The black blood of fate
もしも…すべてがなら狂ったら…
どこかもわからない暗い部屋の中
音が聞こえず、視界も遮られ、時間の感覚なんて当の前に無くなっていた
一秒がとても長く感じて気がおかしくなりそうなタイミングで扉が開いた音がした。
「美和?起きてる?」
今一番会いたくない人、私が好きだった人、口など一切聞きたくなかったから無視をした。
それでも確認するようにベットの壁際に横になっていた私の肩をとつかむと自分の方へと振り向かせた。
「あぁ、起きてるね。お腹すいたでしょ?ほらご飯」
「いらない」
そういうと優しく言っていた白夜君の表情が一変し、ベットが軋んだと思った瞬間
次には目の前に白夜君の赤目が近くに見えた。
「なんで?ここに来てから全然食べてないじゃん。
流石にお腹空いて無いなんて事ないでしょ?ねぇ、美和。こっち見て?」
抑えられた手首は無意識に入れてるであろう彼の力で悲鳴を上げていた
だけど痛みはあまり感じない
身体の至る所にあるであろう痣がそれを気にさせようとはしてくれない。
またやってしまった、彼を怒らせてしまった。
上手く誤魔化さなければと思い、話を入れ替えることにした。
「お風呂…」
「ん?なに?」
さっきまでの鋭い目が嘘のように消え、私の声を聞こうとしている。
今回は正解だったみたいで内心安堵すると今度ははっきりと伝えた。
「ご飯より…お風呂入りたい。身体…気持ち悪くて…」
別に全て嘘ではない。痣以外の所々の傷は血で汚れていてとても清潔とは言い難い。
「あぁ、ごめんね。気づかなくって、じゃあ準備してくるから待ってて」
そういうととても久しぶりに本当に優しく微笑んだ。
私は彼のその笑顔が大好きだった。
それがどうして…こうなってしまったのだろう。
あの時からすべて変わってしまった。
『美和、俺お前が・・・』
どうして気が付けなかったのだろう…
白夜君はあの時何を思ったのだろう…
自分の友人に私を盗られると本気で思ったのだろうか…
私は親友だと思っていた友人に初めてその想いを告げられた。
言われるまでそんなの気づくわけがなかった。
だから二人で遊ぶことも頻度よくあった…
白夜君も自分の友人でもあったその人をとても信頼していた。
そのせいだったのか…
私は当たり前の如くその想いを拒むつもりだった
きっと相手もそれをわかりきっていた。
私が断ろうとした瞬間。さっきまであった友人の頭はそこにはなかった。
あったのは血まみれになり、脊髄反射でビクンビクンと痙攣する友人だったものと…
その背後に立って友人のものであろう血で真っ赤に染まった
大好きだった人の狂気に染まった笑顔だった。
気づけば今の状況下。私は見知らぬベットの上に寝かせられていた。
両腕両足四方のベットの足に縛り付けられ身動きできない状態で…
「美和、準備できたよ。入ろうか?」
戻ってきた白夜君はそういうと少し警戒するように縄をほどきだした。
私には前科がある。
何度か彼を騙して逃げ出そうとした、その結果この体中の傷だ。
もう逃げることは諦めていた。
暗黙のルールにさえ従っていたら、彼はよく私を気遣ってくれた。
なにも変わっていないと…普通の恋人のように…
「っ・・・」
「大丈夫?痛む?ゆっくりでいいから」
彼が付けたものだと忘れてしまいそうなくらい優しく怪我を気遣ってくれる
この時だけは…幸せだと感じてしまう。
私がいけなかったのだから、甘んじてこの罰を受け入れなければ。
友人が死んでしまったのも
誰より優しかった彼がここまで壊れたのも…
あの時もっと早く断っていたら、友人を庇えていたら、それ以前に気づいて距離を置けていたら…
もう戻れない後悔ばかりが常に思考を奪って行った。
「…わ……美和!!」
「っ!」
「どうしたの?・・・まだ、考えてるの?」
狭い湯船に二人、抱きしめるような体制で声をかけていた彼に気づかなかった。
自分の性格が災いしてしまったこと・・・
また怒らせてしまったかと身構えていると優しい声とともに火照った身体に包み込まれた
「美和は、何も悪くないんだよ。俺が悪かったんだ。
大丈夫、これからは、俺の隣にずっといればいい…それだけしてくれたら、何も考えなくていいよ」
考えるな。捨てろ。そういわれてる気がした。
外の世界は私には必要ないとも言われてる気がした…。
「うん・・・ごめんね。白夜君」
そう言い、返すようにゆっくり抱きしめ返した。
ここまで、外を恋い焦がれた瞬間はないと思ったけれど、
同時に私は一生この人から逃げられないと悟った瞬間だった。
リアルで夢に出てきて、正直こんなことありえないし、
あって欲しくないので、夢は話してしまえば現実にならないという事に願って
ネタにしてしまいました。
リアル友人と白夜君ごめんなさいww