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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

友人未満。恋未満。

作者: 刻露清秀

 君と出会ったのは春だった。僕が高校に入学して一ヶ月くらいたった頃だ。


 入学式から一週間ほど経ったある日、僕は昼休みに一人でお弁当を食べていた。僕の家は共働きで両親ともに忙しくしている。僕はぼっち気質だからいつも一人で食べているのだけれど


「俺と食べない? 」


と君が声をかけてくれた。それが、僕と君の出会いだ。その日以来、一緒に食べるようになったんだ。でもね、そんな日々も長くは続かないってわかってた。


 君はクラスの中で目立つ存在になっていった。友達も多かったし、勉強だってできた。そして何より容姿端麗だった。女の子達が放っておくわけない。僕はそんな君と一緒にいるのが辛かった。ぼっちで陰気や僕の惨めさを思い知らされてしまうから。


 それに君の周りにはたくさんの人が集まるようになっていた。その中に入る勇気なんて僕にはない。僕は教室で一人黙々とご飯を食べるようになっていった。そうすれば誰にも話しかけられないと思ったから。


 そんなある日のことだった。放課後に教室に残っていると突然君が現れて


「今日こそ一緒に帰ろうよ」


と言ってきた。最初は断っていたんだけど、あまりにもしつこく言うものだから折れて一緒に帰ることにした。


 帰り道、君は色んな話をしてくれた。今までどんなことをしてきたのかとか、これから何をしたいだとか。そんな話を聞いてるうちに少しずつだけど、やっぱり僕は君の隣にいていいんだと思えるようになった。それから毎日一緒に帰るようになって、学校に行くことも楽しくなった。


 君は僕より背が低いけど、運動神経が良くてほどよく筋肉のついたいわゆるスポーツマン体型だった。正直羨ましかった。僕は筋肉つかないし猫背だから。


 このままの高校生活が続くと思い上がっていたある日のこと。君と喧嘩した。原因は些細なことだったと思う。でもお互い意地になって謝れなくなった。そのうち話す機会もなくなっていった。それでも、ずっと気になっていた。このままじゃいけないと思っていた。


 でも僕たちは結局そのままの関係で高校を卒業した。成人式の日、君とすれ違ったけど、茶髪になった君は友達と騒いでいて、僕には目もくれなかった。


 人との別れって案外あっさりしたものだ。

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