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ネスカ村の秘密?!ーヤラン視点ー



本当に困ったモノだ。


「ですから私の名前はヤランと申します。そろそろ覚えて…」「つぎの説明行くね。えーと『チーズ』も欠かせないよね?」


息子達の命の恩人であり、我が家の救世主。しかもネスカ村の大恩人でもある。

だが、その最大の欠点は『人の話を聞いてない』だ。いや違うか。


『全く人の話を聞いてない』の間違いか。




あの日…迂闊な私達が夜中にしていた相談を息子達に聞かれたのが始まりだったのだ。

絶滅したニワ。手に入らないサト。高騰化した牛乳。

ザフ作りは、完全に終わりを告げた。

だから夜逃げするしかない。

捨ててはいけないこの村を捨てる覚悟をしようと話し合っていたのを聞かれたのだ。


そして、二人が家出して探し出したのは、牛乳(モンニュウ)でなくて救世主だったのだ。


あれから…。


あっという間に増えたニワ。それだけでも奇跡的な出来事なのに、彼は次々と牛乳を使った品を発明し出しのだ。

村あげて、開発に乗り出したお陰で夜逃げが止まった。村は救われたのだ。


だが…問題は新たに生まれたのだ。。


「アルクトスも来てたの?」


「ええ。ご主人様の在るところアルクトス在りですわ!!」


そう。この目が潰れそうな程の絶世の美女がその大問題を引き起こしたお方だ。

秘密主義=脱出不能


そう。我々はネスカ村から一歩も外へ出らない身の上になったのだ。


「アルクトスのお陰で乳製品の開発が楽々でさ。もうすぐ俺の大好物アイスクリームやババロアも完成するし。楽しみでしかない!!」


カズキ様…。

本当に不思議な方だ。住まいもそうだが全てが謎に包まれている。

レナトゥス様やアルクトス様は恐らく人外でいらっしゃる。しかもペットと呼んでいるヒー様に至っては聖域にお住まいの聖王に風貌が酷似しているのだが。


「ねえカズキ。隣町でお祭りがもうすぐあるから、一緒に行かない?めっちゃ美味しいモノあるし。」

と、止める間もなかった。

毎年お祭りを楽しみにしているルーナスに、事情を説明するのを忘れてた。今年は行けないと。


「いいねぇ。もちろん行く行く!!そうだ、アルクトスも一緒に行こうよ!!」


カズキ様…秘密主義のアルクトス様がそんなに簡単に頷くはずは…「ええ、もちろんご一緒します。楽しみですわね〜」


。。もしや、我々も外へ出られるのか?


「お前たちはもちろん無理ですよ。分かってますね?」腹話術。全く口が動いていないし、何なら俺だけに聞こえる手法とは。人外と考えていたが、まさか…トンデモナイ何かなのか?


「めっちゃいい事思いついた、俺!!」


「え?また、『ご主人様の思いついた』ですか?」小声でツッコむアルクトス様をよそに上機嫌のカズキ様がこちらをジッと見てる。


え?俺なの。嫌な予感しかしないけど…。


「ココは文化祭のノリでしょ!!出店を出そうよ。ネスカ村の総力挙げて名産品を売りまくろう!!」


「主人の思いつきは、アホなのか?ニワが絶滅したのは世界中の大問題なのだぞ?それをこんな片田舎の祭りで出して。ニワ不足間違いなしだ!!」


いつの間にレナトゥス様はいらしたのだ?

いつもの事だがドキッとする。


「ふふふ。レナトゥスがそう言うだろうと予測済みだ!!俺の家の近くに大量のニワを飼ってるんだから!!

それに巨大牛だって『コレン』食べたら、何か増殖してたし。あ、サトも栽培しておいたから!!」


絶句された…珍しい。唯一のカズキ様ストッパーだったのに。

でも、有り難い。商売が出来れば…。


「カズキ様。良い方法があります。

我々の使っている商売人が売れば大丈夫です。その者でしたら、いつもネスカ村産とバレずに捌いておりますから。」



祭りの当日。

カズキ様が現れたのに全く気づかなかった。

『気配殺し』とまで言われた目眩しの魔法が掛けられている。使い手がいたとは。


これならば大丈夫だ。

息子達にも同じ魔法をかけたのは、恐らくアルクトス様。しかし…。


「アルクトス!!変装してるのは、俺たちだけじゃん!!アルクトスの謎の美貌はしまっときなよ。」「しかしこの魔法は己には掛けられ…あら?」


結果。カズキ様と息子達。そして幼な子に変装したアルクトス様で隣町へと向かった。

この隙に…。

レナトゥス様の気配もヒー様の気配もない。

珍しいこの瞬間に動くしかない。



「アンナ。行くぞ。」

妻に声を掛けて村の中心部へ。

村長が既に扉の前にいた。


「良くやった、ヤラン。やっと監視の目が緩んだ。解除せよ。」


このネスカ村の本当の姿。

扉の中にあるのだ。


『真・明・発!!』


約束の言葉を唱えるのは我が家の役割。

ゆっくりと久しぶりに扉が開き始めたその時。



「ほう、これがこの村の秘密か。」


その時の驚きで俺が無事だったのは奇跡だ。それほど驚いた。


何故?気配は全く感じなかったのに。


「「「レナトゥス様」」」


三人の声が重なった…。




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