ペットを飼う事にしました…え?ペットが何故か風呂当番??
ちゅんちゅん。目覚めとしては抜群だな。
あのガタガタと窓を揺らす音だけは余計だけど。
ん?
窓に張り付いているアレ何?
チュンチュンの正体あれなの?窓から見えるの、でっかい目玉だけなんだけど。しかも血走ってるし。
『クワァ、クワァクワァ!!』
うーん。
窓の外の何かの声に違いないけど、分からないな。うん、こんな時はレナトゥスに限るな。
「レナトゥス!!レナトゥスってば!!
おーい。誰も居ないのかい?」
むむむ。朝は弱いタイプか?親近感はあるけど困るなぁ。
じゃあ、仕方ない、ちょっと暴走するから不安だけど「アルクトス?」
おや?こっちもお出かけか。
『クワァァァ。』
血走ってる目玉は怖いけど、声が悲しげでちょっと可哀想だな。ちゃんと喋れたら分かるんだけどな。
「ありがとうございます、ご主人様!!
俺も家に入れて下さい。」
うぉ。まさかの喋れたんかい!!しかし何で礼言うんだ??
「お願いです、ご主人!!入れて下さいー!!」
あのね、この家がめっちゃ規格外とはいえオウムくらいじゃないと入れないから!!
縮んだら、入れてあげ。。げっ!!
「縮みました、縮みました!!窓を開けて下さい!!」
「あのね、ちゃんと小さくなれるんじゃないか。全く騒がしい鳥だな。」
「○○○**××」
んん?今度は喋らないのか?
素直な性格の鳥だな。ちょっと可愛いかも。
昔からペットとか飼うの憧れてたんだよな。
鳥とかなら、レナトゥスも賛成してくれるよな?
「よし、お前。俺のペットになるか?」
は、激し!!首が取れるぞ、鳥。
よしよし。じゃあこれから俺のペットな。
だとすると名前だな。
うーん。
「○○○×**!!!」
え?嬉しいのか?何か激しく踊ってるなぁ。ふふふ、こんなに懐くなんて、可愛いヤツだな。
「じゃあ、火の鳥だから○塚さん、はダメか。うーん…ヒーちゃん。よし!お前の名前はこれからヒーちゃんだ!!」
ボッ!!
おぉ、ヒーちゃんが火の鳥らしく火を吹いたぞ!!さすが俺のペットだ。
窓を開けて入れてやると肩に止まった。
「ヒーちゃん。お前ってば、何の虫食べるんだ?もしかして『火』だったりして…」
「ご主人様。名付けを賜りありがとう存じます。ヒーはこれから忠誠を尽くし…」ヒーの挨拶の途中に割り込み発生!!
「主人、何をしているんですか?」
この声は…レナトゥス?何で怒り気味なんだ?
ヒーが固まって振り向いた方向を見れば空中を浮かびながらレナトゥスがこっちにやって来るのが見えた。それにしてもレナトゥスってば規格外だよな。
普通、剣は出掛けたり空中に浮かんで移動もしないんだけどな。
やるな、レナトゥス。
「主人。お褒めの言葉ありがとうございます…と言いたいところですがコレは何です?」
あ、いつの間にヒーちゃんを摘んだんだ?そんな持ち方したら痛いだろ?
「ヒーちゃん…まさかとは思いますが名付けを…」
「もちろん、した…」「吾輩の名はご主人様直々に名付け頂いたモノなのだ。更にだ。吾輩はご主人様のペットと言う地位を承ってだな。」
あのー、今俺が喋ってるんだけど。やっぱりヒーちゃんはお喋りだな。その隙に定位置にレナトゥスが戻った。やっぱり空中より腰が落ち着く。
「主人よ。吾が朝飯とやらを準備してる間に何をしでかしているやら。ここは主人が何者であるか説明をするしかな…」「お待ちなさい。説明は私の役目。剣如きがしゃしゃり出る場所ではないわ!!」
また割り込み発生…。最後まで話が聞けた試しがないよな。
また空中からの帰宅か。おかえり、アルクトス。しかし、やっぱりレナトゥスが押されてるな。力関係が段々分かってきたぞ。
「コホン…ご主人様。私が今から言う事はかなり重大な事です。ですから心して聞いてください。」
おぉ。重大な事とは…まさかの労使交渉か?随分と時期が早いな。
「ご主人様。巫山戯てる場合じゃないのですよ?本当に大事な事なんです。
まず『名付け』について。
力のあるモノが自分より弱きモノに名付けをすると眷属化します。」
へっ?それが重大な事??
眷属化なら、ペットと同じだな。じゃあ躾けをしない分楽ちんじゃん?
「もし眷属化すれば、そのモノの力を利用するだけでなくご主人様の力も与える事になります。よって、此奴めは。」
「話の途中だけど、オバハン。それは一部違うぜ。既に全て終了してるがホント!」
肩に戻ったヒーちゃんの強気にびっくりする。お前、あの暴走知らんだろ?アルクトスは、まさかの家作りセンスなんだぞ!!コレ…本当にびっくりの連続だったんだぞ!!
グルルル…あ、またKYの俺の腹の虫め。
「あのな。とにかく朝飯にしていいか?腹減ったんだけど…」
朝からまた魔獣の丸焼きはちょっとヘビーだけど、腹の虫には勝てないしな。それに食べれるだけラッキーなんだから。
と、目の前に見えるアレは、もしかして。。
「そうだ。主人が好きなフルーツだ。朝飯とやらは、こんな感じだとアルクトスがだな。」「レナトゥス。よく言ったわ。全ては私の差配です。大事な話の途中になりましたが、まずは朝ごはんを。ではこのフルーツの説明をでは…」
「旨っ!!!何このフルーティな甘さと香り。林檎と桃が合わさったみたいでめっちゃ旨し!!」
アルクトスのいつもの長ーい話よりフルーツだよ。めっちゃ旨し!!
見た目は、スモモくらいなんだけど濃厚で甘味にくどさが全く無い。コレならいくらでも食べれるぞぉ!!
「とにかく、だ。主人の力は吾を従えるモノなのだぞ?それがどのくらい凄いかと言えば…あ、聞いてないな。こんな所ばっかり相変わらずとはな。この食欲魔神め、が。」
ん?レナトゥス何か言ったか?
それより夢中になって食べてたから今頃気づいたけど、果汁でベタベタになんだけど。あ、風呂があるよな、この家(なんて贅沢な…)。トイレ別って言う無茶振りしたけど、昨日はそのまま寝ちゃったから風呂入ってないし見てない。
でも…。
アルクトス設計の風呂だと不安は隠せないよ。え?まさかのプールとかじゃないよな?
「。。風呂の事だがな。ま、とにかく見てもらえば良いか。こっちだ。」今の間何だよ。不安しかないじゃん!!
そう思いつつもレナトゥスに言われた方を見れば、安定の光るドアノブ発見!!しかも、安定の『瞬間移動装置』付き。しかし助かるな、この装置。
「ふぅ…もう何も言うまい。とにかく中を見てくれ。」急かすレナトゥスにちょっと嫌な予感を感じつつドアを開ければ。
「おぅ?!またも予想外か。しかも今度は超良い方向の予想外だよな?岩風呂・檜風呂・そして露天風呂まで完備とは完璧な仕事じゃん!!アルクトスもありがとな。今回は暴走じゃなくて助かったよ。」
「。。。」
あれ?お喋りアルクトスにしては珍しく無言じゃん。どしたの?
「お詫び申し上げます!!出来はまぁ良かったのですが。この風呂温泉の湯を地下から通す道を忘れました。ですから、なんと単なるお湯になるのです!!」
いやそれ、そんな悲痛な叫びで言う事じゃないから。単なるお湯だって、めっちゃ贅沢だからな。
「コホン。先輩方。ここは私にお任せ下さい。さぁ、地下より出でよ温泉!!」
ヒーちゃんてばそんな張り合って羽を広げてカッコつけてもね、無理は禁物だから…あ。。何これ。
もう…こりゃ無言を貫くね、俺。
ヒーちゃんの飼い主だけど、コレは無いわ。
一瞬で温泉のお湯が出た事には感動したよ。でもさ、風呂せっかく三個だったのに何故増えた?!
露天風呂が、窓の外に果てしなく見えるんですけど!!!
「ふふふ、ご主人様。コレはあらゆる温泉を全てご用意した結果です。ささ、褒めて下さっても良いのですよ。因みにお湯の取り替えは私が責任を持って致しますから!!」
大草原の向こうの方まで続く露天風呂は見なかった事にしてとにかく、岩風呂へ入った。
あー、日本人で良かったぁ。
温泉最高!!