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依頼の村へGO!!


「おお、ヨシマサさん。お待ちしてましたですじゃ」


「すまねえ、じいさん。ちょっと遅れちまった」


「なーに、遅れたと言っても五分くらい。お気になさらずとも結構」


 依頼を受けた二日後の朝、俺たちはじいさん&ナーシアさんと合流した。

 まあ、俺は一人約束の時間に遅刻しちまったけどな。


 というのも、昨日行っていた大道芸の千秋楽公演で一悶着あったわけでして……。

 

 大道芸の千秋楽公演は、うわさが広がったおかげで大盛況。

 過去一番の客の入りとなった。

 ただ、おかげで人が大渋滞。市場の交通を麻痺させてしまったのだ。なので、公演後に市場の管理組合に怒られたわけですよ。……それも、夜通しで。遅刻の理由はこれだ。


 とはいえ、稼ぎも当然過去一番で、何と一回の公演で堂々の800ゴルド越え。

 最後の最後にうれしいサプライズってもんだな。

 結局、ここでの一週間ちょいの公演で3000ゴルドくらい稼ぐことができた。

 日本円ならおよそ30万円。

 商売初挑戦の二人組が頑張ったにしては、でき過ぎなくらいよくできた方だろう。


 ……ただまあ、これだけやってあのロリコン貴族の提示した値段に及ばないってのは、なんか釈然としないものがあるけどな。

 やっぱりセシリアを説得して、お散歩してもらった方が良かったかもしれん。


 まあ、公演の後には「また戻って来いよ!」とか「次この国に来るのを楽しみにしているわね!」とか色々あったけえ声もかけてもらえたしな。

 存外、悪くもなかったって感じだろう。

 いや、むしろ人的にも恵まれ過ぎていたってぐらいだ。

 人の優しさ=プライスレスってな。


 ついでに、このチート能力をくれたセシリアにも改めて感謝だ。あいつが魔導書を用意してくれたおかげで、こうして稼ぎまくれたわけだしな。

 ……まあ、当人は相変わらず食ってばかりいたわけだが。

 これで体型が全く変わらないんだから、あいつの胃袋ってブラックホールにでもなっているんじゃないか? さすがは邪神。


 ともあれ、これにて一度ヴァン王国とはお別れだ。

 俺はセシリア、ナーシアさんとともに、最早慣れ親しんだ市場街を後にした。



* * *



「ええ、そうなんですよ~」


「ハハハ。ソレハスバラシイ」


 ヴァン王国を発って、およそ2時間。

 俺は助手席に座るナーシアさんとおしゃべりしながら、一路スコット村へ向かっていた。


 ちなみに、いつも助手席に座っているセシリアはどうしたかというと、今は後ろの図書館部分に引きこもっている。


 なんであのロリ邪神がそんなことをしているかというと、もちろん俺の恋路を応援しているというわけではない。


 あいつが引きこもっている理由、それは……。


「三年前、アルフレッド様が初めてヴァン王国を訪れた時は本当にお祭り騒ぎでして~。私も彼の御姿を一目見ようと、王宮前まで出かけました」


「ハハハ。ソレハスバラシイ」


 このナーシアさんの勇者トークだ。

 あいつ、勇者の名前を聞くだけでアナフィラキシーショックでも起こしたように取り乱すからな。

 今も後ろでクッション被ってガクガク震えているというわけだ。


「私が武術を始めようと思ったのも、アルフレッド様に憧れたからなんです。強くなれば、あの方といっしょに旅をすることができるのではないかと思い、腕を磨き始めたんです。」


「ハハハ。ソレハトテモヨイユメデスネ」


 なお、セシリア同様勇者アレルギーになりつつある俺も、そろそろ限界が近い。

 でも、俺しか車を運転できないので、何とか耐えている所存です。


「ありがとうございます。ただ、アルフレッド様の周りには強くて美しい方々がたくさんいらっしゃるんです。私ではまだ、あの方々の足元にも及ばなくて……。――でも私、今でもこの夢を諦めていないんです。いつか必ず、あの方のお傍へ行って見せます」


「アナタナラ、キットデキマスヨ」


「本当ですか。ヨシマサさんも、そう思いますか?」


「エエ。ワタシ、ウソツカナイ」


「うふふ。ありがとうございます。なんか私、勇気が湧いてきました!」


 超絶かわいい笑顔を見せてくれるナーシアさん。

 でも、騙されちゃいけない。

 だってこの笑顔、完全に俺のことアウトオブ眼中なんですもん!


 つうか!

 なんで車の助手席に美少女乗せてドライブって最高のシチュエーションで、延々と別の男の話を聞かせ続けられんといかんのじゃ!

 なんだよ、この微妙に質の悪い嫌がらせは!


 何か? これは勇者の呪いか?

 俺がネチネチストーカーやってやるとか思ったから、呪い返してきたってのか!


 ちくしょーっ!

 勇者てめえ、ぜってえ許さねえ!

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