!ただ、紗良斗くんって本当に料理上手なんだなって」


 今時そんな珍しいかね?料理出来る男ってのは。


「……ごくり…」

「ごくり?」

「!? す、すみません!さっきのお料理があまりにも美味しかったので、期待でつい喉が…」

「そんな期待されると緊張するな…。今朝、寝ぼけ眼で割りと適当に作ったやつだからさ。過度な期待はしないでおくれよ」

「いただきます!」

「食の前だと人変わるね、君は…」


 期待しないでという俺の言葉を無視して、プリンを口に運んだ天重さん。

 すると次の瞬間、さっきよりも眩しい笑顔で美味しそうな顔をしだした。


 お口に合って何よりですサングラス欲しい。あと可愛い。

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