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冤罪は最低だと思う(byヨシマサ)

「あん? その娘はどうしたのじゃ、ヨシマサ。とうとうセクハラで捕まったか? 前々からいつかやると思っておったが、遂に堪えきれなくなってしまったのじゃな」(←優しい視線)


「違わい!? モンスターから助けてもらったついでに送ってもらっただけだ!」


 帰還一番、寝ぼけまなこでとんでもないことを言うセシリアにガチ否定を入れる。(ちなみにこいつ、俺がいないことにも気づかず、ずっと眠りこけていやがった。パートナーの一大事に、何て薄情なやつだ……)


 マジやめてくれますかね、セシリアさん。

 隣のこの人、その手の冗談通じないんで。

 今の発言真に受けて、胡乱気な目で腰の剣に手を添えてるんで!


 よく見ろ!

 シェリルちゃんが放つ殺気で、俺の膝が超震えているじゃないか!

 かわいそうに。

 まるで生まれたての小鹿のようだぞ。

 ちびっちゃったらどうしてくれるんだ!

 

 第一セシリアよ、この状況を見てなぜ真っ先にその発想になる。

 俺のナンパが成功して、嫁一号が見つかったのかもしれないだろうが。

 てか、普通真っ先に出るのはそちらの発想だろう、常識的に!


「アッハッハ! ヨシマサよ、冗談は顔だけにせよ。お主のナンパが成功する確率など……うん! サマージャンボで3等が当たるくらいのものじゃろうが」


 微妙に期待が持てそうに感じられる、変にリアルな確立を持ち出さないでもらいたい。

 淡い期待を抱きつつもやっぱり無理だと思えてきて、地味に落ち込むから。

 と言いますかセシリアさんや、てめえなんでサマージャンボなんて知ってんだよ。


「ヨシマサ、なんでこの女の子をそんなにジッと見つめているの?」


 気が付けば、シェリルちゃんが疑い混じりの半眼で俺を見ていた。

 しまった。いつものクセで思考だけで会話をしてしまった。


「あ、いや、これは阿吽の呼吸によるアイコンタクトであって――」


「ぶっちゃけキモいよ。もしかしてヨシマサって……ロリコン?」


「違わい!」


 セシリアに続き、シェリルちゃ――もうシェリルでいいや。シェリルにも全力ツッコミを入れる。

 なんなんだ、こいつ。

 第二のセシリアか!


「ふーん。じゃあ、ショタコンなの?」


「なんでそうなる!?」


 なんなんだ、こいつ。

 地が出てきたのか、言葉のえげつなさが加速度的に増しているんだけど!

 言葉のキャッチボールが言葉のドッヂボール(しかも一方的)になりかけてんだけど!


 ていうか、ロリじゃなきゃショタって、何その二択。倒錯し過ぎだろ!

 俺、あなたの目にどんな風に映っているわけ?

 

「いや、子供が好きなのかな~、って思って」


「だったら普通にそう言えよ!? 何であえて危ない感じの言い方をする!」


「いや、好きの意味合いがLikeというよりは変質的なLoveに思えて……」


「それじゃあ救いようのない変態じゃないか! お前、一体俺を何だと思ってるんだ!!」


「へ? うーん……。変態奴隷商人? もしくは大穴狙いで童女誘拐犯!」


「どっちも人聞き悪いことこの上ねえ!?」


 この女、第二のセシリアどころじゃねえ。セシリア以上の天敵だ。

 しかも、セシリアと違って天然でやっているっぽい。超厄介!


 これ、もうさっさとお帰りいただこう。

 俺の精神の平穏のためにも、その方がいい。

 これ以上この娘といっしょにいると、俺、発狂しかねん。


「あ~、シェリルさん。俺もあんたのおかげで無事、にここまで辿り着けたわけでぇ~。 そろそろ――」


「お主、面白いな。わらわはセシリアじゃ。せっかくだから、一緒にメシでもどうかのう」


「ありがとう。あたしはシェリル。それじゃあ、お言葉に甘えてごちそうになろうかな」


「お帰りに――って、セ~シ~リ~ア~!!」


 俺、魂の叫び。

 余計なことしてんじゃねえよ、クソガキ。

 俺に恨みでもあんのか。


「おいおい、何を言っておるのじゃ。パートナーの命の恩人をもてなしもしないで帰したら、邪神の名が廃るじゃろうが」


 その嗜虐的な笑みで言われても、まったく説得力ねえよ!

 思いっきり舌なめずりしやがって。

 お前、シェリル使って俺をいじり倒す気満々だろう。

 

 と言うか、もてなしも何もお前料理しないじゃん!

 もてなすの、完全に俺の仕事じゃん!

 何が悲しゅうて自分の天敵をもてなさんといかんのじゃ!?


「ほほう。つまりお主は、気に入らんと言う理由だけで自分の命の恩人をここで追い返すというのか。ハンッ! 所詮お主はその程度の男と言うことかのう。やれやれ。普段から紳士だなんだとほざいておるくせに、器の小さな男じゃ」


「むっ!」


 小バカにするような薄ら笑いを浮かべ、セシリアが見下すように言う。


 ……ほう、そうくるか。

 そうか、そうか……。


 いいだろう。その挑戦、受けて立とうじゃないか。

 俺の器に大きさ、とくと見せてやる。

 こんな小娘、俺の手料理でイチコロにしてくれるわ!


 俺はシェリルをビシッと指差し、宣戦布告をした。


「待ってろ! すぐにてめえが見たこともないような激ウマ料理を出して、『参りました』って言わせてやる!!」


「へえ。ヨシマサって顔に似合わず料理得意なんだ。うん、楽しみにしてるね」


「……………………」


 悔しくない。悔しくないもん……。

 激ウマ料理でギャフンと言わせれば、俺の勝ちだもん。

 ファイトだ、ヨシマサ。

 お前はできる子。きっと勝てる!

 お前が作るコース料理の底力を見せてやれ!


「何だか見ていて憐れに思えるくらい健気じゃのう……」(←ハンカチで目元を押さえつつ)


「うるさい黙れ。お前はさっさとオープンキッチンを用意しろ!」


「おう! 任せるのじゃ!」


 セシリアに例の異次元収納空間から必要なものを揃えさせる。

 出てきたのは、大きな鉄板が特徴的なオープンキッチンだった。

 何でオープンキッチンなんてものが入っているのかは不思議だが、気にしたら負けだ。

 にしてもこいつ、食い物が関わると本当に協力的だな。


「おお、何この鉄板付きの台。どこから出したの? 魔法?」


 オープンキッチンを目にしたシェリルが、目を丸くして驚く。

 まあ、基本的にこの世界にあるようなものじゃないからな。

 この反応は当然のことと言えるだろう。


 だが!

 これくらいで驚いてもらっては困る。


 料理は食べるだけでなく、見て楽しむもの。

 俺の超絶テクの数々に酔いしれるがいい!

 そして、俺のことをちょっとは見直すのだ。アーハッハ! (←志、最低レベル)

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