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灰色の瞳を輝かせ片方の眉をあげて面白そうに話を聞くレックスは、全て聞き終えると、眉間に皺を寄せた。
「ほほう、オブリーがねえ。
あやつは昔から完全に自分が勝てる切り札を持たない限り手を出さないやつでしたし、万が一なにか失敗をすれば、自分に被害がこないように抜け目なく他の人間に責任を被せるようなやつで。
一番警察官や軍人に向かない人間でしたからな。
その今回の件、動きがおかしいですね。
やつがいきなり目上の公爵家にそのような名目で訪問するということは何か掴んでいるとしか思えないのは馬鹿でも分かりますね」
オブリーは軍部に居た時、一緒に行動したくない人間の三本の指に上がるほど内部で嫌われていた存在だったそうだ。
そして、大尉まで昇進したものの、オブリーは彼の妻の家族の警察省上官に引き抜かれ今に至るとレックスは軍の内部から聞いた話を教えてくれた。
「やっぱりレックスもオブリーがあやしいと思うよね。
レックス、あなたの人脈を使って彼がどこでその情報を突き止めたか調べられるかしら?」
「それぐらいでしたら容易いことです。
すぐ調べさせましょう」
彼は早馬を使って、軍の知り合いに連絡を取ると約束してくれた。
そうなればおそらく数時間以内で何か掴めるだろう。軍の情報部は、警察庁の情報を大半は掴んでいるのだから。
「後、今夜はこの二人が滞在することになったのだけど大丈夫かしら?」
「はい。
先ほどレニエ様からレッドフォード公爵様から私宛のお手紙にその旨は記載してありましたので、ご心配なく」
「ありがとう。助かるわ」
「もちろん、このレックス、ジュリアン様が滞在してもレナ様に不穏な噂が立つようなことは一切させませんのでご安心ください」
「おいおいおい、レックス」
「おいおいおいではございません。
レナ様にあなたの醜聞まみれの火の粉が飛んだりしたら、前代様に顔向けできませんからね」
レックスの言葉にそれ以上反論できず、ジュリアンは悔しそうに口を閉ざし、ハイトは横で苦笑いをした。
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