ここどこですか!?
ある意味プロローグ
ふと意識を取り戻すとそこには光があった。あれだよ手術室にある患者を照らす無駄に多い照明。眩しいぐらいに光っていた。でもおかしいなと俺は思った。
これが見えるってことは絶賛手術中なのに意識戻るなんて。どこからか音が鳴っている。かなり激しい音だ。あまり回らない頭で周りを見ると人が慌ただしく動いていた。
手や足を動かそうと思ったがピクリとも動かない。どうやらそっちは麻酔がしっかりかかっているようだ。俺は入ったきた扉の方に視線をやった。ちゃんと見れたかは知らない。よくドラマで手術室の前で家族とかがいると思うが、俺の場合が母さんがいるだろう。
病弱になった俺を一番心配にしてくれた母さんだった。当然といえば終わりだが、唯一の家族が苦しそうなのを見てられなかっただろう。そんな母さんに俺は感謝しかないとこんな状況で強く思った。
意識が薄れていくと実感する。さっきまで聞こえていた音が聞こえなくなっていく。麻酔がかかっている感覚があった手足が感じなくなる。だからといって麻酔によるものではないと感覚的に確信した。この状況にある結論に至ったが信じたくないし実感もない。でも思わなければいけない。
俺がこれから死ぬんだと・・・
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なにかが揺れた感じがした。先ほどまでの瞼の奥にまで来た光がまるで感じなかった。それだけじゃない全身にかかっていた麻酔の感覚がまるでなかった。恐る恐る目をかけるとそこには無駄に多い照明なんてなかった。星が輝いて曇りのない夜空だった。夜空がきれいだと思う気持ちを隅に追いやり、次は体を置き上がらせた。すんなりと起き上がって周りを見回す。見回す限り小波立っている海だった。