表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変質の竜殺し  作者: 高山イシン
9/9

親しき友人

「変装するって言っても……」

「…あ!」

いるじゃないか!最適なヤツが…!

ポケットに入れていた鈴を出す。

妖精の鈴(ようせいのすず)』。対になるものと音を響かせ合う。今オレの鈴と対になっているのは…。


「『商人(しょうにん)』!!聞こえるか!」

商人なら、何か変装に使える魔法道具を持っているかもしれない…。

鈴を大きく鳴らす。

鈴の音は返ってこない。

「商人?聞こえてないのかよ…!」

商人からの返答を待つが、ダメそうだ…。


「リード!どうだった?」

エイルは大きなフードを被った。

「俺は翼竜(ワイバーン)派に顔が割れている。その俺と歩いているキミも不審人物扱いは免れないだろうな。特にキミは人間種(ヒューマー)だしな…」

「でもどうするよ?オレもフードか何か被って誤魔化すしか無いか…?」

商人と連絡がつかない今、どうにか顔や体型を見せないようにするしかない。

「そうだ!仮面があるぞ。キミみたいな人間種用の面だ!」

「人間種用の仮面…?竜国(ドラゴニア)になんで…」

竜種(ドラゴ)の人間種を排斥する思想は100年以上続いている。

「オレや商人の前に誰かが訪れたのか…?」

「さぁな…。俺もよく知らない…だけど頭領はコレを大切に扱えと言っていた。来るべき日に備えてって」

仮面を受け取る。裏側に何かが書かれていた。

「…許されないことをした。しかし命は紡がれる。それを信じてる…」

この文章は…。

「誰かへのメッセージ…?」

今はそれが何を示すかは分からない。

「どうした?リード」

「どうもしてない。案内頼むよ、エイル」


人竜(リザード)派頭領に会って、母の手がかりを手に入れる。そしてこの竜国で起きていることを知らなければ。




カバンの中からチリチリとした音が鳴り続ける。


「今だけは…。今だけはダメだリード君…!」

商人は対峙していた。

強大すぎる魔力を持った、大きな銀翼の竜(シルバードラゴン)と。


「なぁ貴様…。どうやってその通行証を手に入れた?」

竜は商人へ問う。今、商人の姿は魔法道具、『人狼の毛皮(ウルフローブ)』の効果によって翼竜派一般兵の見た目をしている。

「…っ。ど、どうされました?この国の大臣様がわたくしのような一般兵に…」

カバンの鈴は鳴り続けている。彼が呼んでいる。

「貴様から、同種と違う匂いがしている。外側を上手く誤魔化せたとて、竜の感知力にかなうわけが無い」

「本当に何を仰っているのだ!疑うのはやめて頂きたい!」

「もうよい。下手な演技はやめておけ。

「惨めな遺言を残すことになるぞ…」

竜は笑いながら言う。

「まだ取り引きが残ってるんだけどなぁ…」




「もうすぐ竜の心臓!この国の中央だ!」


国のはずれにある人竜の里から歩いて30分ほど。里とは打って変わって、高い建物が並んでいた。

「あの塔は権利管理署で、あっちは学校、そんでこっちは工場だ。そんで…ここが頭領の住まう、竜の塔だ!」

エイルが一際大きな建物を指さして言った。

外観は白く、ただ白く無骨な塔だった。

「大きいな…」

「立派だな!さぁ行こう。頭領が待ってる」



建物の中は外から見た時よりも広く感じた。

「広いな」

「俺もいつ来ても、そう思う。頭領がここに『光』の『空間魔法(くうかんまほう)』を使っているらしい。外と中の光を曲げて、見え方を変えてるらしいぜ」


空間魔法…。初めて見る魔法だ。『照らせ(シャイン)』と同じ『光』の魔法なら、何か掴めるのかもしれない。

オレは『照らせ』、使えないけど。


「頭領!久しぶりにご挨拶に来ました!人竜派副頭領エイル・シアンです!」

「おかえり。エイル。お前は変わらず騒がしいな」

竜の白い鱗が光を跳ね返す。

「エイルよ、お前の横の者は?」

龍の目がこちらを向いた。

「オレはリードです。頭領様、初めまして」

竜の目に見られると、身体が固くなるような気がする。

「リード…。リード・ローゼンティーヌか。あの寛容な王国から追放された人間種の!」

ハッハッハ!と笑いながら竜は言った。

「相当な変わり者だな貴様!面白い」

「そりゃどうも」

ビビりながらも応える。身体の固みは取れないが。

「そうだ。我の名前を教えてやろう。我の名前は…」


「ロロ・エクリュ。だろ!」

竜が名前を言う前に、誰かが声を出した。

「お前は…。ノキコ!!」

ノキコだった。



「ノキコ!何してたんだよお前!やけに静かだと思ってたら!」

ちっさいキノコがテクテク歩く。

「だからー!おいらは人竜に捕まえられないように隠れてたんだよ!」

「隠れてたって言ったって!なんで今出てきたんだよ!」

「なんでって…。おいらの知ってるやつの魔力が近づいたから」

知ってる魔力…?出会った時に言っていた賢者のことか?


「久しぶりだな『森の賢者(もりのけんじゃ)』ノキコよ」

「おう!久しぶり!『白の賢者(しろのけんじゃ)』ロロ!」

白い竜、ロロとノキコがハイタッチを交わした。

「前に言ってた賢者の知り合いってロロさんのことだったのか」

「おう。おいらの予想以上にコイツ、弱ってたけどな…」

弱っている?この魔力量と圧を持っていて?

「ときにリードよ。お前の生まれを聞かせろ。王国から忌み嫌われし者の始めを知りたい。『白の賢者』として」

「オレの生まれ…?興味あるんですかそんなの」

「あるから聞いている。早うしろ」

怖ぇ。

「オレが目覚めて初めて見た景色は赤色でした…




「ハァッ…。ハァッ…!」

商人は逃げ続けていた。

「規格外過ぎるね!竜ってのは!」


爆ぜろ(ダイナ)

商人の足元が爆発した。

「やばいッ!」


「まだ逃げ続けるか…。しつこい…。さっさと失せろ…!」

「まだ策はあるさ!ボクは商人だぜ!」

商人はカバンを探る。

「これじゃない!これも違う!…。これだ!」


「『影法師の糸(バックロード)』開け!裏道!」

商人の身体が地面へ沈む。影に沈み、裏側へ逃げる魔法道具。


「ほう…。魔法道具か…。」

銀翼の竜は追う事をやめた。

「次は殺す」



「ふむ…。中々に酷い話だ。お前が話すそのヒトとやらは、対象を真っ二つにする魔法を使ったのだろう?それならば捜索も容易いのではないか」

「そうは言ってもなぁ…。おいらでさえ知らない魔法だぜ?」

「ノキコ、貴様は引きこもりだから仕方がない」

「引きこもりって言うなー!!!!」

ポコポコポコとノキコがロロさんを叩いている。

「してリード。どうする。我の知識を使うか?」

賢者の知識を…。それも2人分も使える…!

「使わせてください!」

大きな声で応えた。

「よい。我の知識を読み込め…!…『空間作成(キューブ)』」

だだっ広い、真っ白だった空間に、たくさんの本が並んだ。

「図書館…」

「そう図書館だ。王国のものよりは小さいかもしれんがな」

オレの目の前に数冊の本が落ちてきた。

「お前の探す魔法なら…。これらが近しいかもな」

本に手を乗せる。

オレの手に光が走った。魔法発動の光だ。


「…『変質(理解者)』」


見たことの無い魔法の情報が頭に流れ込む。

「これが…!魔法…!!」






お読み下さりありがとうございました

ご感想等お待ちしております



イシン

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ