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伝統の技を見せる時が来たのか?!

 


『あばらや』の中へと招かれて入れば、大好きな甘いお菓子特有の香りでいっぱいで、思わずお腹の虫がうるさく鳴く。


「おやおや。お連れさんは腹ペコのようだね。では我が家の自慢の一品をご馳走しようかね。」


そう言って、優しい笑顔で奥へと入っていくお婆さんをみおくりながら、どんなお菓子だろうと緩んだ口元を拭っていたら。。ヤバいよね、コレ。

だって振り返るとクザンとルーナスは埃だらけの椅子やテーブルを拭いていたし、アルクトスは店の片付けをしてるんだよ(そう言う時は今度から誘ってね…アルクトス。。)


な、この状態はかなり不味いだろ?

これじゃ俺は、お腹の虫を鳴らす特技のみの人間で、更には年上の面目が丸潰れになるし(アルクトスの実年齢は聞かない方が平和な気がする…でもたぶん。。)

焦った俺が周りを見回してやれる事を探そうとしていたその時、突然の乱暴な物音にギョッとして振り返えったら。人相の悪い男達が数人が勝手に『あばらや』へ入って来て周りの物を蹴飛ばしていた。あ、まだ蹴ってるし(せっかく兄弟が掃除したテーブルにヒビが入ったよ)


「おいおい婆さんよ。まだワカンねぇのか?ココで商売するにはちゃんと払うモノ払ってからしねぇとな。大人しい俺たちだって黙ってられないよ?」


物音を聞いて、奥から慌てて出てきたお婆さんの顔色が酷い。

しかし、これ定番過ぎないか?

マジで、ドン引きするほど定番のチンピラだよな。

大人しく黙っている(?!)チンピラが暴れ出す前に俺の大切なお菓子を守らねば!


よーし。ちょっくら本気を出すか。


「レナトゥスーー!!」

どうだ?この本気…あれ?


「おい、坊主。お前も騒げば巻き添えになるぞ?馬鹿なのか?」


何で何で?いつもなら煩いくらいの勢いで即駆けつけるのに、トイレかな?


「何という間の悪さ。ネスカ村の探索にレナトゥスは出張っているし、ヒーもネスカ村の出店警護に当たらせてるから、私がやるしかないわね。。」


ん?アルクトスがぶつぶつ言ってるけど、女の子にやらせるほど落ちぶれちゃいないよ。

最終奥義『逃げる』の特技を披露しちゃいましょうか?あれ地震かな?身体も足も震えてるけど、大丈夫だから!!…たぶん。。


そんな俺の顔を見上げて不安そうにしている子供達を抱っこして逃げるしかない。でも、三人は無理だからアルクトスは球に戻れば何とかなるはずだ。どうすれば…あれ?もう居ない…一瞬で戻ったのか。

さすがアルクトスだ。

褒めたからなのか、球から叫び声が聞こえる気がするけど、今は気にする余裕は全く無い!!

既に緊張感で耳が遠いんから,俺。聞こえてませんよぉ。


「おいお前。怪しい技を使うじゃねえか?女の餓鬼はどうした?お前…まさか魔法使いか?」


うーん。名案が何処から狂ったんだろう。

チンピラ相手に逃げ出す隙が見つからないよぉ。

そんな困ってるそんな俺を見かねだんだろう。お婆さんが前に出て両手を広げた。


「この子達は知り合いの子なんだよ。決して商売するつもりじゃなくてご馳走をしよ…うぅぅ。。」


必死に言い募るお婆さんのお腹をチンピラが蹴り上げたせいでお婆さんがぶっ飛んで部屋の隅に倒れた。

(この風景何処かで見たような…確か変な四角箱の中で見た気がする…)


あれ?どうしたんだろう、俺。

なんだか身体の血が沸騰してるみたいに熱いし、鼓動が耳元で煩く騒ぐし。震えてるクザンとルーナスが倒れたお婆さんに何度も声をかけるのが聞こえる。「お婆ちゃん、お婆ちゃん。お願い起きてよ。ねぇ目を開けて」


その声を聞いた途端、今度は俺の沸騰していた血が急転直下で一気に下がると同時に目の前が赤く染まった気がした。。。






《レナトゥス》


手のひらに握られた感触にいつもの様に素早く魔力を纏わせる。


「な、な、なんだお前。目の色が…。黒く染まってまるで…」



。。。あれ?。。夢から醒める感覚に必死に瞼を押し上げると、驚く風景が広がっていた。

何で?!

何で男たち(チンピラ)が床に転がっているんだ?


へっ?マジでだれがやったの?!まさかの俺の鍛冶場のクソ力かな?


やるじゃん、俺。


《リベル様。此奴を始末しますか?》


うぉ?レナトゥスってばいつの間に来たんだ?トイレは終わったのか?(遅くなったんだから便秘だな…可哀想に…)


「主人よ、もう戻ったのだな。全く…真名で呼んだかと思いきや相手は単なる人間だし。しかも…便秘とは。やる気が削がれるわ。」


「ぶつぶつ言ってないで、店の片付け手伝ってよ。あれ?お婆さんは?」


兄弟とお婆さんが居ない。怪我が酷くてお医者様へ行ったのかな?


「主人がアルクトスを呼んで別の部屋へ移したのだ。治癒済みだ。」


良かった…さすがアルクトスだな。治癒魔法まで操れるとは…。

でも、このままじゃ、また奴らはやって来るよな。


「坊や。小さいのに強いのね。助けてくれて本当にありがとう。奥で寝てるお爺さんまで治療してくれて。

何とお礼を言って良いやら。

せめてコレでも召し上がって。『まんじゅ』です。」

元気になったお婆さんのそのお盆の上にあるモノは。。


真っ白な丸い,その姿!!


土下座する勢いで拝んで食べてそして、叫びました。


「饅頭サイコー!!」と。


出来ればお茶下さい…。



感動している俺は知らなかった。

あのチンピラがお代官様を連れて来るとは。

あ、間違えた。領主だったよ。


今こそ見せるか。。『逃げ足の速さ』を。

つぎの特技の用意がいるかな?



伝統の一品『土下座』。。



誤字脱字が多くすみません。

編集させて頂きました。。


この拙いコメディ(のつもり。。)をお読み下さる皆様、本当にありがとうございます。



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