虹色の鱗
こんにちは。よろしくお願いいたします。
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「ここが隠し通路ですか…?さてと…単身突撃はバカがやることですが…。まぁいいでしょう」
男が呟く。赤い髪の毛、青い目の細身の男。
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「ご馳走様!はぁ〜食った食った!おばちゃんありがとう!」
「いいさいいさ」
「おばちゃんコレ幾らだっけ?払うよ。昔からのツケ分さ」
おばちゃんが驚いた顔をした。
「エイルちゃん急にどうしたの?いつもなら頭領にツケで!って言うくせに」
エイルはさらりと秘密をバラされた。
「カッコつけたかったんだよ!せっかくの客人の前だぞ!」
ムキになったようにエイルが言う。
「はっはっは。いいさ。エイルちゃんの好きなだけ食べればいいのよ」
「おばちゃん…」
暖かい顔と言葉だ。人間種と違う種族でも、愛情は同じだと感じる。
その時だった。
〈ドカンッ!!!!!〉
大きな音が響いた。
「皆さんこんにちは!人竜の方々は、抵抗なさらないようお願いいたします。せっかくの鱗が壊れては価値が下がる…」
赤毛、青目の男がゆらゆらと揺れながら話す。
「キャァァァ!!」
1人の人竜が血を流している。
「五月蝿い」
「『剥離』」
掴まれた人竜の腕から鱗が皮膚とともに剥がされた。
「うわぁぁぁァァ!!」
骨と肉のみが残った腕から、血が溢れていく。
「貴様ァ!!」
エイルが男へ飛びかかった。
「邪魔ですよ。どいて」
男が手を伸ばす。先程のように魔法を使う気だ。
「エイル!避けろ!」
リードが叫ぶ。
「既に見た!貴様の魔法は触れなければ効かないだろう!」
「ちっ…。やっかいですね
「では…。こちらを使えば…」
男は逃げながら、食堂のおばさんを掴んだ。
「貴様ッ…!」
「これなら、キミも手出しは出来ないだろう?」
「卑怯者め…!」
「卑怯で結構ですよ…」
男はおばさんの腕を掴んでまた言う。
「『剥離』」
男の腕が飛んだ。
「なっ…!」
「『鱗刀…!』
「俺の魔法だ。お前が欲しがっていた鱗に、自分の腕を切られる気分はどうだ…」
おばさんが捕まる前、エイルは既にアクションを起こしていた。
「俺の鱗は特別でな!光を反射して見えなくなる!そして突き刺さり、俺の魔力で切り刻む!」
エイルの魔法によって、男は痛手を負った。
「本当に…。厄介だ!!」
男がおばさんを放し、逃げようとする。
「待て。貴様、名は」
エイルが問う。
「私?私は竜狩り。翼なきお前たちを狩る者だ」
「竜狩り…?貴様、なんのために我らを襲う!」
エイルは叫ぶ。
「理由?そんなんの簡単ですよ…。金になるからです。それと…。お偉いさんが言うには、お前ら人竜は邪魔…らしいですよ」
「やはり貴様は翼竜派と繋がって…!」
「ここまでです。では」
「『剥離』」
竜狩りは魔法を使い、里を出ていった。
ー
「クソッ…!1人守れなかった!」
エイルの拳が壁を叩いた。
「ごめん…。オレ、何も出来なかった…」
オレはあの竜狩りという男との戦いで、何も出来なかった。させて貰えなかった。
「気にすんなリード。キミのお陰でアイツの魔法を避けられた」
気を使ってくれているのが分かった。
オレの魔法…。『変質』。使い物にならないんじゃ、この魔法を手にした意味が無い…!
ー
「リード。竜狩りの言葉、覚えてるか?あの、人竜は邪魔だって言葉」
「もちろん…。それにやっぱり、この国には裏がある」
オレ達はこの争いの核に触れている…!
「リード。頭領の所へ行こう」
「頭領…?この里には居ないのか?」
人竜の頭領なら、この里にいるのでは無いのか。
「我ら人竜派の頭領は、この竜国の中央。竜の心臓に居る!」
「竜の心臓…。って国の中央なら、オレみたいな人間種、ダメなんじゃないの?!」
竜種、特に翼竜は人間種を嫌っている。
「変装する」
「へ、変装…?」
ー
「あぁあ…。片腕を失って、手に入れたのは腕1本分の鱗だけ…。最悪ですね。特にあのエイルとかいう戦士…。次に会う時は、価値なんて気にしない。ぐちゃぐちゃに殺しましょう…」
竜狩りが片腕から血を垂らしながら歩いていく。
「してやられたな。竜狩り」
「なっ…!アンタは…」
「言ったであろう?人竜には1体、強力な戦士がいると」
「まんまとしてやられましたよ。ところであんた、こんな所にいていいやつじゃないでしょう?
ねぇ…。
「銀翼の竜!この国のナンバーツー…」
ー
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イシン




