商人のボス
あんなことがあってからでは、折角軽かった足取りも重い。重い荷物が更に重く感じてしまい、それでも行商当番のときよりは幾分楽だが気力がなくなる。
それでもなんとか僕のグループの区画へ着いた。
「こんにちは」
「……ああ」
まあ下っ端の僕への態度なんかこんなものだ。返事をしてくれるだけマシである。
僕のグループの露店はこの薄汚い道を挟んで右側に十、左側に八並んでいて、僕は右の六番目が今日の当番だ。
早速そこへ行き、色の悪い果物たちをまあ、一応種類別には分けて配置する。
僕から見て正面の骨董屋と、ここから二つ隣の魚屋は繁盛しているが、他はどうも微妙だ。
一応は露店だが、横三メートル、縦一メートルほどの長机に背もたれのない適当な椅子。屋根は日よけにしかならない布を、不安定な棒に括りつけているだけの何とも貧相な出で立ちだ。
それに、昨日は魚屋が僕のいる露店を使ったらしく生臭い。色が悪く生臭い、そんな果物を誰が食べるというのだろうか、僕は甚だ疑問だ。
とにかく椅子に腰掛けて息をつく。
このクルトス通りには、毎日このような市が開かれている。このクルトス通りの鳥瞰図を脳内に思い描く。
十字形で縦も横もおよそ一キロほど。この十字の中心に行けば行くほど、最早交差点にもなると、市の活気のつきようは半端ではない。
が、僕のグループの区画は西通りの端の方で、通りを抜ければ森があるという極めて恵まれていない場所なため、活気なんて交差点の5分の1もない。
このクルトス通りの周りには