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変質の竜殺し  作者: 高山イシン
2/9

賢者と縁

こんにちは。

まだ主人公の魔法は出ません。申し訳ない。

2ー幸運


この世界に生きる生物には、『幸運値』というものがある。これは産まれてから死ぬまでに起きる事象が、自らにどんな影響を与えてくるのかを示す値である。


王国を出てから随分歩いた。

魔獣から逃げて、身体はボロボロだった。

「お腹空いたな…」

マスターから貰ったゴールドがあっても、行くあてが無い。

マスターに拾われてから、王国の外に出たことがなかった。

オレは簡単な魔法も使えない。

こんな時に魔法が使えていたら、暗い夜の道でも足を挫かずに済むのに。

照らせ(ライト)

光の魔法。自分の手に光を集めて、明かりを作る魔法。これは小さな子供が初めて学ぶ魔法。

夜道を照らし、我が子の帰りを待つ親が子に教える最初の魔法。

マスターもオレに教えてくれたことがある。もちろん、なんの光も出なかった。

「あァ…。なんだかなァ…。人には得意不得意あるしな」

マスターに慰められたのを思い出した。


王国の周囲には多数の国がある。王国は人間種(ヒューマー)が住む最大の国だ。その王国での全権を失ったオレは、もうどこの国にも属せない。


「国じゃなきゃいいんじゃない?」


誰かの声がオレに言った。

「へ?」

「だから、国じゃなきゃいいんだって」

声の主を探す。目の前にあるのは…

「キ、キノコ?」

「キノコじゃねぇよ!おいらは賢者!賢者のノキコ・ノコだ!」

「ノキコぉ…。ってもう魔獣にはこりごりなんだけど…」

流石に信じられない。このキノコ魔獣が賢者なんて。

「おいらの森へ来いよ!歓迎するぜ!」

ウェルカムポーズでオレに手を伸ばした。

「メシ食わせてもらえる?」

不意に聞いてしまった。

「もっちろん!」

手をとるのに1秒もかからなかった。

「よし。こっちだ!」

小さいキノコに手を引かれ、森へ進んで行った。


ある生物種の中で頭1つ抜けた知識を蓄えたものを『賢者』と呼ぶ。彼らの寿命は蓄えた知識の分増えていき、『賢者』達に死は無いとされる。彼らが死を迎える時。それは誰かのために命を燃やし、知識を受け渡した時だけである。


森の中は暖かかった。ずっと深いところに来たはずなのに、不思議と日差しを感じる。

「あの…。ノキコさん…?ここって何?」

「ノキコでいいぞ!そんでここが賢者の森だ!でっけぇぞ」

たしかに大きい。広い空間に大きな樹が生え、いくつか穴が空いている。あそこが居住空間なのだろう。

「でか…」

思わず声が漏れた。

「にゃはは!そうだろそうだろ。そらこっちだ!メシ食おう!」

ノキコについて行くと食堂のようなものが見えた。

「ノキコ!おかえりなさい」

「おう!ただいま」

魔カンガルー…??がフライパンを振っている。

「え…」

「お!ノキコが連れてきたのがその子だね」

魔カンガルーがこちらを向く。

「アタシはリンゼ。ここでみんなのメシを作ってる」

目の前の机に大きな肉が置かれた。

「食いながら話そうよ。アンタのこと聞かせてよ」

「おいらも聞きたいぞ!」

あまりの空腹に、思わず肉に噛み付いた。

「ゆっくり食べなよ」

ふとリンゼから暖かい想いを感じた。

「オレ、産まれてきてすぐに家族が死んで、それから…」


リード・ローゼンティーヌ

『□□』

『幸運値』表示不可

お読み頂き感謝致します。

ご感想等お願い致します。



イシン

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