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異世界から帰りたいのに魔王が戦ってくれません

「いよいよか......」


重厚な扉を前に俺は瞼を閉じる。

思い返せば、ここまでたどり着くのは苦難の連続であった。


右も左もわからぬまま放り出されたこの異世界。

謎めいた白い人から渡された一振りの剣とわずかばかりの手がかりを便りに、俺は元の世界へと戻る方法を探し続けてきた。


西に転生者がいるとの噂を聞けば手土産を持って足を運び、東に異界渡りのゲートがあると聞き付ければ秘境の奥に隠されたダンジョンへと突入する。そんな日々の繰り返しですっかり肌は日に焼け、肉体もたくましくなった。


ふと胸にかけたロケットに手をやる。その中にあるのは、最愛の妻と子の写真。

もう、その顔に手が届くまであとほんのわずかだ。


「さぁ、いつまでも感慨に更けてないでそろそろいきませんこと?」


 長い耳をピクピクと動かしながら、シエルが俺の顔を覗き込んでくる。

 この異世界で最初に出会った彼女でなければ、たちまち俺は魔物たちに殺されていたであろう。

 長い旅路のなかでも、最強と称される魔法に何度助けられたことか。俺は黙って頷き返す。


「ここでじっとしてても何にもならねぇ。さぁ大将、とっと終わらせてとっとと戻りやがれ!」

 

 大剣を肩にかついだガイムもまた、いつものように飄々と声をかけてくる。

 そう、この戦いが終われば俺はその場でもとの世界に戻れるのだ。

 しかしそれは、この長い旅路を共に過ごしてきた仲間立ちと別れの時を迎えるということ。

 常に背中を預けてきた戦友の言葉に、不覚にも俺は胸をつまらせてしまった。


「オットー、ナクノハマダハヤイデース。エンディングマデナクンジャナイノデース」


 ......どこかで聞いたような言葉に、今にも溢れだしそうな涙がすっと引いていく。

 うん、ルーフ、そういうところだぞ。

 どうにもつかみどころがない謎な奴だが、幾度となくこのチームの危機を救ってくれたのもまた事実。まぁ、今の言葉もわざとだと思っておこう。


 それに、ルーフの言う通り、確かに泣いてる場合じゃないな。俺たちの戦いはこれからなんだから。


 ......なんかフラグっぽっくなったがまあいい。 

 俺はもう一度目を閉じると、ふっと短く息をはく。

 そして、左右に控えた仲間たちにこくりと頷いた。


 さぁ、いよいよラスボスのお出ましだ。

 俺は眼前の扉に手を当て、力を込めてぐっと押し開いた。




◇◇◇◇◇




「なぁ大将、こんなんでいいんかよ......」


 右隣のガイムがひそひそと声をかけてくる。


「そうよ、最初の威勢はどこいったのよ?」


 反対側からはシエルの冷めた視線。


「タイショーサン、ダカラワタシイイマシター。ソンナソウビデダイジョウブカトー」


 いや、ルーフ。お前そんなこと一言もいってないぞ。あと、微妙に古いネタはだいぶ風化してるからやめとけ。


 しかし、今は突っ込む気力もない。

 正直、魔王の力は俺たちの予想をはるかに越えていた。


 魔王と対峙した次の瞬間には一瞬にして武装解除。正直何が起こってるのかすら理解ができなかった。


 そして笑顔の奥からにじみ出る有無を言わせない圧力。無理に逆らえば無慈悲な結末が待っているのは間違いないであろう。


 俺たちにできることは、黙って魔王の言葉に従うのみ。こうして立派なダイニングテーブルを前にじっと座っているのも、それが理由である。


「しかし、こうしてみるとすごい部屋よねぇ。王宮の食卓でもこんなにゴージャスではないんじゃないかしら?」


 いい加減じっとしているのに飽きてきたのか、シエルがぐるりと部屋を見渡しながら呟いた。


 確かにこの魔王の部屋は驚くことだらけだ。


 床には一歩踏み入れただけで贅を尽くしたと分かるふかふかの絨毯が一面に敷き詰められており、天井から吊るされた荘厳なシャンデリアからは部屋中にきらめきが放たれている。


 壁には数々の素晴らしい絵画。俺には価値がよくわからないが、審美眼に優れたルーフ曰く「サゾカシオタカイノデショー」というレベルらしい。


 そして部屋の中央には真っ白なクロスがかけられたダイニングテーブル。金でできたと思われる中央の燭台には細やかな細工が施され、いっそう明るく輝いていた。


 まるで王宮の食卓を思わせるような荘厳な部屋。その豪華さは魔王にふさわしいと言えるものの、なんとなくひっかかるものがある。


 ほら、ラスボスの部屋ってこういうダイニングみたいなのじゃなくて、もっとこう謁見の間みたいな感じだと思うじゃん?


 両側に松明だか魔法のライトだかがいっぱい並んでてさ、一番奥にいくと数段高いところに玉座があってさ、上からこう見下ろす感じで魔王が現れてってのを期待しない?


「どうした大将? さっきから誰にしゃべってるんだ?」


 あ、悪い悪い。独り言だから気にしないでくれ。


 まぁ、とにかく、この部屋はラスボスと戦うにはちょっとばかし似つかわしくないというのも正直なところだ。


 それにもう一つ、俺を驚かせたものがある。


 それは魔王が女性だったということ。


深紅の髪に吸い込まれるような深い翠色の瞳。肌は透き通るように白く、そして抜群のプロモーション。まさに絶世の美女という言葉にふさわしい。


 しかしそんな麗しき魔王の言葉遣いときたら......おっと、噂をすれば影。魔王のやつが戻ってきやがった。


「どえりゃあ待たせてまって悪かったなも。よーやっとまわしできたもんで順番こで持ってきゃーすわ。みんなでもーやーこしたってちょーせー」


 これだ。非常に癖のある訛り。しかもあまり萌える感じがなく、どことなくオバサンくささを覚えるのも無理はなかろう。


 とはいえ、どうにも逆らえない以上コミュニケーションをとっていくしかない。ルーフが彼女の言葉を同時通訳していく。


「マオーサンハ『すごく待たせて申し訳なかった。ようやく準備できたから順番に持ってくる。みなさんでシェアしてください』トイッテマース」


 ……ルーフが通訳の時だけ普通にしゃべれるのを気にしている場合ではない。

 今は彼女の機嫌を損なわないよう精一杯勤めるだけだ。


「魔王よ、いったい俺たちをどうするつもりなんだ?」


「どーもせーへんって。こんな遠くまでいらっせたんなら、まーまーしっかりサービスしたらんとと思っとるだけだわさ。まぁ、とりあえず先に乾杯しよみゃー。これ回したってちょー」


 魔王の言葉に逆らうすべはない。俺たちは魔王から渡された赤黒い液体が注がれた小さなグラスを順に回していく。

 

 一見すると濃厚な(フルボディの)赤ワインのようにも思える。しかし、鈍く濁った液体には、ルビーの輝きにも形容される美しさはどこにも感じられない。端的に言えば......これ、本当に飲めるのか?


 しかし、俺の心配をよそに魔王はウキウキと声を弾ませる。


「そしたら、始めようかしゃんね。.遠路はるばるようこそおいでくださったなも。たーんと、たべてってー。はい、かんぱーい!」


「「「「か、かんぱーい」」」」


 屈託のない笑顔を見せつつも、全身から拒否不可能なオーラを放つ魔王の言葉。

 俺たちは口許をひきつらせながら杯を掲げた。


 そして互いに目で牽制する。

 そう、誰が一番最初にこの謎の液体を口にするかということを。


(そりゃ大将だろ?)

(だよね、決定でいいんじゃない?)

(デスネー、モシコレガワナデ、ワタシガサキニタオレタラ、ミナサンタイショデキナクナリマース)


 さすがここまで辛苦を共にしてきた者同士、阿吽の呼吸とはまさにこのことである。はぁ……。


 こうなれば覚悟を決めるしかない。俺はふぅと息をつくと一気に杯を傾けた。


「……!? ゲホッ、な、なんだこれ……」


 濃厚といえば聞こえが良いが、ドロリとしたその液体は飲み下すだけでも一苦労。酒精の風味や果物由来と思われる酸味で抑えられてはいるものの、金属を思わせるような味と香りが口じゅうに広がっていた。


 そう、端的に言えば「血生臭い」のだ。


 何とか飲み込んだものの、決して気分は良くない。やれやれ、俺はこんなものを飲まされるために苦労を重ねてきたというのか……。

 しかし、その落ち込みは長くは続かなかった。俺の胃の腑あたりが徐々に熱くなり、やがてその熱が全身に伝わってくるではないか!


 疲労がたまっていた体に、エネルギーが満ちていくのを感じる。こ、これは……!?


 その様子を察したのか、ガイムがけげんな表情で声をかけてきた。


「おい、大将? 大丈夫か?」


「ああ、問題ない。少なくとも毒の類ではない。味的にはまぁアレだが、とにかく一気に飲み下すといい。驚くぜ?」


「ホントに? ガイム、次はあんただからね?」


「ちっ、こういうときだけ調子のよいこって。まぁ次は俺がいくか……ぬわ? ぬわーーーっ!!」


 ガイムがグラスの中身を飲み干すと筋肉ボディがいっそうパンプアップ。血管がみるみる浮かび上がり、ドクドクと波打っているが見て取れる。文字通り「血沸き肉躍って」いるようだ。


「すっごいわね……じゃあ私たちも頂く?」


「ちょっと鼻血噴きそうなぐらいすげえぞ。シエル、ルーフ、お前らもいっとけいっとけ」


 ガイムの言葉に、残る二人も杯に口をつける。ねぇ、(リーダー)の言うことは聞かずにガイムのいうことは聞くわけ? ねえってば?


 シエルとルーフも最初こそ顔をしかめていたが、体の奥底からエネルギーが沸き立ってくるのを感じると、一様に驚きの表情へと変わっていった。

 すると、その様子を見た魔王が満足そうに頷く。


「さっきまでどえりゃあえらそうだったけど、その分だとよー効いとらっせたみてぇゃだなも。体がちんちんになってまうんだわねぇ」


「か、体がちんちん!? なんつー破廉恥な……」


「ソレ、ゴカイデース。マオーサンハ『体が熱くなってくでしょ?』トイッテルダケデース」


 うん、そんなことだろうと思った。でもね、一般的名称として捉えると聞くだけでも恥ずかしい言葉ってあるんだぜ?


 気を取り直して俺は魔王に尋ねる。


「いったい何を飲ませたんだ? 確かに疲れがぶっとぶぐらい強烈なものだったし、少なくとも毒ではなさそうだったが……この効き目、相当やばいもんじゃないんか?」


「ちゃんーと採れたての新鮮なのを使っとるで、大丈夫だで。さて、今日はフルコースだもんで、しっかり食べてってよー」


 俺たちの質問にははっきりと答えず、魔王が満面の笑みを見せる。

 一瞬質問を重ねようとしたものの、笑顔の奥からにじみ出る迫力に押し黙る他はなかった。

 

 ほどなくして出てきたのは、一枚の皿。薄切りにされた二種類の肉がまるで花のように並べられている。一つは濃い紅色、もう一つは白い筋が網目状に入った薄紅色のものだ。

 肉の上にはつややかなオイルが輝き、赤・白・緑・黒といった小さな粒がちりばめられている。


「さて、前菜はカルパッチョだがね。ほほ肉と尻尾の付け根のところを薄く削いだんだわ。味はついとるもんでそのまま食べたってちょーせー」


「えっ!? 生のまま食べろって!?」


 驚きの声を上げたのはシエル。

 魚ぐらいなら生でも食べることはあるが、これはどう見ても肉。

 それを生で食べろだなんて野蛮にもほどがあるというものだ。


「とれたてぴちぴちのをちゃんと手際よく処理したるもんで、心配せんでも大丈夫だで。ほらほら、だまされたと思って食べてみゃー」


「で、でも……」


 なおも反論しようとするシエルを俺が手で制する。

 シエルは涙目で見つめてくるが、俺にはどうすることもできない。

 今この場において、魔王に逆らうことなどできやしないのだから。


 とはいえ生肉である。ついつい逡巡してしまうのも無理からぬことであろう。

 静けさに包まれたテーブルには、何とも言えない緊張感が漂っている。

 

 しかし、その静寂は長く続かなかった。ルーフが突如大声を上げたのだ。


「オオー!? コレハシンショッカンデスー! ナメラカデイテシツコクナク、マッタリトシタオイシサデース!」


 ルーフはものおじをせず次々と生肉を運び、そして一口食べるたびに絶賛の声を上げる。


「でしょー? ほらほら、ほかの人もいつまでも睨んどらんとー」


「トッテモオイシイデスヨー、タベナイトゼッタイソンデスー」


 どうにも胡散臭く聞こえるルーフの言葉だが、ここは信じるしかない。


 俺は意を決して皿の上の生肉を一枚フォークで刺し、そして口に運んだ。


「……う、うめぇ!」


 口からこぼれだしたのは感嘆。衝撃的な体験に、俺は目をぐっと見張る。


 最初に食べた赤身の肉。まるで極上のビロードを口の中に広げたようなきめ細やかな舌触りだ。それを噛み締めるとぎゅっぎゅっと強い繊維が感じられ、そのたびに旨みが広がっていく。まぶされたオイルやスパイスとも実によくマッチしている。


 そして驚くべきは生臭さが一切ないということ。生肉というのは得てして鉄のような血生臭さを感じるものだが、この肉からはそのような嫌な部分を一切感じることがない。

 ただひたすらに、旨いのだ。


 こうなるともうフォークが止まらない。食欲を刺激された俺は次々と肉を法ばって言った。薄紅色の肉はとろけるような滑らかさ。筋だと思った部分は脂身であり、舌の上に載せるだけで口の中でほどけ、甘い脂身のおいしさがひろがっていく。それでいて肉の旨みはしっかりと感じられる。まさに極上の一品だ。


 のんきに食を楽しんでいる場合ではないとは頭で理解しているが、この一皿を前に俺は抗うことができない。くそっ、これもまた魔王の力なのか……!?


「どえらけにゃあうみゃーっしょー? 赤い方がほっぺたでー、ピンクのサシが入っとる方が尻尾のつけねんとこ。どっちも一頭のドラゴンからちょびっとしかとれーせん、貴重なとこなんだでー」


 そうか、赤い方は頬肉、もうひとつは尾のつけねなのか。確かによく動く部位は旨いって言うし......。

 ってちょっとまて!!


「ドラゴン......だと......!?」


「あ、もうちょっと内緒にしとくつもりだったのに。失敗失敗。こないだ野良ドラゴンが歩いとったもんで、ちょっと一狩りしとったんだわ」


 えーっと、ドラゴンだよね? もし怒らせたら一吠えで国を壊滅させるというドラゴンだよね?

 その辺の鳥や動物を狩るみたいに言ってるけど、あのドラゴンだよね?

 魔王の言葉に思考がついていけず、思わず呆然となってしまう。

 辛うじて左右を見ると、仲間たちも完全に手が止まっていた。そりゃそうだよね。


「だけんど、さすがに一人ではよー食いきらんもんでどうしたろうかしゃんと思っとったんよ。ほんだらちょうどいいところにあんたらが来てくれたもんで、だったらもーやーこしよみゃーって」


 なるほど、自分一人では食べきれないから自分たちにも分けたってことか。うん、何をいってるのかよくわからない。


 そこで俺ははたと気づいた。最初のドリンク、あれはまさか......。


「あのー、魔王さん、一つだけご質問させていただいてもよろしいでしょうか?」


「そんなにかしこまらんでもええって。んで、どしたん?」


「さっきの食前酒っぽい飲み物、あれってもしかして......」


「あ、あれドラゴンの生き血ー。ワインで割ったもんで、飲みやすくなっとったっしょー?」


 うーん、俺の体、大丈夫かな......。




◇◇◇◇◇




 数時間後、俺たちは4人揃って魔王の城を後にしていた。

 その手には、魔王から渡されたお土産入りの袋。ずっしりと重量感のあるそれを持ちながら、街へ向けて歩いていく。


 行きとは異なる、どこか浮わついた足取り。

 ふーっと大きく息をついてから口を開いたのはガイムだ。


「しっかし旨かったなー。あのタツタアゲとかいうやつ、パリパリの衣に包まれた肉にはしっかり噛みごたえがあるし、それでいて中からはジューシーな肉汁が溢れてきやがった。俺もいろんなもん食ってきたが、あんな旨いもんは初めてだったぜ......」


「私はコンソメとかいってたスープね。なにあの旨味の濃さ! 脂っこさは一切ない、純粋なエキスの部分だけがぎゅっとつまってるの! 控えめに言って最の高っていうのはああいうのをいうのかしらねー」


「おいおい、ガイムもシエルもいい加減にしとけ。結局俺たちは魔王と戦うことすらできず、うっかりおもてなしされて帰るとこなんだぜ? ちょっとぐらいがっくりしてもバチは当たらんのじゃねーのか?」


「何言ってんだ大将、あんたが一番感動してたじゃねーか」


「そうそう、メインで出てきたテールの煮込み、それをうめぇ、うめぇって涙流しながらむさぼってたじゃない」


「ソノエイゾウガコチラデース」


 おいやめろ。てか、何映像とってんだよ。魔法の無駄遣いにもほどがあるだろうが!


 また、確かにあの煮込みは旨かった。じっくりと煮込まれたテールはトロットロ。舌に吸い付くようなあの食感は、なんとも官能的だった。

 それに旨味がこれでもかという具合に凝縮された濃厚なデミグラスソース。いったいどれだけ煮込めばあの味が生まれるのか見当もつかない。

 そういえば、魔王は「ミソがミソがね」とか訳のわからんこと言ってたな。そうなると魔王にしかてに入らない特殊な何かを使わなきゃいけねえってことか。くそっ、もう二度とアレを食えねえってのか!


「タイショー、ワライナガラオコッテマース。キモチワルイデース」


「うるせえルーフ! 俺は怒ってるんだよ! ふがいない自分にな!」


 そう、俺たちは完敗ですらない。魔王にいいようにあしらわれ、戦うことすら叶わなかったのだ。


「まぁ、戦いを挑んでたとしても一瞬だったろうがな。まぁ、今回は敵がどんなやつかをわかっただけで十分と考えよう。旨いもんも食えたわけだし」


「命あっての物種だしね。もう一度挑むチャンスができたと思わなきゃ。またスープ飲めるかなぁ」


 ガイムとシエルが慰めの言葉をかけてくれる。てかおまえら、完全にメシの虜になってるだけやろ?


 でも、あのテールの煮込みが食べられるなら......っといかんいかん。俺まで魔王の術中にはまってどうすんだ。

 必死に頭を振るい、邪念を吹き飛ばす。そう、俺はアイツを倒して元の世界に戻らなきゃならねえんだ。


 すると、ルーフが俺の肩にポンと手をやり、声をかけてきた。


「タイショー、イキッテモシカタガナイデース」


「ん? 何が仕方ないんだ?」


「ダッテワタシタチ、マンマトイッパイクワサレタンデスカラー」


おあとがよろしいようで

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― 新着の感想 ―
[一言] 伊勢界から帰りたいのに(ォィ
[一言] 勇者の武器はダガーだがー まさかの名古屋弁魔王
2019/05/24 17:51 退会済み
管理
[良い点] 帰還方法について相談してみたら良かったんじゃね、と言うねw
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