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運命を変える出会い?!


温泉地の主となり始めたカエルの群れ。だけなら良かったけど。ヒー…何を連れて来たんだ?!


「お役に立とうと思いまして、てし…ゴホン。我が家の側にいるモノを連れて参りました!!」


てし…?

うーん。家の側にコレがいたら、俺なら恐怖心で住めないかも。


「牛…だよね?しかも本当は牛とか言えない巨大さだけど一応、牛の仲間かな?白黒感がね…。

あ、ヒーちゃんってば、もしかして前に言った『牛乳が欲しい』を聞いて俺の為に…だとしたら…」「そうです!!さすがはご主人様!!此奴らは大量の乳を出します故」


あれ?牛の顔色とかよく分かんないけど青ざめてない?ヒーちゃんてば、そんなにバシバシ叩くのやめた方がいいよ?ドンドン顔色が悪化してるし。


「と、とにかくありがとう。牧草はここいらの草で大丈夫?」


「不味そうな草とか勘弁だな。俺たちはグルメなんだ。こんなチンケな草で…あ。。」


やっぱり『牛』も喋ったけど(もう慣れたけど。この世界は何でも喋るんだな…)。

でも文句が聞こえた気がしたけどヒーちゃんが近づいた途端に聞こえなくなったような…あれ?眠くなったのかな。

地べたに寝転がったけど。


背中を向けて立つヒーちゃんが「コレに懲りて黙ってやるべき事をやれよ、お前ら!!でなりければ…

。。。

あ、ご主人様もう大丈夫です!!」


モゴモゴ言うから最初に何て言ったか聞こえなかったのに何か誤魔化された?


「主人よ。羊毛とやらは倉庫にしまっておくと良い。」


レナトゥスがまた変な事を言い出したぞ?倉庫…なんてあったっけ?


「必要なモノの建築はアルクトスの指示で次々と建設中だと知らんのか?とにかく倉庫1に仕舞うぞ。」


昨日から何故か人型になったままのレナトゥスが指差す方を見れば。


また出た。やり過ぎアルクトス。

アレは赤煉瓦倉庫街の出現なのかな。倉庫に『1』とか番号がついた訳が分かった。

だって、ずらっと並んだ建物の区別がいるよな。コレ…。


赤煉瓦倉庫へと足を踏み出したその時。

微かに声がする。気がする。。

アレはたぶん泣き声だ。それも小さな子供の泣き声で…。


ん?

また転移装置作動したのか?外だぞ、ココ…。

とにかく、見慣れない場所に出たぞ。レナトゥスも居ないのに何で転移した??混乱中の俺の耳に言い争う声が届いた。




「お兄ちゃんが悪いんだよ。こんな魔の森へ行こうなんて言うから!!」


「お前だって、お父さんとお母さんの為に行きたいって言ったじゃないか!!それにどうしても手に入れなきゃ…」


「う、うっわーーーん。。」

「泣くなよ…お兄ちゃんだって泣きたいのにズルいよ。」


泣き声のする方へ進むと小学生と幼稚園生くらいの兄弟がベソをかいたまま、こちらを見て固まってた。

あれ?泣いてた気がするのに、何で今は震えてるんだ?


「お前、魔物だな。お母さんが言ってたんだ。この森に住むのは全部悪い魔物だって!!」



俺がまさかの魔物とは…マジか。。と動揺する間もなく。


ちびっこい方が威勢よく叫ぶから危険と思ったかのか、兄が立ちはだかって「弟に悪い事したら許さないから!!って。

お兄ちゃんカッコいいじゃん!!


しかし、さっきまで喧嘩してたのに敵(たぶん俺?!)を目の前に弟を庇い合うなんて良いお兄ちゃんだ。でも膝小僧から血が出てる。


「俺も一緒だよ、この森で迷ったんだよ。

俺の名は一輝だよ、君たちも迷子かい?」


「お前、大人の癖に迷子とか言って恥ずかしい奴だな。でも、迷子なら一緒にいてやっても良いぞ!!」


ホッとした顔で弟が側に近づくのを兄が必死に止めていた。まだ警戒中なのはさすがお兄ちゃん!!


「そうだ。ほらコレ…。お腹空いてるだろ?」


最近の俺の中で絶賛流行中の『コレン』だよな。コレしかない!!

ほら桃と林檎が合わさったフルーツだよ。めっちゃ気に入った俺はレナトゥスに常備して貰って今やポケットに常に2個入れてあるのだ。


それを二人に差し出せば…うぉ!俺の手まで食べないでよ。やっぱりお腹空いてたんだな。無我夢中で食べてるし。、

あれ?膝小僧の怪我がいつの間にか治ってるなぁ。

『コレン』は漢方薬なの?


「おじさんありがとう。俺の名前はクザン、弟はルーナスだよ。」口の周りを拭いながらお兄ちゃんが答えた。


しかし、美味しいモノはやっぱり万能だな。すっかり気持ちがほぐれたところで詳しい事情を聞いたら。あっさり回答。


「僕たちの村はネスカ村って言うんだ。森の近くにあるんだよ。でも最近お父さんが変なこと言うから…」


「ん?どんな事かな?」


「村を出るしかないって。ゲンリヨウがないから作れないって。」


ゲンリヨウ?


「何を作るんだ?」


「そりゃもちろんザフだよ。お父さんの作るザフはとっても美味しいんだぁ!!」


ザフ??

うーん…。通訳が欲しいよ。こんな時レナトゥスが居てくれたら「呼んだか?」

「レナトゥス?!」


背後にピッタリ出現するの、やめてくれよ。ドッキリじゃないんだからさ!!


「主人よ。この子らは何だ?何処から連れて来てんだ?」


あ、懐いたと思ったらまた睨まれた。レナトゥスが突然現れるから。


「今友達になったんだよ、ね?クザンとルーナス兄弟だよ。ザフのゲンリヨウを探しているんだって。」


「ザフだと。ならば主人の言う牛の乳から作る菓子だな。」


ザフ万歳!!!

巨大牛いても、ソレを乳製品に変えてくれなきゃ使えないって困ってたんだ。なんてラッキー!!


「クザン、ルーナス。お父さんに紹介して下さい!!」


あ、色々説明すっ飛ばした。ダメだ…余計に二人の警戒感が増してるよ。


「クザンとやら。コレを見よ。」


「わっ!!コレ本物なの?」


「当然じゃ。だいたいコレを偽造出来るモノなどこの世界におらんわ。」


木札。そんなモノ偽造し放題な気がするけど…この際黙っておこう!!とにかく…。

ネスカ村へ行かなきゃ!!


「とにかくだ。二人を送っていくか。主人は家にかえ…る気はないな。では行くぞ。」

そう言うと二人を抱き抱えて転移した。もちろん、咄嗟にレナトゥスを掴んだ俺も一緒にね。



この時はこの出会いが俺の運命を大きく動かすなんて思ってもいなかったんだ。


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