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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

エッセイ

お願い集まらないでぇ

詳しくご存知の方、感想をぜひ!

 その衝撃はエノキから起こった。

 

 鍋に入れようと、エノキの根元をざっくり切った。

 きったあと、なんとなく、本当になんとなくだが切った断面図を見た。


 見た!

 見ちゃった……

 見なければ、良かった。


 直径約七センチほどのエノキの根元には、細いエノキ1本1本の茎の断面図、すなわち小さな円形がびっしりと埋まっていたのだ。


「?♭☆§♯〃↓↑〒※−ノ↓!」


 声にならない叫びをあげた。

 全身に、鳥肌が立った。


 小さい円形の集合体が苦手である。

 それが「トライポフォビア」というものだと知ったのは、わりと最近だ。


 同じ集合体であっても、円形以外、例えば三角形や四角形では鳥肌は立たない。

 円形も、バレーボールが並ぶくらいなら、好んで見たくはないが、まあなんとかなる。

 私の場合、直径が小さい円形、もしくは楕円形の集合体に対しての不快反応が出やすい。


 なぜこんな反応が起こる?


 先行の文献をスカラーで検索したが、国内の研究と研究者は多くはない。いくつか論文眺め、鳥肌反応は、三角形や正方形の集合体より、円形集合体の方が起こりやすいと分かった。


 では、どの位の大きさの円形集合体から、不快反応や鳥肌が起こるのだろうか?

 個人差が大きいと思うので、とりあえず自分で試してみることにした。


【方法】直径3センチ、1センチ、0.5センチの円を紙にスタンプを押して並べる。不快になったら止める。何個並べられたか調べる。

※直径をこの長さにしたのは、手持ちのスタンプがこのサイズしかなかったからである。


【結果】3センチの円は、A5の紙全体に40以上並べたら、気持ち悪さが出たので止めた。

1センチ直径は、A5の紙に30くらい並べたら、額が痒くなってきたので止めた。

0.5センチは、12でゾワッと来たので止めた。


【考察モドキ】私の場合、直径が小さいほど、円形集合体への不快反応が出やすい。直径1センチ以下の円形は、不快というより拒否に近い反応に思えた。

 

【高取仮説】


 円形だけでなく、私は楕円形の集合体も苦手である。多分理由は、これだ。


「アリの巣探索」


 小学低学年の頃。アリの巣を深く掘り下げたため、アリの卵の部屋まで行ってしまい、アリには噛まれるし、親には怒られるし、散々な思いをした。


 アリの卵は透明に近い白色で、長径2ミリくらいの楕円形だった。アリの大切な部屋を壊してしまった子どもなりの罪悪感と、アリに噛まれた痛痒さが結びついて、不快反応を起こすようになったのではないかと思う。


 【さてどうする】

 不快反応への対処法としては、集合体を見ないことに尽きると思う。

 今のところ特に治療法はないし、そもそも疾患でもない。減感作みたいなことは、私はやらない。


 なお、トライポフォビアを「小さな穴への怖れ」として提示したCole&Wilkinsは、虫や有害な生物の他に、感染症時に現れる皮膚症状(発疹など)も回避すべきものと述べた。

 

 集合体への不快反応が、有毒生物や虫、感染症などから身を守るものであるなら、極端に忌避しなくても良いだろう。


 安心して、今夜エノキを食べようと思う。



 






 




参考文献


Cole,G.G.,and Wilkins,A.J

Fear of holes,Psychological Science,24(10,2013

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです(´∀`=) 小さな集まり、ゾワっとしますね! えのきの切り口ほんとに気持ち悪いですよね! 同じです。 近所のゲームセンターのUFOキャッチャー。背面に、ぬいぐるみをギッ…
[良い点] トライポフォビア、私もあります。 只の円の集合は余り感じないのですが、生物的なモノになると一気に駄目になるものがあります。 タコの吸盤がその代表格で、形が揃っていても不揃いでも、映像を…
[一言] 面白い! といったら、申し訳ないような気がしますが…… こういった恐怖もあるんですね。 とても興味深かったです!
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