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14 ダンピール

液体を飲んだ瞬間、全身を貪欲のグリード・ケルンのいかなる訓練よりも激しい灼熱の波が襲った。

それは、体内にある屍食鬼の不潔な血が、ヴァンパイアの血統によって、一瞬で上書きされ、焼き尽くされる感覚だった。

全身の細胞が、骨の芯まで、粉々に砕かれ、黄金の魔力で再構築されていく。


「グオおおおおおお!!!」


喉の奥から絞り出すような叫び声を上げたが、それはコノマの愉悦の笑い声に掻き消された。


「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふっ」


黒縁のメガネは、額の汗と熱で曇り、瞳の色が変わった。

それまでの濁った黄色の瞳ではなく、まるでアワリティアの瞳を映したかのような、冷たく澄んだ、鮮やかな深紅に染まった。

皮膚は白く優美になり、疲弊していた肉体は、飢餓感と共に研ぎ澄まされた力を帯びていく。


ダンピールへの覚醒。


激しい苦痛は、数分後、甘美な解放感へと変わった。

その場に跪きながら、新たな肉体の変化を感じていた。

頭脳は、以前よりも何倍も鋭利に思考し、流れる魔力は、熱い奔流となって全身を満たしていた。


「ふふふ。おめでとう、ダンピール」


コノマは、心底満足したように呟いた。


「俺の名前は翔だ。ん?声が出る!」


「そういえばずっと名前を聞いてなかったな。今までは無価値すぎて興味がなかった。翔か。お主は価値を手に入れた。さあ、この新たな力と優雅さを使い、次の価値を創造しろ」


静かに立ち上がった。

体内に満ちた新しい力と、深紅の瞳に宿る狂気の光。

脳裏には、アワリティアを手に入れるという究極の強欲が焼き付いていた。

もはや人間でも屍食鬼でもない。

魔王に奉仕し、魔王を愛し、魔王を奪うための価値ある器へと、完全に変貌したのだ。


名称:目鏡めがね かける

種族:アーティファクト(魔剣士のメガネ)、ダンピール

装着者:ダンピール

ステータス:攻撃力7000 魔力8000/8000 耐久力:5000/5000(ダンピール)7500/7500(翔)

スキル:遠近眼、鑑定、念力、念話、new自己回復、スキル共有、装着、new真祖の魔法回路、new装着者ステータスアップ(中)、毒耐性、麻痺耐性、マップ作成、暗視、ストック、インセクトキラー、気配察知、隠密、進化の可能性 、メタモルフォーゼ、new上級剣術(ダンピール)捕食変換(ダンピール)、毒付与、麻痺付与、死肉探知、new魅了ダンピール、new加速、new血液魔法ダンピール、newホークアイ、new鑑定無効

ユニークスキル:メガネ魔法


自己回復:自然治癒よりも早く回復ができる。

真祖の魔力回路:魔力回路が質的に変化し、高密度な魔力を扱えるようになる。

装着者のステータスアップ(中):全ステータスを+1000する

上級剣術:剣術の上位スキル

魅了:言葉や仕草が他者に与える影響を増幅させる。

加速:一時的に速さを上昇させる。

血液魔法:自身の血を少量媒体として使える魔法

ホークアイ:俯瞰して遠くを見ることができる

鑑定無効:鑑定を無効化する


久しぶりにステータスを見た気がする。

来た当初と比べるとめちゃくちゃ強くなった気がするが、でもまだまだ足りない。

アワリティアを手に入れるための力が必要だ!


「コノマ!次の訓練を頼む!」

「おやおや、随分とやる気が出てきたようで。ふふ、いいだろう。ある程度の価値ある肉体を手にし、魔力もそこそこ増えたようだな。次は、魔力をうまく扱う方法と魔法を覚えてもらう」

「やっと基礎訓練が終わったのか!」

「基礎はいつでも大切だ!その前に風呂に入れ。ずっと貪欲のグリード・ケルンで生活してたから臭いぞ。ご主人様は不潔なものは嫌いだ」

「そういえば、ここに来て一度も風呂に入ってなかったな。一度休息して風呂にでも入るか。コノマも入るだろ?」

「もちろん!わっち様は風呂が大好きなのだ!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ふぅ〜〜、やっぱ風呂は最高だぁ。でもピリピリする感覚があるぞ」


湯は、予想外に熱く、そしてピリピリと刺すような感覚があった。

普通の湯ではない。

それは魔力を帯びた、一種の回復薬であり、同時に次の焼印の準備をするためのものだとすぐに理解できた。

風呂も光源はわからないが、淡い光を放っている様を風呂に浸かりながらぼーっと眺めていた。

そういえば、この世界に来てからここまで気を抜いて休んだのは初めてだな。

束の間の休息ではあるが、やっぱり風呂とはいいものだ。

睡眠や食事などがいらない体とはいえ、精神的にも休みたくなるのだ。


「それにしてもここまでイケメンになるとは」


風呂に入る時に、水面に映る自分を見てみたのだ。

地球にいた頃の顔がベースになっていそうな感じではあるが、肌の色は白く目は赤くなっている。

体も筋肉質で自分でも見惚れてしまった。


「ふふふ。湯船での監視も、わっち様の仕事だ。身体をちゃんとに清めるように見張っているぞ」


ゆっくりと湯の中で呼吸を整え始めると、コノマは湯舟の縁にちょこんと座り、その黒いもふもふの体を向けてきた。

小さな悪魔の手で湯の表面を叩き、水しぶきを立てた。

その仕草は、マスコットのように愛らしいが、背中には冷たい監視の視線を感じさせた。


「翔の体は、ご主人様のコレクションとなるべき価値の器だ。隅々まで、怠惰が残っていないかわっち様がチェックするのだ」

「はぁー」

「そう、そう。休むことも価値の効率を考える賢い選択だ。ご主人様の最高のコレクションになるようにるぞ」


コノマの言葉を聞きながら、湯舟の中で、次の訓練のための魔力の最適化がどんなものか考える。

貪食のグリード・ケルンも相当な訓練だった。

魔力の効率化も魔法の習得も過酷なものだろう。

これから覚える魔法への楽しみと今以上の過酷さが待っていそうな不安の気持ちでコノマの言葉を聞き流していた。

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